1話
タイムリープ
それは主にSF作品において、自身の意識や身体が過去・現在・未来へ瞬間的に跳躍することを意味し、アニメなどで人気のジャンルの一つである。
この世界は電子レンジで世界が変わることはなければ、死んだらチェックポイントでやり直せる事もない。
タイムリープに興味があった。
もしも、あのときやり直せたら、ああいう風にできたら。運命は何か変わったのだろうか。
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タイムリープについて妄想を抱いていた瑛太はてくてくと学校へ向かっていた。
「何か面白い事ないかな」
そんな事を言っている場合じゃなかった。
今日はテスト当日。
偏差値が24しかない瑛太は今回の数学のテストで100点を取らなければ留年が確定してしまう。
「ん…?」
ふとスマホを手に取り時間を時間を見てみると8時25分を指していた。
「やっべ!遅刻しちゃう!」
ろくにテスト勉強をしていなかった瑛太は学校に行って勉強をする予定だったが、ずっと妄想を繰り返しているせいで毎回時間ギリギリになってしまう。
「おい!おせーぞ瑛太!」
「今日勉強するんじゃなかったのか?」
なんとか学校に滑り込みで間に合い、遅れたことに対して友人に煽られる。いつもの光景だった。
「うっせ!こっちもゲームで大変なんだよ!」
「本当は得意な妄想なんじゃないの」
「…」
図星の俺にニヤリと痛いところをつく友人、これもまたいつもの光景。そんな日々がとても楽しかった。
「はーい、静かに。ホームルーム始めるぞー」
担任が教室に入りホームルームが始まり、準備を色々した後、ついにテストが始まった。
問1 この方程式を解け
(1)わからない
(2)わからない
(3)わからない
俺はテスト勉強を全くしていなかったので当然だが一問も分からなかった。
俺以外にこれほど純白なテスト用紙を見たことがあるだろうか、いやない。
一周回って自分の頭の悪さに自信を持つほどだった。
(なんだこれむっずぅ!?これ高校で習う範囲なのか!?もういい寝よう…ZZZ)
周りの人間がカリカリとペンを動かして解いているのに自分だけ全くと言っていいほどペンが動いていない、まるで一人だけ時が止まっているようだった。
こんな様子を残りのテストでも行っていた。
帰り道、俺の家は他の人に比べて遠い所にあるので登校、下校は常に一人ぼっちだった。
(いーなーみんなは帰り道にスターフロントに行ってノラペチーノを飲んだりイアウトに行って色々買い物してゲームして…ずるいよなぁ)
あれこれ考えているうちに家に着いた。
「ただいまー」
「おかえりー!」
母は専業主婦なのでいつも家にいる、父は仕事で働いているが常に忙しいのであまり家に帰ってくることはない。
「冷蔵庫にプリンあるから食べていいよ」
「後で食べるー」
テストの出来の悪さや友人への嫉妬に疲れて俺は2階にある階段を登る。
(今日は疲れたからもう寝よう)
部屋の扉を開けるとそこには─
カプセル型の謎の機械と見覚えのない紙切れが一枚置いてあった。
「なんだよこれ」
謎の機械は何が起こるのか分からなかったのでとりあえず触れずに紙の方を手に取った。
これはタイムマシンである。数学で100点を取れ
紙切れにはそう書かれていた。
数学で100点が取れないような書き方をされていたので非常に腹が立ったがおそらく取れないからいいだろう。
次にタイムマシン(?)の方を見た。
形は筒の形をしていてガラスの所に取っ手がありそこから中に入れる。横にはタッチパネルがありそこで色々操作できるだろう。
気になることは多いがやっぱり見慣れない機械はこれ以上触らない事が一番だった。
「まぁいいや今日はもう疲れたし寝よう」
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0点だった。
テスト返却日。
俺の留年が確定した。
死んだ魚のような目をして家に帰ってきた時母は俺のことを察してくれたのか何も言わなかった。
そして部屋に戻った時タイムマシンが目に入った。
「もしこれが本当にタイムマシンなら」
0点の結末を変えることができるのか、何が起こるか分からない。
でも、俺はこのままだとどこにも働けず行くあてもない。
飛ぶしかなかった。
俺は震える手でタイムマシンのタッチパネルに触れる。
画面が光り、行きたい年号と日付が表示された。
俺はテスト当日を選択しタイムマシンの扉を開けた。
タイムリープ
瑛太が抱いていたものが実現しようとしていた。
でも、世界が変わってしまう、現実が書き換えられてしまう。
その恐怖で足がすくむ。
タイムリープ
もし本当に起こるなら、この結末を変えられるなら。
信じてみたい
俺が望んだ結末へ
「飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
起動ボタンを押した瞬間俺の視界はブラックアウトした。そこからの記憶は何もない。
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6時30分
俺は目覚めた。




