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『完結』天使と悪魔の言う通りに…ね?〜力を貰えず異世界へ…だから2人とも、俺に力を貸してくれないと死んじゃうんだけどッッ!?〜  作者: お汁粉パンチ
芸術都市サイデル

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第56話 旅の終わりと…始まり

 光の粒子となったハイネル。

 それらは風に誘われ、空気中に溶けていく…。

 そしてその場には、戦闘の跡以外何も残っていない。


「…お疲れ様ッ!ダン」


「最後まで強敵だったね、お疲れ様」


「ああ、あちらさんの気分次第での絶対防御だしな。

…何はともあれ、お疲れさん」


「ありがとうルシェ、ヤオ、ステラ」


 静かに宙を見ていた彼女らが、近くまで寄ってくる。

 そして、


「お疲れ様でした、ダンさん。

任務完了確認、と創造神様から連絡を頂きました」


「ありがとう、セフィ。

じゃあ…」


 プーン


 そんな電子音の様なものと共に、突然光る魔法陣が地面に現れた。

 一瞬敵かッッ!?と警戒したものの、他の4人は警戒した様子はなくそれで矛を納める。

 なら…と考えてみると、分かったかもしれない。

 これはゲームで言う…


「こちら、天界へ続く魔法陣となります。

潜ってしまうと、もうこの世界に帰れませんが…やり残した事はありませんか?」


 帰還用のワープ。

 そう考えると、少し任務を完了させた実感も湧いてくる。

 本当に…終わったんだ。


 そう考えると、やっと肩の荷が降りた気分。

 思い切り両手を空に上げ、伸びをする。

 そしてふぅと一つ息を吐き、


「大丈夫かな。 やり残した事はないよ」


 そんな答えを返す。


 まあ、そもそも知り合いも殆どいないしね。

 やりたい事も、結構やってきたし。

 …強いていうなら、決闘都市ズィッペリンでお世話になったクラーク家に生死の報告をしてない事ぐらい?

 それも…まあ、絶対って訳じゃないし?


「…手紙ぐらい送りましょうか」


「ああ…うん、分かった」


 そうして彼女は便箋と紙、ペンを懐から取り出す。

 何度も見た、力を貸す時と同じ方法で。

 そこには、サラサラッとただ自分たちがどういう目的で動いていた…とかを書いておいた。

 貴族への手紙だと、本当はもっと礼儀作法があるとは思うけど今回ぐらいは目を瞑ってほしいところだ。

 それをセフィに渡すと、


「では…ズィッペリンの邸宅に転送しておきますね」


「よろしく」


 ヒュッと手紙は手元から消えた。

 何はともあれ、これで…憂いは無し。

 じゃあ、


「凱旋しようか、天界に」


 後ろに振り向きながらそう告げる。

 そして宙に浮く4人は、静かに頷きを返してくれた。

 

 俺は魔法陣に向かって一歩を踏み出す。

 まだ朝日の昇る前の時間、その眩い光はよく目立つ。

 足が地面についた瞬間、全身を浮遊感に襲われるのだった…



 


 



 

 浮遊感がなくなり、地に足をついた。

 そして俺は…地面に崩れ落ちた、顔を…目を抑えた。


「眩し…過ぎるッッッ」


 比喩とか、そんなものではない。

 そう白い絵の具で塗りつぶされた様な場所が天界。

 それに加えて、加減を知らない明るさはこちらの目が潰れるんじゃないかと思うほど。

 だから俺は瞼越しにでも入らない様に手を被せ、地面に芋虫の様に這いつくばり…呻き声をあげていた。


「ふふふ、ごめんなさい。

この空間は少し暗くしますね」


「情けないですよ、ダンさん…。

世界を救った英雄とは思えないです」


「目が潰れるところだったんだけど!?」


 いや、完ッ全に忘れてたこっちも悪いんだけど!

 この空間に人間が入ったら、絶対こうなると思うんだけど!


「創造神様への文句ですか?」


「…イエ、チガイマス……」


 思考まで読まれ、久しぶりにセフィの狂信者スイッチを押してしまった。

 出来るだけ穏便になる様にと、言葉を返す。

 もちろん、誠心誠意で…ですよ?


 そんな事をしている間に、瞼越しに感じる光の圧力が弱まってくるのを感じる。

 頃合いをみて、ゆっくりと瞼を開いていく。

 まだかなり明るい、でも目が潰れるほどでは無かった。

 

 見渡す限り物がない気が狂いそうな真っ白な空間。

 そこに微笑みながら佇むのは、この場所の主人。

 異世界で数々の強者と出会った後でも感じ方は変わらない。

 

 いや、むしろより強く感じているかもしれない。

 やはりこの…神様は、生物として格が違うと。


「お疲れ様でした、掛布段さん。

どうでしたか?旅は」


 そんな声を創造神様からかけられる。

 旅か…


「楽しかった…です。

ほぼほぼ、戦いばかりで観光はあまり出来ませんでしたけど…」


 1人の旅でも無かったしね。

 ソロだったら…最初の街、カラゴにすら入れなくて詰んでただろう。

 どれだけ戦いの力を持っていても、お金がなければ何も出来ないのだし。

 

「それは良かったです。

では、次の世界でも頑張ってくださいね?」


「はい………ん?


