22話 雨歌への秘密? 1
➖不澤家〈自室〉➖
伊月に運ばれて帰って来たのはいいんだけど、部屋に閉じ込められた。まだ伊月から妖力を貰っていないのに緋華さんと一緒にリビングへ連行された。動けないんだけど……どうすればいいかな。声は出せるけど僕一人で歩けるわけではないのは帰ってくる時に分かった。
トイレに行きたいのに僕が移動できないとなるとこのまま漏らすことになるのは嫌だ。緋華さんでもいいから来てくれませんかぁ。この歳で漏らしたくないからお願いです。兄さんたちならいいけど、姉妹の方はやめてほしい。
「雨歌……とりあえず話は終わったぞ」
「い、伊月助けて」
「どうした?」
「漏れそう。我慢はしているけど、ヤバい」
「急ぐからもう少し我慢しろ!!」
解放された伊月が部屋に来てくれたことでなんとかなった。妖力を分けては貰えずお姫様抱っこでトイレまで運ばれたのは恥ずかしかった。まぁ本当にヤバかったから今回は我慢することに決めた。トイレはなんとか間に合いました。よかった。
「それで? リビングで何を話していたの?」
「今後についてだな。主に俺と雨歌、ついでに緋華のことについて」
「私をついでにするな!!」
トイレを済ませた僕は伊月に部屋まで運んでもらいベッドに寝かされて、そのまま会話している。緋華さんは勢いよくドアを開けながらこちらの会話に参加してきた。それにしても今後のことなんて決めて……説教ってしたっけ?
まぁどっちでもいっか。どうせ僕に欲情したら腕にあるリングが作動することに、ない?! いやなんでないの。嘘でしょう? あの頑丈そうなのを破壊したってことだよね。伊月って緋華さんと同じでパワー系だったけ?
「伊月、腕に着けていたリングは?」
「壊した。案外脆いな」
「いやソレ父様の会社で一番硬いやつ」
「作り直しを要求すれば?」
「雨歌くん、この馬鹿に何かされそうになったらコレを使ってね」
緋華さんが僕へ渡してきたのは小型のスタンガンだった。しかも特注だったのか分からないけど僕の名前が彫ってあった。緋華さんは僕が動けないことが分かっていないのかな? いやこの表情は分かっていてあえて渡してきたんだ。
こうなったら意地でも取ってやる。そもそも伊月の妖力がないと体に力が入らないって言うのがおかしんだよ。僕は元々、妖力が無くても動けていたんだから動けるに決まっているじゃんか。・・・伊月に言って妖力貰おう。
「伊月、妖力ちょうだい」
「いや……眩寺さんに言われて分けれないんだよ」
「父さんが!? なんてことを言ってくれてるんだよ」
「依存するのはよくないってさ」
「これに関しては眩寺さんの意見に賛成」
今後の話ってそれも含んでいたのね。僕抜きで話しておけばなんでも決まるって思っているのかな。そもそも今、体に力が入らなくて動けないのに妖力に頼らず出来るかっての。父さんと緋華さんは賛成なのは分かったけど、他にはいないのかな。
「他に賛成した人は?」
「俺以外全員だ」
「今回ばかりは誰も擁護しなかったよ。ってよりかは出来ないね」
「なんで……あっ」
「雨歌くんも気が付いたかもだけど、消失したでしょ?」
確かに伊月の妖力が無くなった。それのせいで動けなくなったから直させようとしているんだ。まぁそんなことにならなくても捕まってしまったからどっちにしても逃げれなかったんだよね。僕以外は知らないだろうから仕方ないだろうけど。
「今動けないと意味がないからちょうだい」
「ダメだ。俺が運ぶ」
「伊月」
「絶対にダメ」
「雨歌くん、諦めて」
「分かった。けどみんなが僕に隠していることを言って。二択だよ」
「「!?!?」」
いや驚かれても困るよ。僕がいくら鈍いからって気づくものはあるって中学の時に言ったじゃん。僕の為を思って隠しているのは分かっているから聞かないでいたけど、伊月の妖力をくれないって言うのであれば聞く。
コレは二人が選ぶ二択だ。決して僕が伊月の妖力があると動けるし、安心するって訳ではない。体も何故か火照るけど、妖力が暖かいからなのだろう。いや、抜けているのであれば冷えないといけないのかな? よく分からないや
「・・・妖力を渡す」
「伊月!? 絶対にそれはダメ」
「なら緋華は言えるのか?」
「うっ」
「言える訳ないだろ?」
伊月は緋華さんにそれだけ言うと僕に妖力をくれた。伊月は僕に絶対に言わないって分かっていたからこの二択を出した。緋華さんは迷うと思っていたけど、本当に悩んでいるんだ。僕に秘密にしているって言ったらこの体のことだろうし。
子宮があるってことはもう知っているから秘密にはならない。ってことはソレが一体誰ので何故、僕にあるのかだね。あの研究所で色々と薬も実験も経験した。だから体を改造されていても何もおかしくないし、覚悟の上だった。
外には出れたし伊月や緋華さんとも出会えたから別にもう気にしていないんだけどね。恐かった思いもしたのは確かでも違うこともある。
「動かせるようになったしリビングに行こ」
「またお袋に怒られるかぁ」
「大丈夫だよ。僕はフォローするから」
「私のフォローもお願いね」
「任せてください」
「はぁ」
伊月は心底めんどくさそうにしながらため息をついた。伊月からしたらまた怒られに行くようなものだもんね。僕がしっかりとフォローしないと。
(雨歌には言える訳ないだろ。あんな胸糞なこと)
「? 何か言った?」
「言ってねぇよ」
「雨歌くん、気にせずいこ」
「おいコラ緋華、どさくさに紛れて雨歌の尻を触ってんじゃねぇよ」
この二人は少しは仲良くしてくれないのかな? 仲いい方ではあるってことは理解しているけどさ。




