72 何か、を感じる……
こいつ、なにか、隠している。
ンドペキは、チョットマの話し方がぎごちないと感じた。
しかし、チョットマの瞳にどんな心が浮んでいるのか、窺うことはできない。
電波を通して流れてくる声も、いつものチョットマの声。
ただ、甲高い言葉の中に、何か、を感じる……。
あの敵。
かなりの熟練。
あれほど破壊力のあるエネルギー弾を使うマシンは、この辺りにはもういないはず。
もしいたのだとしたら、ニューキーツ軍東部方面攻撃隊の沽券に関わる事態。
ンドペキは思いをめぐらせた。
スコープにも反応がなかった。
つまり、監視人工衛星のカメラに捉えられなかったということ。GPSも役に立たなかったということ。
そんな事態、マシンの類ではありえない。
しかも、あの状況では地下に逃れたとしか考えられない。
通常、マシンは基本的に逃避行動をとることはない。
命が惜しい、とは考えない。
それらのことを考えると、チョットマを襲ったのは「人間」ということになる。
しかし……。
「おまえ……」
「ハイ!」
誰かに襲われたことがあるのか。
恨みをかうようなことがあるのか。
「ないです!」
「だろうな」
これまでチョットマを部下として見てきたが、そんな様子はなかった。
あるとすれば、本人も気付かないようなことだろう。
典型的な天真爛漫で、悪意というものを知らない、のがチョットマなのだから。
「しかし」
呼びかけておきながら、ンドペキは次の言葉がなかった。
人に襲われるという、しかも、あのような激しい方法で。
重い現実。
無理やり口から出た言葉に、我ながらげんなりするが、しかたがない。
「怪我はないか」
「ハイ! 全然、大丈夫です!」
襲ったのは自分ではないか。
ふと、と考えてみた。




