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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第二章〜初めの改革と決意〜
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赤い提灯

ある日の午後。洗濯物を干していたかなたの背後から、不意に声が飛んできた。


「お前、知恵はあんのか?」


「....え?」


振り向くとそこには土方が立っていた。唐突すぎる問いに、かなたは洗いかけの布を持ったまま固まる。


「知恵...ですか?例えばどんな?」


夜目よめが効く方法をさがしてんだ。急に灯りが消えることもあるだろ、そういう時に対処する方法を探している」


「夜目かあー....」


これは試されているのだろうか。いや、間違いなく試されているのだろう。


少し考えた後、ふと現代の知識が頭をよぎる。そういえば海上自衛隊の船などは夜に目を慣らすためにランプを赤くすると聞いたことがある。


提灯ちょうちんとかの和紙って色つきのに変えれたりします?」


「色つきだ?」


「はい、明かりの周りの和紙を赤にすることで夜目が効きやすくなるかもしれません」


「そんなことで本当に違うのか?」


土方が目を細める。


「赤い光は、暗闇に慣れるのを邪魔しにくいらしいです。白い光はまぶしくて、一度目が慣れたら暗闇で見えにくくなりますけど、赤い光なら急に暗くなっても適応しやすいみたいです。夜間航海する船でも、夜目を守るために赤い提灯を使っていると思います。」


「なるほどな...まあやってみる価値はあるか」


そう言って土方は去っていった。

専門外では未来人のかなたでも、どうしようもないことが多いだろうが、なんとか今回は答えれてよかった。そう思いながら、洗いかけの布を再び擦り始めた。



ーーーー



それから数日後。


「そういえば昨日の夜、風が強くてよぉ....提灯の火が消えたのに、やけに周りがよく見えたんだよな」


「それ俺も思った! すぐ目が慣れたっつーか、なんでだ?」


永倉と藤堂の声が部屋の奥から聞こえた。それを廊下の奥から聞いていた土方は、無言のまま立ち止まる。


ふと視線を落とし、手に持っている提灯を見つめた。


(確かに、あいつの言った通りになった....)


「少しは使えるやつだな」


そう呟くと、土方は提灯の和紙を指先でなぞった。

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