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片桐玲奈3

気持ちよくお昼寝をしていると何かの音がきこえてきた。舌打ち?寝てる人だけの静かな部屋に響く。舌打ちの音が気になって目を開けた。体は動かさず、目だけで見える範囲を見る。



舌打ちの音の主はお兄さんだった。

奈央に覆いかぶさりキスをしている。

リップ音かよ…と一人突っ込む。


奈央は眠ったままのようだ。アレだけされて本当に眠っていられるものか?と不思議に思うが、実際眠っているみたいだから、よほど深く寝入っているんだろう。


さて考える。声をかけたほうが良いか。お兄さんが気付くのを待つか。まさかの奈央か夕菜が目が覚めるという展開も起こりうるか。




お兄さんの姿が悩ましい。色っぽい。我慢している姿がセクシーだ。

奈央には悪いが、キスだけなら知らんぷりしておいてあげようと思ってしまう位、想いが溢れている。

でも、奈央に許しを得ずにそれ以上進めようとしたら止めに入る。

……他の人の存在忘れてるっぽいし?

そう決めて、寝たふりをしながら見守ることにした…決して覗きではない。


…………………………長い。

もう許して欲しい。奈央起きろと思う。溜息をつきそうになるがこらえる。

お兄さんの、あの切なそうな姿を見てしまったら可哀想に思えてきた。奈央はいつ気持ちに応えるのかなぁとぼんやりと思った。


うつらうつらとしているうちに、お兄さんが居なくなっていた。


この間プールに行った時、健人と和維と一緒に居てすごく楽しかった。良い奴等だと思った。

ちょっと好きかもと思った。

こういう想いがそのうち誰か一人に向いて、恋に変わっていくのかな。

今、想像しても、二人のどちらも恋人として隣りに並ぶ姿にしっくりこないし、心が浮き立つこともない。今は友達として好きなんだなとちょっとがっかりした。

お兄さんが奈央に恋する姿、認めないかもしれないけど奈央がお兄さんに恋して悩む姿に羨しさと憧れを感じる。


あたしが恋をした時には、是非とも、恋の先輩になっているはずの奈央に相談したいし、応援して欲しいと思う。

そして、あたしがお兄さんから奈央の操を守るのは無理だと、香織さんに報告すべきか相談をするべきか頭を悩ませるのであった。

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