6 どの道を選ぶ?(前)
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きです。
読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
自分の文章をスマホで読んだり、ほかの方の作品を読んで……。
文章を少なめにしたり、もっと行間を入れた方がいいのか?などいろいろ気になり、投稿した文章もこまめに直すようにしています。
勢いで書き始めた話なので、とりあえず、このまま完結まで書き上げることを一番の目標にします!
ミリアム母の名前がとうとう出てきました!
私にとってはこの作品のラスボスみたいな人です。
これからどうやってアナスタシアと対決させようかと考えるのが楽しみです。
どうぞよろしくお願いします!
「私も見たかったな~。ミリアムとジークフリート王子のラブラブシーン♡」
お嬢様がそう言うと、ベラがお嬢様に近づく。
「お嬢様、、立って手で顔を覆ってください!」
「こう?」
「行きますよ!」
ベラはお嬢様の手を顔から外すと優しく見つめ、ぐいっと抱き寄せる。
「きゃー、きゃー!!」「こんな感じでした~!」と大興奮のふたり。
伯爵家から帰ってきてから、もうずっとこんな感じですよ……。
「もう、いいかげんやめてくださいよ……」
ミーナもあきれているが、私を見ると微笑んで言った。
「前に泣いて話してたミリアムの幼馴染って王子だったのね。
騎士や男爵ぐらいならもしかしてと思ったけれど、さすがに王子じゃ泣くしかないわね。……良かったね。でも、これからが大変よ」
「はい、それは、これから考えなきゃ……です!」
「大丈夫よ! ミリアムには奥の手があるから!」
お嬢様、何を口走っているのかな?
私は急いで駆け寄り口をふさぐ。
「ミリアムは私の異! もごもご……」
「私のい?」「い?」ベラとミーナに聞き返され、苦笑いを浮かべるしかない。
「お嬢様! 興奮しすぎです!!」
「ごめん、ミリアム。私とっても嬉しくて……」
「でも今回の公爵令嬢とのことで、お嬢様が悪く言われてないか、私は心配です」
「まあ、泣いた方がかわいそうと思われるわよね、普通は。
でも、あなた達や王子、伯爵家の人達はわかって下さったから大丈夫よ!」とウインク。
「でも、一番かわいそうなのは、自分の知らないところで知らない令嬢にさんざん言われたアレクサンデルだけどね」とニヤリ。
「アレクサンデル様が、リーゼ様の言葉を直接聞いてなくて本当に良かったです……」
ミーナがしみじみと言う。
ガーデンパーティーの後、お嬢様達もトレド伯爵邸に招かれ、そこでそれぞれの出来事を報告しあったのだ。
ミーナとお嬢様はかなり言葉を選んで話しているようだったが、それでもアレクサンデル様はショックを受けていた。
ギュスターブ様とオーランド様、ジークフリート王子が何か言われたら守ってやると言ってくれ、明日からの学院でのランチの約束までしてくれたのだ。
その後、うきうきと学院寮へ戻っていったので、大丈夫だろう。
◇ ◇ ◇
次の日の朝、アルバートからの手紙が届いた。
おじいちゃんもアルバートも元気にやっていること。庭仕事もおじいちゃんとの暮らしも楽しいと書いてあってほっこりした。
昼前に執事長から「これはあなた宛てでした」としっかりした厚紙の封筒を渡された。
封筒はコンスタンティン辺境伯家のものだった。確かに宛名に私の名前。
母からの手紙と簡単な招待状らしきカードが入っていた。
手紙の内容は、祖父の心配がなくなったのなら、さっさとこちら(母のいる辺境伯領)に帰ってきて薬師の勉強に戻れ。そして仕事で辺境伯家の王都の屋敷に4月中旬頃滞在予定なので訪ねてきなさい、ということだった。
招待状を見ると今週末の日時が書かれていた。
王都へ来てからもう2週間も経ったのだ。あと2週間で公爵領に帰る予定だけど、母との話し合いでは辺境伯領へ戻る時期も決めることになるかも。
◇ ◇ ◇
家庭教師から午後の講義を受けている時だった。公爵様がやって来て私だけ連れ出され、書斎へ連れていかれた。執事長もいる。
「ミリアム、単刀直入に言おう。トレド伯爵家から君を養女に迎え入れたいと申し入れがあった。
このことについて、君は何か知っているかな?」
そんな話は聞いてないが、ジョイかオーランド様の考えかも……。
「早急に伯爵家を訪ねて話を聞いてこようと思うのだが、君は何も知らないのだね?」
「私は知らない話ですが……、心当たりは……あります」
「と言うと?」
言った方がいいのか? でも、なんて言うの???
「えっと……、あの……」
「トレド伯爵家の令息かね?
しかしそれでは養女にというのが解せない。それなら他家の養女にするだろう??」
「違います! 違うんです! たぶん、その他家としてトレド伯爵家なんだと思います……」
「相手は?」
公爵が厳しい声で言った。
「私は雇い主であるが、君へは保護者の気持ちで接してきた。後1年で成人だ。人との交際には口を出したくないが、他家も巻き込んでいるとなると私が知らないでは済まされない」
「……ジークフリート第2王子殿下です」
絞り出すように言うと、公爵様と執事長が『は?』という表情をする。
「信じられないかもしれませんが、ジークフリート第2王子殿下です!」
二度も言わなきゃならない人なのか?
「それは……想定外だったな」
「ヴィルヘルム様、殿下がお相手ならばトレド伯爵家が動いたこと、理解できます」
「となると、本当のことか……」
「ミリアム、教えてくれてありがとう。わかってきたよ。
しばらくはこの屋敷から出ないように」
え、母のところに行かないと!
「あの、母から手紙が来ていて、今週末にコンスタンティン辺境伯様のお屋敷へ呼ばれています。そのためお休みを頂きたいのですが……」
公爵様と執事長が再び顔を見合わせる。
「……ジェーンはこのことを知っているのか?」と迷いながらも母の名を口にされた。
「知らないと思います。私からは伝えていません」
だって昨日のことだもんね。
「しかし、このタイミングで辺境伯とは……。少し調べさせてくれ」
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!