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人殺しの助手  作者: レア
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二度の脅威を退けたことですっかり精魂尽き果てていたアリアがソファーの上でぐったりしていると助手がコップを差し出してくる。一瞬受け取ることに恐怖を覚えるも漂ってくるココアの甘い香りに誘われてひと口飲むと普通に美味しい。


「動けなくなるほど食べるとはよっぽど気に入ったらしいな、仕方ないからまた作ってやる」


「わ、わぁ嬉しい‥‥」


汗が吹き出してくる。あんな恐怖の経験を再びするなんて御免だ、出来るだけ早く助手に食材をちゃんとした食材のまま料理へと変える方法を教えねば。


「中毒になる程気に入ったのなら今度アリアの家で満足いくまで作ってやると良い。そんな事より事件の方だ、明日はどう動くつもりかな?」


あっさり恐ろしいことを言ってくれる。けど助手が家に来て料理してくれるのはちょっと嬉しい、側に張り付いて見ていれば悲劇は回避できるし良いかも、でもそれはひと仕事終えた後の楽しみとしよう。


「活動家はいません認めます、なので次は追うのではなく待とうと思います」


追いかけたくても目撃情報も得られないのでは無理がある、ならばここからは運と根気の勝負だ。犯人が廃棄直前の食べ物を狙うのならある程度時間は絞れる、あとは目星をつけた店で張り込んで鼻で見つける。透明でも匂いは消せない、食べ物を抱えているのなら良い香りが漂うのは避けられないはず。


そして次の夜、被害に遭った店の近くに絞り込み張り込みを開始。

この辺りは食品を扱う店が集まっている、きっとどこかに現れる。

駐車場の生垣の影に隠れて様子を伺う事にした。


「何これ?」


身を屈めた目線の先、そこに赤黒い染みがある。


「血だな」


助手が鼻をクンクンさせて答えた。

さすが助手の鼻、これがあれば犯人なんて簡単に見つけられる。

せっかくなので閉店間際、半額のシールが貼られたお惣菜をたくさん購入して廃棄処分を減らしておいて潜伏場所で頂く。


「この味がこの値段で食べられる、なんてお得なのかしら」


「これがあと数時間でゴミになるとは」


助手がひとつまみして唐揚げを口に放り込む。


「ねぇー勿体無いわよね。だから私達が悲しき運命から救ってあげましょう!」


アリアも同じくひとつ頬張る、するともう一つもう一つと手が勝手に食べ物を口に運んでいく。

時間も時間だし自重しなければいけないのに止められない。

これは救済、目を瞑ろう。

二人でお店の裏口の扉を見張りながら御馳走を堪能しているとその時は突然訪れる。


「君、ここで何してるのかな?」


肩を叩かれ振り返るとそこには制服姿の警察。


「えっ、あっ、違うんです!!」


目が笑ってない警察官の人の笑顔は明らかに怪しんでいる。


「私達は‥‥‥私‥‥たちぃぃぃ!!?」


隣を見るとそこには誰も居ない、透明人間みたいに忽然と姿を消している。


「ちょっとぉぉぉ助手ぅぅぅ!!」


「どうしたのいきなり大声出して。君、大丈夫? ちょっとお話聞いてもいいかな?」


「あっ、わ、わ、わ、わ、私は正義‥‥」


「‥‥そうだね。じゃ、ちょっと来てくれる?」


ミイラ取りがミイラになった瞬間。

所長に連絡が入って迎えに来てもらって頭を小突かれ事務所へ帰還、何食わぬ顔した助手が出迎えてくれた。


「ちょっとぉぉぉ助手ぅぅぅ!!」


「うるさい」


また小突かれた。


「一人置いてくなんて酷いじゃない! あの後私がどんな目に遭ったか分かる!?」


こんないたいけない女学生を捕まえて疑いの目と共にあれやこれや聞かれてどうにか誤解を解いても結局残されたのは妄想の友達連れて一人でバカ喰いしてた危ない奴という不名誉な称号。


「生温かい目を向けられる気持ち、分かる?」


「分からないが一人にして悪かった。私があの手の人間と関わっても面倒しか生まれないからな、アリアに任せる方が良いと判断した」


「任せると丸投げの違いについて語り合いましょうか」


「そんな事より収穫はあったんだろうな? 私にこんな面倒をかけておいてまさか何も無かったなどとは言わないよな?」


圧が凄い。

所長たるもの部下の尻拭いも仕事のうちだという懐の広さは持ち合わせていないご様子。


「収穫はもちろんありました」


「ほう?」


「あの店では何も無かった、それが収穫です!」


所長が笑ってる‥‥‥‥‥終わった。


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