第九十一話 港と船
港までの二日間、ラウールとサクラはたわいもない話をしながら過ごしていた。
僕達は外の景色を見ながら話している。
「ラウールは初め帝国に行こうかって言ってたから、てっきり帝国に行くのかと思ってた。」
「僕もそう思ってたんだけど、やっぱり従魔について色々とわかってくると、どうにか手に入らなかと考えちゃって。」
「そんなに従魔が欲しいの?」
「そんなに欲しいんだよ! もともと猫が好きだったから、猫が飼いたかったんだけど、この世界の猫は一緒に冒険できないでしょ。」
「そうだね、さすがに一緒に行動しても、どこかに行っちゃうしね。」
僕は小声で言うが「異世界って言うと、スライムとか狼とか……従魔を持つのって普通でしょ。僕も欲しかったし……だけど今まで周りでも従魔を連れている冒険者を見なかったでしょ? それで今回詳しい情報を集めると、サザに行けば何とかなりそうな感じじゃないか。」
普通の声に戻してラウールは「だから僕は従魔として魔物が僕の傍にいてほしいんだ。一緒に旅をしたいんだ。…………そうか!やっぱり僕は……速い移動手段ではなくて……一緒に旅する魔物が欲しいだけだ!」
……
「なんとなくそう思ってたよ。ラウールはもともと旅の時に街から街への移動を急ごうともしていなかったし。私もそんなに急ぐ気がないしね。」
「そうそう。移動速度を速くしたいなら走ればいいだけだしね!」
「それは嫌よ……」
……
何事もなく、港との中間の町に到着し、宿に宿泊した。
そして次の日には移動を再開した。
馬車に揺られながらサクラが話し出した。
「ラウール? やっぱりロマンはやめられないよね?」
「急なふりだねサクラ……」
「私は今のところロマンは大鎌だけ。だから今の大鎌よりもロマンに近い大鎌があったら買ってもいい?」
「もちろんだよサクラ。僕もサクラの大鎌探しをしてもいいんじゃないかって思ってたから。なんなら、一から作ってもいいんじゃない!?」
「そう?そうしたら、何か良いものがないか探すけど……良い物がないなら作ってもいい?」
「うん! もちろん一緒に探そう!」
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二日間経つと港に着いた。
今は夕方だが僕達は船の乗船券を買うために、乗船券売り場に来ていた。
乗船券売り場ではちょうど明日の昼出発の乗船券を購入することが出来た。
無事に乗船券を購入した僕達は、宿をとり休んだ。
次の日は朝食を摂り、すぐに港に向かった。
港には交易都市群サザの情報がえられる所があった。
早速情報を聞き、まとめてみた。
ここまでで知った情報以外だが……治安は普通なようで、街の中では危険が少ないようだ。
街の外には魔物がいる。時々高ランクの魔物も出現するようだ。
ダンジョンも存在している。今までは知らなかったが、ダンジョンは主にテザン皇国、ラシーア帝国、交易都市群サザにあるようだ。
サーシン王国とフイエウ共和国には、ほとんどないようだが、発見されていない可能性もある。
ジパンと言う名の島国へも航路があるという。ジパンの国について聞いた印象では、日本みたいな感じかな?
従魔についての情報も聞けた。やはり孵化させることも難しく、孵化させようとする者の魔力が関係するようだ。
そして不思議なことに、同じ場所で手に入れた卵でも、誕生する魔物は違う種類になるようだ。
魔物の卵は高価で、一般ではなかなか手に入らない。
従魔となる以外にも、そもそも素材が貴重な薬の材料になるようだ。
だからこそ他の国には流れにくく、従魔をその辺で見ることがない理由だそうだ。
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説明を受けお昼になるころに、船に乗り込んだ。
船の中は個室から多人数部屋、雑魚寝スペースと値段によって違い、僕とサクラはそれぞれ個室をとっている。
食事は各自で用意してもいいし、お金を払うと準備もしてくれるようだ。ただし載せることの出来る荷物が限られており、そこまで贅沢は出来ない。
……
僕とサクラは甲板にいた。
この世界での初めての船旅である。
サクラに限っては、前世も含めて初めてだった。
「ラウール! すごいね! 海の上を進んでるよ!」
そう言ってサクラは髪の乱れを直している。
「そうだねサクラ。自然の風と魔道具でこんなに速く進むんだね! この船は前世と同じくらい速いよ!」
なんだかんだと僕も感動していた。
「ほとんど揺れないし、船酔いするかと思ってたけど、これだと大丈夫そうよ!」
「僕も船酔いは覚悟してたんだけど、揺れはこっちの世界の船の方がないよ。何か魔法的な部分があるのかな? 何かが違うんだろうね!?」
そんなことを話していると、僕とサクラにマッチョな男が近づいてきた。
「おい! 良い女を連れてるじゃね~か!」
そう近づいてきた男に僕は警戒した。
「おい! 俺達と一緒に飲まねーか!?」
さらに近づいてきた男は、僕にも声をかけた。
「「???」」
僕はちょっと良くわからなかった。
「おい! 男の方……警戒しなくていいぞ! ただ飲まないか誘っただけだ。船の上でトラブルなど起こしたら……海に落とされるぜ! 船長に!」
僕はその言葉にびっくりしたが、警戒を解き聞いてみた。
「そうなの? 海に落とされる?」
「海に落とすは言いすぎたが、何かあった時にはこの船に乗っている奴らで協力しなきゃならね~! それなのにトラブルなんておこしゃ~、自分の命を危険にしてるも一緒よ! 稀に大型の魔物が出るからな! はっはーーー!」
……
「そうなんだね。初めて船に乗ったか分からなかったよ。ありがとう。だけど僕とサクラはまだお酒を飲まないから遠慮しとくよ。」
「そうか! 残念だな! 俺は船で初めて会う奴の話を聞きながら飲むのが好きなんだがな! 悪かったな邪魔をして!」
そう言ってマッチョな男は戻っていった。
……良い人だった。
つい警戒してしまったが、さっぱりした良い男だった。
そして船の上でのルール……トラブルを起こしたなら自分の身が危険になる。
今後も船に乗ることがあるから覚えておこう。
そうサクラとも話をして、部屋に戻るのだった。




