FIEL2 フルーツデッサンのメッセージ 解明編
【真相】
犯人は『佐々木来夢』。
ダイイングメッセージとしてスケッチブックに描かれていた果物はレモンではなくライム。被害者の画家はライムの絵を指し示すことで犯人の名前である『来夢』を示そうとした。
画家の男は深手を負い、薄れゆく意識の中で、なんとか警察に犯人の手がかりを残そうとした。その際に床に散らばったフェイクフルーツが視界に入り、犯人の『来夢』という名前から果物のライムをダイイングメッセージとして残そうと思いついた。
しかし、床に転がっているフェイクフルーツの中には肝心のライムはなく、かといってレモンでは、形が似ているとはいえライムではないのだから、犯人の名前を直に示すことにはならない。
そこで男は朦朧とする意識の中で必死に思考を巡らせると、過去にスケッチブックで実物のライムの絵を描いていたことを思い出し、本棚からそれを引っ張り出して指し示すことでダイイングメッセージとすることにした。
感覚が失われていく瀕死の状態で、画家の男は鉛筆画のライムの絵を見つめながら、警察は果たして、この白黒の絵を見てレモンではなく、正しくライムと判断してくれるだろうか、という懸念も頭をよぎったが、それ以上は考える余裕もなく、そのまま息を引き取った。
ダイイングメッセージ・『白黒柑橘』
【着想のタネ】
色の違いを除けば『レモン』と『ライム』は見た目ではよく似ており、さらに『レモン』と『ライム』は、人の名前の読みとして使われても違和感はないため、この2つをうまく読み手に誤認させてミスリードとして使えないかと考えた。
そして、『レモン』と『ライム』の一般的な認識としての外見上の大きな違いは『色』であるため、色を誤魔化す手段として白黒写真や白黒テレビを利用することを思いついたが、現代では何か特別な理由でもない限り、わざわざそれらを使う人間もいないとも思った。そのため、さらに考えて、やがて『鉛筆画』でも色の認識を曖昧にできることに気づき、ダイイングメッセージとして利用することにした。
なお、設定の補強として、スケッチブックに描かれた果物が本当はレモンではないと読み手に誘導させるため、被害者の近くにはフェイクフルーツのレモンが転がっていることにした。なぜなら、もし画家の男がダイイングメッセージとしてレモンを示したかったのであれば、わざわざ本棚からスケッチブックを取り出さなくても、目の前に転がっているレモンの模型を手に取るだけで済むのだから、『なぜ死に際に、そんなひと手間をかけなければならなかったのか?』と読み手に違和感を抱かせる構成にすることで推理を正しい方向へ誘導することができる。
あと作者の気休め程度のミスリードとして、スケッチブックに描かれた果物が一見すると、なんとなく『黄色いレモン』のように見えてしまいやすくなるよう、『経年劣化で黄ばんだスケッチブック』という設定も追加した。




