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第九十三話 第一都市に到着し移動する

港からは徒歩でもすぐに到着する距離に第一都市はあった。

交易都市群サザは都市と港が近い距離にある。

そして、第一都市の西周りに第十一都市から数字が小さくなり、東周りに第二都市から数字が大きくなる。

隣接する街までは、大きな街道が整備され、中心は首都機能を持つ。

中心の首都は第十三都市で、第十三都市と他の都市の間にも大きな街道が整備されている。

外周は大きな都市、中心に向かうほど小さな町や村があり、中心には首都があるといった時計のような形の国だ。


僕とサクラは第一都市に入り、宿をとった。

そして宿では冒険者ギルドの場所を聞き、冒険者ギルドに向かった。



都市と呼ばれるが、実際は街程の規模である。大きな街中は様々な店、露天、商品であふれ、世界中の品物が集まるようだ。

都市によっても交易場所が違うため、それぞれの特徴が出るようで、第一都市はテザン皇国から運ばれる品物が多い。



僕達は街並みを眺めながら歩き時間もそんなにかからず、冒険者ギルドに到着した。

冒険者ギルドでは絡まれることもなく、何でも相談受付に無事たどり着いた。


僕は何でも相談受け付けにいる、目の前の老齢の女性から従魔について聞くことにした。


「従魔はどういう方法で手に入れることが出来ますか?」


目の前の老齢の女性はラウールを見て、値踏みをしていたようだが、ゆっくりと話し始めた。

「従魔は魔物を直接手に入れる以外は、魔物の卵を手に入れることから始まります。魔物の卵を手に入れたら、自分の魔力を注ぎます。そして上手く魔力を注げた場合、魔物が生まれます。その魔物になつかれてはじめて従魔になります。」



「魔物の卵はどこで手に入りますか?」



「魔物の卵はダンジョンで稀に手に入ります。その他は、売り出されている魔物の卵を買うことだけより方法はありません。大体はオークションに出品されます。稀に直接店で売っている場合もあります。いずれも高価なので、ほどほどの稼ぎよりない冒険者は手に入れることはできません。」


「そうなのですね……。ちなみに……買うとなるとどれくらいの値段になりますか?」



「貴重な薬の材料になりますので、大きな家が一軒建つ程度のお金は最低でもかかります。卵一つで……かなりの数の薬の材料になりますから。」


「んーーじゃあ大体の魔物の卵は、オークションで……薬関係の人が落札するんですか?」


「薬関係が何かはわかりませんが、商人ギルドが大体は落札します。あとは他の国の貴族や、この都市国家の有力者が落札することもあります。」



「それでは、ほぼオークションで手にいれるのは無理と考えたほうが良いですか?」



「そうですね。冒険者だと、各種ギルドや貴族の家の予算に競り勝つのは大変だと思いますよ。」



「では、どこのダンジョンで魔物の卵は手に入りますか?」



「第三都市の中にあるダンジョンで稀に手に入ります。ただ、低階層はある程度の冒険者ランクの人でもなんとかなりますが、上階層の方は……高ランク冒険者でなければ無理だと言われています。更に五十階が最終階ですが……ボスが強いようで、一獲千金を狙うにもSランク冒険者以上のパーティーや、臨時パーティーを組んだSランク冒険者でなければ倒せないようです。さらにさらに、魔物の卵はまれにしか出ませんので、割に合うかはわかりませんよ。」


僕はそこまで聞いて受付さんにお礼を言って、サクラと共に冒険者ギルド内の酒場にいった。

酒場で間食を摂りながら、サクラと今後のことを相談した。


「サクラ、一先ずは第三都市に移動しても良いかな? それでダンジョンの情報を集めて、ダンジョン制覇をする。転移陣があるのなら……最短で繰り返しボスに挑んで、魔物の卵が出るまで挑み続けても良いかな?」


「良いわよ。ただし……あまりにも魔物の卵が出ない時は、オークションも考える事。二人のお金を合わせたら、一つくらい魔物の卵は買えるんじゃない?」


「良いの? 二人のお金って?」


「良いわよ。その代わり魔物の卵を落札した場合は、後でいっぱい依頼を受けて稼ぐこと。あとは死蔵している魔物の素材も売ってしまう事かな。」



「そんなことで良いのならお願いします。もしもなかなか手に入らない時は……オークションで!」


僕達はオークションまで視野に入れることにした。

それまでも、ダンジョンでは魔物の素材を無駄にせずに、全て回収すると決めた。



あとはサクラの大鎌だが、武器は第一から第三都市ではあまり良い物は流通していないようだ。

念のため街を見て歩いたが、一般的な剣や槍、杖などは良い物はあった。

しかし、大鎌のような癖のある武器は売っていなかった。



夕方になり、僕達は宿に戻った。


一晩休み、朝一番で移動馬車に乗り、第二都市に向けて移動を開始した。


第二都市までは、小さな町を挟んで二日で着く距離にある。


道中も大きな道は魔物討伐依頼が出ているようで、魔物を見ることはなかった。


魔物は道を大きく外に外れた場所に出るようで、時々ランクが高い魔物がでる。そう言った時は高ランク冒険者に討伐依頼が出るようだ。


そして無事に第二都市につき、一晩宿に泊まり、すぐ第三都市に向け出発した。



第三都市に向かう馬車で、Sランク冒険者に出会った。


今はソロで活動している冒険者で、名前をトムシーカと言い、今の僕と同じくらいの百七十五センチくらいの身長で、細マッチョな体型だった。青い髪を肩まで無造作に伸ばしている。顔も目が鋭いがイケメンだろう。剣を腰に携えている。



