表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続魔獣の壺  作者: 夢之中
28/28

エピローグ(新しき星)

アディス達は、新しい星の上に立っていた。

そこは小高く盛り上がった残丘だった。

見渡す限りの緑。

涼し気な風が頬にあたる

植物の香りが鼻に香る。

それは環境シミュレータではなく自然の恵みだった。


エリスは、大きく背伸びをすると深呼吸する。

エリス:「空気がおいしい。」

エリスの何気ない一言に近くの人々が頷く。

エリー:「ほんとそう。

    まさか、空気がこんなにおいしいなんて

    知らなかった。」

ヴィヴィアン:「まったくその通りね。」


アディスは、(おもむろ)に振り返った。

そこには、数多くの簡易テントが設置されており、

その周りには1万人近くの若者が立っていた。

その後ろには、巨大な人工物があった。

降下用軌道エレベータ・バベルだ。

それは黒色の筒状の外観であり、雲の上まで続いていた。


バベルから1人の男が現れた。

そしてすぐ横の台の上に上がる。


クーカ:「皆さんお静かに!!」

その声に一斉に静まる。


クーカ:「投票の結果がでました。

    宇宙船は母星に向けて帰還させます。」

皆から安堵の声が上がる。

一部の者達から罵声の声も上がった。

それは、ジェイムス・ミラーの一派だった。


=====


皆が搭乗していた宇宙船は、大きな選択を迫られていた。

最も大きな問題は、コールドスリープの解凍問題である。

これは魔獣により解凍装置が破壊されたことに起因している。

バトラーの予測は悲惨な値だった。

多くが成功率10%未満の数値をはじき出したのだ。

これは大問題であった。

そして数少ない成功率90%以上の者達を解凍し、

投票で方針を決定する方法がとられた。

その数、およそ1万人。

これは全体の1%にも満たない数値だった。

装置の修理には特殊な素材が必要となるが、

その素材の入手が困難となるのだ。

母星まで帰還すれば大幅に成功率が跳ね上がることは

明白であった。

このため、意見は大きく2つに割れた。


一つ目は、低確率でも解凍すること。

二つ目は、母星まで帰還させること。


一つ目は、当初の計画通りであり、宇宙船を解体し、

素材として利用するというものだった。

しかし、犠牲となる者があまりにも多すぎた。

二つ目は、船を自動航行を母星に帰還させるものだった。

しかし、これも大きな問題を抱える事となる。

まず帰還に成功することができるかということだ。

問題が発生しなければ、帰還できるであろうが、

問題が発生した場合、バトラーのみで対処可能なのか?

場合によっては全滅もあり得る。

この不安が最も大きなものである。

さらに、移民者の環境面の問題もある。

それは、エネルギーの問題である。

宇宙船を帰還させるそれはエネルギーの放棄にほかならない。

原始とはいかないまでも、環境は著しく後退することになる。

食料面の問題もある。

これに関しては、宇宙船の存在の有無に関わらず発生する。

食料枯渇が早いか遅いかの違いであった。

多くの者がこの地から離れなければならなかった。

小さな問題は無数に存在した。

しかし、その全てを解決する方法は存在しない。

試行錯誤で解決していかなければならないのだ。

人々はそれらを前提に議論を行った。

そして最終的に投票で決めることとなったのだ。


=====


それから数日後、早朝


草原にそびえ立つ起動エレベータ・バベル。

その周りに、初期運搬用車両が放射状に配置されていた。

その数、およそ数百台。

車両に乗り込んだ人々は最後の通信を聞いていた。


クーカ:「皆さん、ついにこの日がやってきました。

    宇宙船の帰還の日です。

    そして我々の門出の日です。

    それを記念し、全員の名前を記した金属板を埋め、

    石碑を残す事にしました。

    石碑には、航海中もっとも活躍した7人の名前を

    記したいと思います。

    なお、順番に意味はありません。

    

    その7名とは、

     Adise

     Dors

     Anakin

     Mars

     Eris

     Vivian

     Elly

    です。

    

    さて、同一言語毎にグループは出来ていると思います。

    御承知の通り、宇宙船が出発すれば、

    ブレスレット端末は機能しなくなります。

    本日中に半径100Km圏内から離脱してください。

    軌道エレベータ・バベルは、順次爆破解体されます。

    

    皆さん人類の未来に向けて進もうではありませんか。

    それでは、グッドラック。」


一斉に車両が動き始めた。

それぞれが、それぞれの未来を求めて。


    :

    :

    :

    :

    :


音声:「集計が完了しました。

   この星の名前は『地球』に決定しました。」


やっと完結することができした。

大きな謎はほぼ回収できたと思っています。

番外編は執筆するかもしれませんが、

本編、続編は完結です。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=140266422&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