絆
今週2話投稿です!次の話も是非、お願いします!
「新政府の偉い方とお話…ですか」
山南はかなたの言葉をなぞるように呟くと、腕を組んだ。
「はい…やはり、無茶でしょうか?」
かなたが様子を窺うと、山南はふっと微笑む。
「いえ、そんなことはないと思いますよ」
「…え?」
思いがけない答えに、かなたはきょとんと目を瞬かせた。
その隣では、近藤もうんうんと頷いている。
「俺も賛成だな。どちらにしろ、話し合いの場は必要になるだろう? だったら、先手を打つのは悪くない」
「じゃあ早速、書状でも書くか」
土方が筆を手に取ったところで、かなたは慌てて手を挙げた。
「ま、待ってください! 本当に良いんですか?」
提案したのは自分だが、あまりにも話がとんとん拍子に進むものだから、思わず動揺してしまう。
そんなかなたの様子に、山南はくすりと笑った。
「かなたさん、勘違いしているようですが、我々はあなたが未来人だからといって、話を聞いているわけではありませんよ」
「そうだぞ。お前のことを信じてるから、そうしてるだけだ」
「中村くんが我々を信じてくれているように、私たちも君に大きな信頼を寄せているのだよ」
山南に続き、土方、近藤もそれぞれに笑みを向ける。
「皆さん……」
三人の言葉に、かなたはぐっと拳を握った。
「分かりました! では早速、書状を書いて送りましょうか!」
「おう!」
そう意気込み、再び筆を持ち直したところで、土方が手を止めてこちらを振り向く。
「で、誰宛に書くんだ?」
その一言に、かなたはにっこりと笑ったまま固まった。
「えっと…」
「そこは考えてなかったのかよ…」
呆れる土方の前で、かなたは「うーん」と頭を悩ませながら、新政府側の人物の名をひとしきり思い浮かべるのだった。




