第十七話:本番、長めでお願いします
「次は……“連載”です」
編集部との打ち合わせ帰り。
三ツ谷のその一言で、誠司はふらついた。
『その名前、まだ入れてないだけ。』が売れた。
バズったんじゃない。“本気で愛された”。
そして今、編集部は言ってきた。
「先生、今度は“連載”で“本番”いってもらえませんか?」
「本番……長めってこと……?」
思わずつぶやいてから赤面する自分に、
三ツ谷が苦笑いを浮かべる。
「“一発書き逃げ”じゃ終わらせませんよ。
今度は、継続して“愛されるもの”をください」
家に戻った誠司は、ノートPCの前で深く息を吐いた。
原稿用フォルダに新しい名前をつける。
『三発目_仮』
手が震える。
書きたい。でも、書けるのか。
「もしかして……二発目、たまたまだったんじゃ……?」
“怖い”が正直な本音だった。
でも、それでも。
編集部は、読者は、“次”を待っている。
そのとき――画面がチカチカと点滅した。
「先生ェェェェェ!!」
現れたのは、
封印したはずのあいつ。
パンツ星の勇者、モッコリウス=ケン・ナジャール
「聞けば“長めの本番”だと!?
ならば貴様、もはや途中で抜くなど許されぬ!!」
「いや!いやお前、消えたんじゃなかったのかよ!!?」
「貴様の中でまだワシが疼いておる!
ならば書け!イけ!立て!この三発目を!!」
「……ああもう……
でも今度は、“もっこり”じゃないからな……本気で書くからな……!」
誠司はゆっくりとキーボードに手を乗せた。
「いくぞ……三発目、本番。長めでお願いします……!」
つづく




