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8 花祭の日に(後)  完

ミリアムとアナスタシアのふたりから始まったこのお話ですが、思っていたより登場人物がたくさん、自由に出てきて話を動かしていくので、名前を付けることと、その名前を覚えていることに苦労しました。


でも、登場人物達が自由に動き始め、とても楽しかったです。


評価やブックマークを付けて下さった方々、どうもありがとうございます。

とてもうれしくて、励みになりました!

 テーブルに戻ると、間もなくミーナ達も戻ってきたので、レギュラス兄様のところへ行ってみることになった。


 訓練のための場へ向かうと、ちょうど休憩中らしく、木陰に集まり談笑していた。

 兄様はこちらに背を向けて立っていたので歩きながら私は呼びかけた。

「レギュラス兄様!」


 レギュラス兄様が振り向いたとたん、アナスタシアとベラが「ギャッ!!」と小さく悲鳴を上げ立ちすくむ。


 兄様はシャツの前をはだけて汗を拭いていたところだった!!


 あわててアナスタシアを見ると、また顔から耳まで真っ赤にし、両手で顔を覆ってふるふると震えている。


 ……意外な反応。


「兄様、刺激的過ぎます!! ちゃんと服を着て!!」と私は叫ぶ。


「これは申し訳ない!!」

 兄様もあわててシャツの前をかき合わせながら向こうを向いた。


 何故かジョイが自分のシャツのボタンに手をかけたのを、オーランド様とギュスターブ様が止めている。

 

 何やってんだ?


 服を整えた兄様がこちらにやって来るとアナスタシアの前に片膝をつき「ご無礼お許し下さい」と言った。


「驚いただけです。私こそ恥ずかしい態度を……、ごめんなさい」とまだ赤く上気した顔から手を放して小さなかわいい声で返事をするアナスタシア。


 兄様はアナスタシアの手を自然に取ると立ち上がった。


「アナスタシア様は本当にかわいらしい方ですね……。

 花祭、よろしかったら一緒に見て回りませんか?」


 ミーナとベラが手を握りあって見守っている。


「……私で良ければ、喜んで……」

 

 兄様は私の方を向くと「ではミリアム、アナスタシア様との約束が決まったら教えてくれ。頼んだよ!」と言い、アナスタシアの手の甲に軽くキスをすると、さわやかに立ち去った。


 すげー、レギュラス兄様、刺激的を通り越して、破壊力ありすぎです!!


 みんなで兄様の後姿をぼーっと見送っていると、ジョイが忍び寄ってきて、後ろから抱きしめられる。


「僕も脱いで見せようか?」


 あ、さっきのそういうこと?! 対抗してたの、兄様に!!


 私が笑いながら「いえ、結構です」と言い、それを見たオーランド様とギュスターブ様が爆笑していた。




   ◇ ◇ ◇




  花祭までの約1週間の間に母とコンスタンティン辺境伯が正式に結婚し、私も辺境伯令嬢となった。

 

 私はこのまま王都の辺境伯邸で王都の薬種研究所入所試験の勉強と貴族令嬢になるための勉強を両立させていくことが決まった。


 入所試験に受かれば、1年間の見習い期間を経て薬師免許がもらえる。そうすれば、母のように研究所に勤め続けることもできるし、研究所以外(病院や商店など)でも薬師として働くことができるようになる。

 

 どうするかはその時によって、また選択していくことになるだろう。 


 

 公爵領のおじいちゃんとアルバートの様子も気になる。


 母がヒルデガルド様に、おじいちゃんが定期的に医師の診察を受けられるようにお願いしたそう。

 私もアルバートとの手紙を続けるし、行ける時があれば、おじいちゃんに会いに行きたいと思っている。


 そのためにも勉強頑張るぞ!!


  


   ◇ ◇ ◇ 




 花祭当日。準備もあるので集合は辺境伯邸とした。


 私はアナスタシアから贈られた、あの思い出の青い服を着た。

 アナスタシアも私と同じデザインの緑色の服を着ている。


「あ、兄様の色!」と言うと、顔を真っ赤にして「そんなんじゃなくて、ミリアムとお揃いにしたかったの!!」とあわてていた。


 かわいい! でも、兄様の色ってのも絶対考えたよね?!


 兄様にはアナスタシアの服の色に合わせて緑色のリボンを、ジョイには私の服の色に合わせて青いリボンを飾りにして身につけてもらった。


 兄様はアナスタシアに白いバラの花束を贈った。

 アナスタシアはそこから1本抜き出すと兄様の胸飾りに差し込んだ。


 それがあまりに自然で、見ていてとても素敵だった。


 ジョイも私に赤い花束を贈ってくれたので、アナスタシアの真似をして、ジョイの胸に飾った。


 いざ、楽しみにしていた花祭へ!!



 空は晴れ、春の日差しがキラキラしている。


 過去の記憶や小説の世界、そして社会的な身分の差など様々な問題などが複雑に絡みあうこの世界。


 とても複雑だけれども、そこに生きる人達で作り上げられているこの世界は美しい。


 そして私達にとって、今、生きているこの時が、一番大切で愛おしい。


 私は心の底から、そう思った。




   《 完 》

これでミリアムとアナスタシアの物語は終わります。

読んでいただきありがとうございます。


そして、修行中の私の文章に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。


アドバイスや批評を頂けたらそれを参考に、次の話にも挑戦していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

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