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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第三章〜歴史が変わる瞬間〜

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奮闘!科学少女!

※調薬の話があります。素人調べですので、ご容赦ください。

 元治元年 八月



「沖田さん、体調はいかがですか?」


「お陰様で、だいぶ良くなってきています!」


 沖田は年が明けてからというものの、ずっと倦怠感のある体調不良が続いていた。そのため、かなたは時々彼の問診を行っている。

 周囲はただの風邪だと思っているが、かなただけはその原因を知っていた。


「良かったです。では、今日もお薬を飲みましょう!」


「はい!....ところでかなたさん。僕の病は一体何なんですか?」


 かなたがこうして沖田専用の特別な薬を煎じているので、彼も自分がただの風邪ではない、ということに薄々気づいているのだろう。

 かなたは一瞬躊ためらったが、やがて小さく息をつき、口を開いた。


「沖田さんの病は結核....この時代で言うと"労咳ろうがい"です」


「労..咳....ですか......」


 沖田は顔を青くし、戸惑いの表情を見せる。驚くのも無理はない。労咳、すなわち結核はこの時代では不治の病だ。

 かなたはもちろんこの事を知っていた。だから対策が必要だった。


 新選組好きなら誰もが一度は、沖田の結核を治したいと思ったことがあるだろう。かなたも現代に居る頃に、江戸時代で出来る結核の治療法を血眼になって調べたことがある。


 そのおかげで、今こうして彼専用の薬が作れているのだ。薬といっても、かなたは専門家ではないので、現代のような確実な治療薬は作れない。


 この時代に来たばかりの頃、出来ることが少なく暇を持て余していたかなたは、山崎に頼み込んで密かに土壌から放線菌ほうせんきんを培養していた。そこから得られる抗生物質を茶や食事に混ぜて沖田に与える。一日に数度、地道に続けてきた。


 結核の治療には複数の抗生物質が必要とされる。それを踏まえて土壌も数個用意し、培養を繰り返した。


 生肉を使った実験で腐敗を防げた時の感動は、今も忘れられない。薬として出すのには半年ほどかかったが、それでも早い方だろう。


 沖田に与えたとしても上手く効果が出るか分からなかったが、いま沖田の体調が良くなって来ていることが何よりの証明だ。


「それでも、まだまだ療養は必要ですよ!労咳はとてもしつこい病ですから」


「はい。かなたさんの言う通りにします」


 沖田はふわっと笑い、どす黒い茶を一気に飲み干した。


「くぅ.......やっぱり不味いですね...!」


 その渋い顔に、かなたは思わず笑ってしまう。

 まだしばらく、この表情を見ることになりそうだ。

そんな上手く行くわけないだろ話の代表です。

ちなみにかなたは、実験で自分にもこの薬を投薬しています。顔歪ませるかなたをみて、多分山崎が引いてたと思う。

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