 何となく流れ的に返事をしてしまった。

 あれ、今とんでもない事言われた様な…


「いやいやいや、えっ?」


「えっ?」


「………?」


 こちらが首を傾げると、創造神様も首を同じ様に傾げてくる。

 美しいのに可愛らしい仕草で誤魔化されそうだったけど、ここは抗議したいところだ。


「もう…一回?」


「はい、そうですよ?

救ってもらいたい世界なんて星の数ほどありますし。

だから、こうして任務を完了させた方には働いていって欲しいのです」


「ははは…」


 つい口の端をピクピクと震えさせてしまう。

 これをもう一回…命持つのか?


「行ってくれます…よね?」


「はい…」


 そう答えると神様は、ぱぁっと明るくなり笑う。

 …しょうがないのだ。

 スリルのある冒険を求めている訳じゃないけど、まだ死にたくはない。

 だから内心嫌々でも、断るなんて事は端から選択肢にないのだ。


「とはいえ、1人では不安ですよね」


 …1人だったら流石に行かないです。

 絶対死にますし。


「では…」


 ぽんっ

 

 そんな柏手を一つ、創造神様は奏でる。

 すると…デカくなった。

 いや、正確には…元に戻ったというべきなのだろうか。


「ステラ、ヤオ、そして…ハイネルの3名にはダンと行動してもらいます。

代わりといってはなんですが、魔女の権能と同じ力を私が与えましょう」


 周りをふよふよ浮いていたステラとヤオは、こちらと戦った時と同じ人間状態に。

 いつの間にかいたハイネルは…服は質素なものに変わっているけど、首輪が巻き付いているぐらいで魔女の時と…同じ?

 なんか、創造神様に向かって跪いて祈ってるけど…


「って事は、ダンと一緒に今度の世界では戦えるって訳だな?

よろしく頼むぜ、ダン!」


 そう言いながらステラは、こちらの首へ腕を巻き付ける様にして絡んでくる。

 

「商人との交渉は任せてくれたまえ。

どの世界でも商いに関しては、変わらないだろうし…ね?」


 ヤオはこちらの片腕を両手で包み込むと、ウインクしながらそんな言葉を投げかけてくる。

 それは本当に心強い、2人の言葉。

 

「それが創造神様の望みであれば…。

ダン君、頑張りましょうね?」


 完全に狂信者の表情になったのはハイネル。

 明らかにセフィが創造神様を語る時と同じ表情をしちゃってるし…。

 まあでもその強さに嘘はないし、心強くはあるんだけども。


「お次は、ルシフェル」


「はい、は〜い」


「今回の貢献度で、まずは首輪を外しましょう」


「いやあ、これ苦しかったんだよねぇ。

まあ、最近は慣れてきてたんだけどさ」


 そうしてぼとりと、首輪は地面へと落ちていく。

 ちなみに、彼女も最初出会った時の様な体に変わっている。

 俺より身長が高く、見上げないと表情が見えないぐらいの。


「貴女は今回の天界スコアによって、マイナスからプラスになりました。

今なら堕天使化を消し、見習い天使から始める事もできますが…どうしますか?」


 その枷が外れ、久しぶりの自由を謳歌する様に彼女は思い切り伸びをする。

 そんなルシェへ、提案が持ち込まれた。

 聞いてる限りでは、悪いモノではなさそうだけど…。


「申し訳ないですけど…もうやる気はありません。

キッツイ天使の下積みより、ダンと旅を続けることにします」


 でも彼女は断った。

 それも、いつもの語尾が伸びる様な話し方ではなく、セフィの様にしっかりとした口調で。

 理由は…少しアレな気もするけど。

 やっぱりどの世界も下積みは厳しいのか。

 

 そう言い切った彼女は、こちらを振り向き…


「って訳だから、次の世界でもよろしくねダン!」


「うぐっっ」


 そのハイテンションのまま、彼女に正面から抱き込まれる。

 すごいボディの彼女、色々当たってるしちょうど顔に…アレが…。

 人間の力では、どうする事もできずに徐々に酸欠になっていく。

 何度も彼女の二の腕をタップして、ようやく解放された。


「はぁ…はぁ…よろしく、ルシェ…」


 世界を救ったはずなのに、死ぬところだった。

 それも彼女の胸の中でとかいう、死因で。

 流石にカッコ悪い……天国みたいではあったけども。

 …そういえば


「ルシェに一つ聞きたかったんだけど」


「?何かあった?


