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祝詞はコピペで十分だろ? ~落ちこぼれ陰陽師、京都のバグを1300年前の国家OSごと再起動します~  作者: ☆もも☆


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第一話 祝詞はコピペで十分です(嘘です)

阿倍野アキト。


名門・阿倍野家の次男坊。

本来なら、本部のエリートコース一直線の血筋だ。


問題は、大学の成績が**下から2番目**だったことである。


呪法の精密さ? ゼロ。

術式の制御力? 論外。

ただひとつ、「出力」だけが——


**国宝級。**


燃費は最悪。

けど、その力だけは、

本部のエリート連中が束になっても敵わない。


20××年。

陰陽師は、国家公務員だ。


残業代は「霊的手当」という名目でごまかされる。

現場は基本ワンオペ。有給は存在しない。


陰陽師の現場担当は、かなりブラックだ。


---


「……えー、本日の業務報告。

京都駅北口の空間バグですが、

祝詞を3回コピペして流しておきました。以上っす」


会議室が、凍りついた。


「アキトくん」


上司の橘怜タチバナ・レイが、

空のコーヒーカップを弄びながら口を開く。


「神様への誠意のビットレートが低すぎるんじゃない?」


「Wi-Fiが弱いのは、その神様の問題じゃないっすか」


「黙って現場行って」


「はい」


---


京都駅。

観光客でごった返す駅構内に、アキトは立っていた。


SNSでは「京都駅が迷宮になってる」と大騒ぎだ。

中央口から出ようとすると、なぜか北口に戻される。

Googleマップが「現在地:不明」を叩き出しているらしい。


「よっしゃ。一礼、二礼、パンパンっと。

後はこの壁をぶん殴るだけだ」


印を結び、霊力を拳に溜める。


「よーし——!!」


「ストップ。死にたいの?」


冷水をぶっかけられたかと思った。


振り返ると、グレーのつなぎにキャップ

手にモップを持った女性が立っている。


清掃員の格好だ。

だが、その目が——鋭すぎる。


「……え、なんだよ?!急に。」


「触ったら死ぬから」


「は?」


「龍脈が熱暴走を起こしてる。

不用意に干渉すれば、霊的な火傷じゃ済まない。

あなたの全出力が逆流して、京都駅ごと吹き飛ぶわね」


「……駅ごと!?」


女性はポケットから端末を取り出した。

画面には、アキトが見たことのないような

数値とグラフが並んでいる。


「原因は若草山の地下サーバーの熱暴走。

龍脈を逆流して、このエッジ端末——京都駅に流れ込んでる」


「えっ?」


「天平時代に構築された、日本管理用OS。

知らなかったなんて言わないわよね?」


「……マジで初耳です。」


女性の眉が、わずかに動いた。


「そう。……ついてきて」


「っていうか、誰?」


「カナ。……怜から連絡があったの。

『規格外の出力を持つバカが現場に来る、

死なないように見張ってやってくれ』って」


「……バカって言った? 怜さん、陰でそんなこと言ってんのか」


---


案内されたのは「関係者以外立入禁止」の扉の先。


「やり方は簡単。

鎮熱の祝詞を唱えながら、霊力を溜めた拳でこの壁を叩く。

タイミングは私が指示するわ。あなたはただ——ぶちこめばいい」


「それなら任せろ。得意中の得意だ」


「知ってる」


カナの「今よ」という声とともに、アキトは壁を叩いた。


**ドォォォォン!!**


光が溢れ、熱が引いていく。

一瞬、熱にのまれそうになった。


しばらくすると画面上の屈曲したラインが

ゆっくりと正常値へ戻る。


「……私があなたに声をかけた理由、分かる?」


「怜さんに頼まれたから……じゃ?」


「それだけじゃない。——さっきあなたが壁に触れようとした瞬間、

システムログに**管理者権限の反応**が出たの。

**1300年ぶりに。**」


アキトは、自分の掌を見た。


「九十日後に『京都全域のインフラ停止』が来る。

それを回避するには、あなたのその手が必要よ」


……俺に何をしろと?」


「それを、これから教えるわ。

次の現場は怜に伝えてある。よろしく」


言い残して、カナは雑踏の中に消えた。


「……ちょ、待てよ!おい!」


アキトの叫びは、京都駅の喧騒に吸い込まれた。


---


その夜、アキトのスマホに一件の通知が届いた。


差出人:阿倍野 晴臣(兄)


『やあ、チビちゃん。

京都駅での活躍、衛星から観測していたよ。

管理者権限の反応、僕には一度も出たことがないね。

……興味深い。 by兄』


「どこから見てんだよ!バカ兄貴!」


残り、九十日。

名門の落ちこぼれ。制御ゼロ。出力だけは、国宝級。


そして——1300年間、誰も持たなかった「管理者権限」の持ち主。

これは、最弱の天才が京都を救うまでの、90日間の記録である。


ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、第3話まで投稿します。


最後まで楽しんで頂けると嬉しいです☆

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