63 ピクニックの続き
「ねえ、パパ、あれ、なんだったと思う?」
「川向こうの軍勢のこと?」
「うん、軍勢というほど戦闘的じゃなかったけどね」
サリの捜索作戦がアリーナで解散となってから、チョットマは街には帰らず、もう少しピクニックしよう、と誘ってくれた。
もとより、イコマに異存はない。
アリーナからさほど遠くないところに、かつての港があった。
岸壁は崩れ去り、ガラクタとなったクレーンや建物の足元を波が無雑作に洗っている。
海は青く、以前のような悪臭を放ってはいない。
沖合いの白波が繋がっては消え、潮の香りが満ちていた。
「このあたりは、あまり強いマシン、いないよ」
リラックスして、チョットマは巨大なコンクリートの塊に腰かけている。
イコマは、その肩にとまっている。
フライングアイは、視覚と聴覚を備えているだけではない。
嗅覚もあるし、気温もわかる。
重力はもちろん風を感じることもできる。
電波的な会話を楽しむことができるし、音声でも話ができる。スピーカを通して。
そして、きわめて小さいものだが、手や足も備えているのだ。
そんなフライングアイが、チョットマの肩に乗っかって話をする。
まさしく、目玉親父。
「高度に人間的な生物、としか言いようがないね」
「人間じゃない、ってこと?」
「難しいね、その質問は」
「でも、人の言葉を話してたよ」
「まあ、たぶん、人間だな」
「へえ! パパはああいう人間を知ってるの?」
「いや、初めて目にした。ただ……」
思い当たることはあった。
「ただ?」
「いや……、昔読んだSF小説のシーンを思い出しただけ」




