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第41話 大切にされています

雅さんに促されて座る。コーヒーを一口飲んだ。


「布団に入りたい程寒かった?」


話しかけるその顔は私の様子を伺っているのがアリアリとみてとれる。私はゆるゆると首を振る。


「そういうわけじゃないです。毛布を床の上で使うのに抵抗があったのでこうなっただけです。勝手に敷いちゃってごめんなさい」

「別に構わないよ。本当に疲れているなら横になって休んでいていいよ」


そうじゃないと首を振る。どうしたらいいかわからないこの状態、雅さんならどうにかしてくれるかもしれない。


「雅さん、私、変なんです。雅さんのこと大好きって、離れたくないって思ったらドキドキして熱いんです。上手く言えないけど心が疼くっていうか、キスしてもらってもまだ足りないんです。どうしたらいいんでしょう…」

「~~~っ!」


天井を仰ぐその顔は真っ赤だ。


「鍵かけといて正解だったかな」


隣りに並ぶと頬に触れる。熱く潤んだ瞳が近付いてきた。


「オレはよくそんな気持ちになってるよ。それ、オレなら落ち着けてあげられるよ。…どうする?」

「お願いします」


雅さんはチュッチュッと軽く何度か啄むように口づけると深いものへと変えていった。

熱い。満たされていく感じはするけど足りない。唇が離れる。その喪失感に「あっ」と声が出た。


「オレに任せて。駄目なコトはしないよ」


耳元でそう言うと耳を攻めてくる。さっきまでと違う。ゾクゾクしてどうしたらいいかわからない。慣れない甘い刺激を受けて体がぐったりする。なのにビクッビクッと反応している。

耳から首、鎖骨と甘い刺激の嵐はやまない。体を預けるしかない状態で、既に自分じゃ上手く動かせない。


「みや…び…さ」


体が変。恥ずかしいけどやめないで。思うだけで言葉を紡げない。


「奈央可愛い。最後まではしないから。今日は上だけね」


服の中に手が入ってきた。さっきの言葉と合わせて何が始まるか知る。

お兄ちゃんが言っていた事を思い出した。

―自然にってこういう事なのかなぁ。

そんな風に思ったのも直ぐにやってきた初めての刺激によって消された。やさしく、強く、手で口で舌で、その甘い刺激と快感に翻弄され、心と体が満たされていくのを感じていた。


「奈央、オレのもお願い」


切なそうなその声に誘導されるままに手をのばす。言われるままに動かす。

………

……

放心していた時間は思いの他長かったようだ。いつの間にか布団に寝かされている。私がぐったりしている間に雅さんはちゃんと服を直し終わっていた。


「すごく可愛いかったよ」


と笑顔でささやく。それから頬を掻きながら、


「奈央、えっと、動けるようになったらお手洗い行っといで」


気まずそうにそう声をかけるとコーヒーをチンしに台所へ行った。

雅さんの言う通りにして、トイレで一人顔を赤くすることになる。




部屋に戻ると雅さんが先に戻っていた。

空気の入れ替えをしたらしく、部屋の中が少し寒くなっている。


「奈央、平気?」


座って答える。正直ちょっと顔を見るのが照れくさいが、こういう時は多分顔をみて素直に答える方がいいはず。


「はい。とても気持ち良かったです。…すごく、こう満たされた感じです」


自然に笑顔になった。うん、満たされて落ち着いた。

応えるように雅さんも笑ってくれた。

雰囲気に浸っている私の頬に手をのばしてくる。


「あんなのまだまだだから。ゆっくり進めていくから楽しみにしていてね」


その言葉に「お手柔らかにお願いします」と答える。

必要以上に警戒する必要もないとわかった。

あの疼く感じがそういうものだと理解した。

雅さんがどんなに我慢してくれていて、私を大切にしてくれてたのか改めて知ることができた。


肝心のクリスマスについては何も決められなかったけど、私もお母さん達と交渉してみようと思う。夏みたいに皆で集まるのも楽しそうだけど難しいかなぁ。翔惟先輩受験生だし。四人だけだったらできるかなぁ。


「奈央、今トリップしないでくれる?」


雅さんが目の前で苦笑していた。


「あっそうだ。雅さん、クリスマス何か欲しいものあります?」

「いつも欲しいのは奈央だけだよ」


もう茶化さないで下さいっとぺしぺしと叩いてみる。穏やかに笑う雅さんからそれ以上の答えはもらえなかった。

私はプレゼント考えなきゃと思考を持っていかれてしまった。


「結局またトリップしてるし」


雅さんの苦笑とつぶやきは私に届かなかった。

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