この冒険者から、第三都市のダンジョンの情報を聞くことが出来た。



「私の名はトムシーカと言う。元々はパーティーで行動していたが、メンバーの一人が高齢になり引退したことで解散し、それぞれの道を歩むことにして別れた。私はまだ二十八歳で、冒険者を続けるつもりだからここまで旅をしてきた。今回は臨時パーティーでダンジョンに挑もうと考えている。そして第三都市のダンジョンへ挑もうと思っている。第三都市に到着したら、冒険者ギルドで仲間を募集するつもりだ。」



相槌を打ちながら僕は話を聞いた。

「第三都市のダンジョンのボスは、何の魔物が出現するんですか?」


トムシーカは眉を顰め答えた。

「Sランクの魔物がランダムに出現するようだ。大体が決まったパーティーが挑んでいるため、情報がなかなか出てこない。しかし、Sランクの魔物だという事は伝え聞いている。」


「Sランクですか……?例えば?」


「例えばも何も、詳しいことは今の時点ではわからない。ただSランク冒険者が複数人いないと討伐できないと言う。」


「複数人ですか……。じゃあEXランクまでは出ないという事で?」


「そこもわからん。ただ一度ボス部屋で冒険者が全滅すると、次はまた違うボスに代わるような話はある。これは確かめることが出来ないことだがな。全滅した者に聞くことが出来ないから。」


「そうですね……。でもいつまでもボスを倒せないことはないのなら、強さが変わっている可能性はありますね。」


「そう言う事だ。もし同じボスが続き、EXランクの魔物が出現しているのであれば、今の時点で攻略できる者はいないはずだ。だからEXランクが一度出たとしても、次にボス部屋にはいると、違うボスになっていると考える。」


「魔物の卵はどれくらいの頻度で出ているんですか?」


「おそらく年に一から二度程度だ。」


「えーー! そんなに少ないんですか!?」

ラウールは驚いた。せめて百回ボスを倒したら一回は出ると思っていたから。


「そんなものだろう。Sランク冒険者のパーティーがようやく制覇できるダンジョンだ。年に何度攻略されているか……。おそらく多くても月に一度だろう。それでも十分な利益はある。ただし人数が多すぎる場合は別だがな。Sランク冒険者は他の依頼も入るからそんなところだろう。」


「そう言われるとそうですね。じゃあ十二回攻略すると、一度は魔物の卵が出る計算ですかね。」


「それくらいだろう。そして、大体は同じパーティだけが攻略している。なんでも期日を決めて集まっているそうだ。それでなければ、そうそうSランク冒険者が集まることもないだろ?」


「そうですね。Sランク冒険者がゴロゴロいても困りますね? ではトムシーカさんもその中に入るのですか?」


「どうだろう。私が入る余地があるのなら考えるが……。Sランク冒険者は人格も認められるランクであるから、変な奴はいないと思うが……考えている。」



こうして僕達は有力な情報を教えてもらった。


僕達との会話を終えたトムシーカは、静かに旅を楽しんでいるようで、無理に声をかけることもしなかった。


僕達はSランク冒険者と名乗ることはしなかった。

あえてここでいう必要も感じなかったからだ。

そして順調に馬車は先に進み、第三都市が近づいてきた。


「サクラ? サクラも従魔が欲しい?」

僕は意外に魔物の卵が出る気がして聞いてみた。


「ラウール……一先ずは自分の従魔を手に入れてから考えたら?今から先のことを考えてたら、いつまでたってもこの都市から離れられないわよ。ほっといたら延々とダンジョンに潜って、いくらでも従魔を増やしそうだからラウールは。」


僕はハッとした……

確かにずっと繰り返していそうだ……


「ごめんサクラ。そうだね。一先ずは僕の魔物の卵を手に入れて、孵化させて、従属させることが出来るか……そこからだね。」


優しい笑顔でサクラも答えた。

「そうよ。それでだめなら何度でもダンジョン攻略を繰り返しましょ。そして魔物の卵の孵化が簡単だったら、私にも挑戦させて。」


「わかった!」


そこから僕とサクラは、魔物の卵からは何が出るのか想像して語り合った。

どんな魔物が出ても大切にしようと。

そして出来る事なら、猫みたいな見た目の魔物が良いと話して盛り上がった……


そんな話をしているうちに第三都市に到着した。

そういえばこの都市は門番がいない……

門はあるが誰も見張りはいない。

その代わり、各種ギルドのどこかには自らの身分を登録するか、役所に報告をしなければならない。

そして憲兵が他の国よりも多く歩いていて、犯罪を取り締まっている。

周りは海に囲まれているだけあって、港の警備が厳重だ。

他の国から入国して移動する際の乗車券を買う時は、身分証の提示を求められている。都市間の移動も同様だ。


無事に第三都市についた僕とサクラは、どこにでも店舗を置いているのか、【宿屋わかば 第三都市支店】を拠点として連泊の手続きをした。


【宿屋わかば 第三都市支店】

おかみ:フーリン:恰幅の良い中年女性

料理長:ボグズ:筋肉質な長身の中年男性

フーリンとボグズ夫婦が取り仕切っていると教えてくれた。

そしてもし従魔を手に入れることが出来るなら、一緒に宿泊できるか聞いてみた。

すると大きい魔物の場合は厩舎になる。

小さくて部屋を荒らさない魔物であれば、一緒に泊まることが出来ると教えてくれた。

ただし今まで一度も従魔が一緒に泊まったことはないと言う。


僕はおかみのフーリンに、魔物の卵の相場を知っている確認した。

するとフーリンは答えてくれた。

ミスリル金貨一枚以上だと……日本円で一億円以上……




大量に作れると言う薬もきっと高いものだなと考えながら、部屋に移動するラウールとサクラだった。




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