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7 『フラワーフェスティバル』(前)

悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きです。

読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。


よろしくお願いします。

 私はお嬢様と話したかった。

 母に相談すると、何とかすると言って出ていき、戻ってきたと思ったらヒルデガルド様の部屋に連れていかれた。

 

 お嬢様がいて思わず駆け寄り、抱き合う。


「私達は隣の部屋にいるから」とヒルデガルド様と母が出て行った。


「大丈夫だったミリアム。 あれ、もう幽閉だよね。お父様やばいよね」

「ちょっとつらかったけど、まだ4日目だったので耐えられました。

 ヒルデガルド様が来てくれて、やっとお嬢様に会えてこうして話せて、うれしいです」

「うん、うん、良かったよ~」


「聞きたいことがあります!

 『フラワーフェスティバル』って、有名な小説ですか?」


「えっ?」

 お嬢様、かなり動揺している。


「誰でも……、前世では誰でも知っている有名な作品でしたか?」

「有名ではないわ。知ってる人もほとんどいないはず。たぶん、書いた本人と私ぐらいだと思う」


 ということは、母が書いた人??


「書いた人ってどんな人ですか?」

「……私の前世の話になるけど、いいかしら?」



 お嬢様の話によると……。


 お嬢様は前世で中学校(13~15歳の学校)の先生という仕事をしていたそうだ。


 先生が30歳の頃の教え子で母ひとり子ひとりの家庭の子がいた。それだけならばよくある話。しかし、その子はほかの子ども達から孤立しがちで大人びた少女だったそう。

 

 だんだんとその子が心を開いてくれるようになり、誰にも言わないでと自作の小説『フラワーフェスティバル』を読ませてくれた。

 

 そして卒業する時、小説をまとめた手作りの本をプレゼントしてくれたのだという。


 その後もやり取りをしていたが、次の高校(16~18歳の学校)卒業の連絡の後、連絡が途絶えてしまったそう。

 

 それからもその子がどうしているかと気になるたびに『フラワーフェスティバル』を読み返していたと。



「自分がつらいことや我慢することが多かったから、その先に幸せが必ずあるって考えたかったんじゃないかな……なんて思うのよね。

 私が死んで、その本が残っちゃって他の人に読まれたらいやだろうなと思ったから、私の棺に一緒に入れてって主人に頼んだの……」


 ということは、お嬢様の前世は……かなりの大人?


「私、52歳の時、病気で死んだのよ。

 結婚もしたし、やりがいのある仕事もした、娘と息子もいたのよ。

 だからかなー、今世で恋とか結婚とかしたいと全然思わないのよね。

 ミリアムのことは娘のような、孫のような……」


「あの、母と話してみませんか?」




   ◇ ◇ ◇




 隣の部屋から母を連れてくると、お嬢様の前に座ってもらう。


「お嬢様、お話とは?」


 母の問いかけにお嬢様が助けを求めるように私を見る。


「『フラワーフェスティバル』」


 私は呪文のように言った。


 ふたりとも動きが止まる。


「ふたりとも前世でこの小説を知ってるよね。

 そして、ずっとこの小説の登場人物を幸せにするためにがんばっていたんじゃないの?」

 

 お嬢様が目を大きく見開いた。

「あなた……、もしかして、まゆみさん? 田中まゆみさん?!」


「……山本先生?」

 母が椅子から立ち上がろうとした。


 私はふたりを部屋に残して、そっと部屋を出た。

読んで下さりありがとうございます。


お嬢さまとミリアム母の対決(?)でしたが、ミリアム外へ出ちゃいました。


次も頑張ります!


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