「何で、堕天使になってたの?」


「ああ〜、そう言えば言ってなかったね」


 旅中気になっていた事だ。

 あんまり触れちゃいけないと思っていたから、話題にはあげなかったけども。

 悪魔といっても、天界にやけに詳しいし創造神様とも面識が最初からあったっぽいし。


「アタシ、仕事サボりまくってたんだよね〜」


「……へ?」


「それで堕天使になっちゃったんだ〜。

でもさ、アタシのお気に入りのパン屋が天界の街にあったんだけど…どうしてもその味が忘れられなくて、侵入したら…」



「こうなっちゃったってわけ〜」


 彼女は自身の手で、首輪を表す様にグエーっと言いながら締めている。

 ……思ったより、しょうもなかった。

 それには苦笑いぐらいしか返せない。

 …まあ、誰かに迷惑かける様なものじゃ無かったのは良かったの…かな?


「そしてセラフィエル」


「はい」


「あなたは今回の任務で手に入れた天界スコアによって1位になりました」


 そうだ、この旅は彼女にとっては一番といっても良いだろう重要なモノ。

 天界スコアを稼いで一番になり、創造神様のそばで暮らす栄誉を受け取るため…そう言っていた。

 だから、最初の方は散々な目に遭わされたんだけど…。


「ですから、明日からお願いできますか?セラフィエル」


 そのため、これは彼女にとって栄誉で一番嬉しい事。

 そのはずなのに、少し浮かない表情を浮かべている。

 そしてこちらにチラッ、チラッと視線を向けてくるのだ。

 …もしかして、


「セフィも…付いてきてくれるとか?」


 ふと思いついた考えを口にしてみる。

 するとビクンッと彼女は背中を縦に大きく跳ねさせた。

 そして、


「いえいえ、そんなっ…事は…」


 最初は勢いよく否定の言葉が出てきたものの、次第に小さくなっていき…最後はしどろもどろに終わる。

 そんな仕草をする彼女、この場にいる誰もが今の心境を理解してしまうだろう。


「ね〜ね〜、セフィも一緒に行こうよ〜」


「ルシェ……でも、創造神様と…」


「まだ一緒に旅をするのもいいんじゃないでしょうか?」


「創造神様?」


 そんなやり取りをルシェとセフィがしていると、横から神様のアシストが。

 それは予想外だった様で、彼女も呆気に取られている。


「私と違って、人間の時間は有限です。

迷ったのであれば、将来過ごせる時間が少ない方を選ぶと良いでしょう。

それが神託であり…人生の先輩としてのアドバイスですよ」


「…………」


 そうしてセフィは、俺と神様の間を何度も視線を行ったり来たりさせる。

 その長い迷いの時間が過ぎ…何かを決めた様に、彼女は一歩ずつ進む。


「ダンさん、一緒に連れてってくれますか?」


 そして俺の前で少し腰を屈ませ、こちらの手を取りながら問いを投げかけてくる。

 少し不安そうに揺らす瞳。

 …そんな申し出、


「大歓迎に決まってる。

これからもよろしくね、セフィ」


 断るわけないのに。

 もう片方の手でサムズアップを彼女に返す。

 すると、彼女の顔もぱあっと明るくなった。

 そして彼女は振り向き、


「創造神様…申し訳ありませんが、ダンと一緒に任務をこなしてきます」


「はい、私も嬉しいですよ。

頑張ってきてくださいね」


 そうして神様は、手をバッと横に大きく振る。

 その仕草と共に、地面へ巨大な魔法陣が描かれる。

 これは、あの最初に異世界に行った時と同じだ。


「お次の世界の敵は…4人の魔王です。

強敵ですが、頑張ってきてくださいね!」


「………今、何て?」


 ……魔王?

 いやいやいや、今回任務を果たしてきた世界。

 強敵だった魔女って7分割した魔王の力を振るってたんだけど!?

 あの7倍が4人なんて、とんでもない強敵じゃないか。


 ほら、ステラもヤオも顔引き攣っちゃてるし…。

 ハイネルは…


「素晴らしい任務です!

これをクリアしたならば、きっと信者も増える事でしょう」


 だめだ、使い物にならない。


「まあまあ、行けるでしょっ!」


「頑張りましょうね、ダンさん」


「はは……」


 またハメられた気もする。


「では、行ってらっしゃい!」


 そんな、相変わらずジェットコースターの係員ぐらい軽い挨拶。

 それを受けて俺たちの体は…また新しい異世界へと飛ばされるのだった。


 これ、いつまでやれば良いんだ!!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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