表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第十一章〜西国の豪傑〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/103

山南像

「じゃあ、今日はありがとな」


「おう、気をつけて()えよ」


 土方がそう言って(あが)(がまち)から腰を上げると、その次に西郷が後ろから声をかけた。

 歴史上では敵対していた者同士だとは思えないそのやり取りに、かなたは思わず口元を緩めてしまう。


「まあでも、その懐んもんでやり合わんでよかったです」


 桐野の澄ました物言いに、土方・山南・かなたの三人は口を閉ざし、どきりと冷や汗をかいた。


「…気づいてたのか?」


「はっはっはっ! 気づかんかったと思っちょったか? 筒袖に慣れちょらんだろう。頭を下げっ時に丸見えじゃったわい」


 大口を開けて笑う西郷に、土方は苦笑まじりにため息をつく。


「はは……そりゃ悪かったな。こっちは丸腰なもんで、念の為に持たされたんだ」


「まあ気にせんでよか。桐野は少々気が荒いが……おいは敵対するつもりはなかけん」


「そう言ってもらえるとありがてぇ」


「ですね」


 西郷と土方のやり取りに場を和ませるように、山南が笑った。

 彼は自分がそういう役割だと分かっているのだろう。

 かなたは、最後まで何とかなったという事実にほっと息をつく。


 そして西郷と桐野に別れを告げ、三人は屯所までの道のりを黙々と歩いていた。


「それにしても、何とかなってよかったが……」


 そう言いかけた土方に目を向けると、なぜか彼は目を細めるようにこちらを見ている。

 次に隣の山南へ視線を向けると、彼もまた、どこか哀れむような目をかなたへ向けていた。


「お前、西郷が犬好きだって知ってたのか?」


 土方にそう問われ、かなたはそういえばそんな話をしたなと思い出す。

 緊張をほぐす為にと口にした話題だったが、その後のやり取りに気を取られすぎて、すっかり忘れていた。


「そうですね! 未来だと有名なので……」


「西郷が犬好きってのが有名なのか?!」


「まあ……はい?」


「もしかして、その曖昧な感じで言ったんじゃねぇだろうな」


 かなたの微妙な返答に、土方はつくづく呆れたように額を押さえる。

 すると、山南が微笑みを崩さないまま小さく笑った。


「あの時は本当に驚きましたからね」


「そうだぞ。西郷が許してくれなかったら、今頃どうなってたか……」


「すみません……でも、未来では西郷さんの銅像や絵の隣に犬がいたりするので、犬が好きなんだと思って」


「銅像って……そんなもん出来んのか……」


「あ、安心してください! 土方さんのもありますよ!」


「別にその心配はしてねぇんだよ」


 すかさず突っ込む土方に、山南はにっこりと微笑む。

 その一方で、自分はどうなのだろうと気になっているばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史 / タイムスリップ / 新選組 / 幕末 / 恋愛 / 土方歳三 / 女主人公 / コメディ / シリアス / すれ違い / 幕府 / 和風 / 江戸時代
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