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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第四章〜目指せ!ホワイト新選組!〜

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面接

ギャグ回です。

 こうして入隊希望者の目見(面接)の日がやってきたのだが....


「なんっっだ、こりゃ!一体、何人いやがるんだ?!」


 永倉が希望者の数を見て腰を抜かす。彼は完全に見物者なのだが、まるで今から自分が「やりますよ」と、言わんかばかりに口を開けている。


「今日は百人くらいでしょうか...?まだ多かったので、別日に振り分けましたが、それでも多いですね」


「かなり時間がかかりそうだな....」


 土方は額を押さえ、既に疲れた顔をしている。確実に言えることは、朝から晩までかかるだろう。


「では早速行きましょう!」


 かなたが元気よく進行を始め、面接がどんどん進んでいく。中盤に差し掛かった頃、聞き覚えのある名前が呼ばれた。


「ええと....相馬主計(そうまかずえ)です。二十三歳です」


 かなたの心がざわつく。相馬主計とは、土方とともに最後まで戦い、最終的に新選組の名を継いだ人物だ。だがこの時代にしては、少し早すぎる登場だった。歴史を改変したせいだろうか。


 土方は相馬をちらりと見やり口を開く。


「特技はあるか?」


 相馬は少し考えて声を出した。


「特技は、馬術と作戦立案と、あ、あと女性のご機嫌取り.....は、特技って言えますか?」


 この人は何を言っているんだろうか。その場の空気が一瞬で凍りつく。相馬が来るにはまだ早かったのだろうか。土方は顔を引きつらせている。


 かなたは気を利かせつつ、明るく声を出す。


「却下でーす!次の方どうぞ!」


 すると、後ろで見守っていた近藤がすかさず声をあげる。


「ちょ、ちょっと早くないか!?少し癖はあるが、他の特技は使えそうだったし......」


「女たらしは百害あって一利なしだ。隊の風紀が乱れる。次!」


 女たらしの逸話がある土方が言えることでは無い。


野村利三郎(のむらりさぶろう)です!歳は二十二、特技は....えーっと.....えー.............」


(野村利三郎!!)


 かなたの心の中は一転、ワクワクでいっぱいになる。彼もまた、後に土方や相馬と共に、幕末を駆け抜ける隊士の一人だ。まさかそんな二人に出会えるなんて、今日はツイてる。


「......力仕事?あと、父が医者なので、軟膏とかなら塗れます!」


 とても地味だ。本当にあの野村利三郎なのだろうか。


「戦に軟膏を塗る暇なんかねぇ。腕っぷしはどうだ?」


「よく薪割りしてます!あと、甥っ子を抱っこしながら米俵も運べます!」


 土方の問いに、野村は力いっぱい答えるが、話す内容の癖が強い。新選組には癖の強い人間しかいないのか。


「それは、なかなかだな。体力は文句なしってことか。.....どうだ、トシ?」


「.....よし、仮採用だ」


 近藤と土方はそれでいいようだ。いや、逆にそれでもいいのか。


 かなたの心の中の突っ込みをよそに、野村は大喜びで頭を下げる。


「えっ、ありがとうございます!!仮ってなんですか!?えっ!?仮ってことは.....試験期間!?給金は出ますか!?」


 現代人のようなことを言う男だ。


「給金は少しだけですが、出ますので安心してください」


 かなたがにこりと答えると、野村は安心して手続きを済ませに行く。そこへまた相馬が現れる。


「......あの、僕もやっぱり再挑戦とか無理ですかね。お酒の席ではそこそこ話を盛り上げる自信が......!」


「お前は三番隊長の斎藤のところで試してみろ。話が合えば、残っていい」


 土方は斎藤のほうを顎で示し、さらりと面倒事を押しつける。


「え、斎藤さんってあの怖そうな?!」


 剣に関しては厳しいが、斎藤はそこまで怖い人間では無い。あの無口さが人々を怖がらせているのだろう。だが、相馬は諦めきれないようで、渋々斎藤の元へ歩いていく。


「はい、気を取り直して次いきましょうか!体力ある人歓迎、微妙な人は斎藤さんの所へ!」


「新しい体系が出来ましたね」


 かなたの冗談に山南はにこにこと笑っている。まだまだ先は長そうだ。

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