6 ね、こんなことってある?
ベルベットのスツールに座ったチョットマ。
泣き出しそうになるのをこらえて、話してくれる。
サリは、上官のンドペキと作戦行動中だったらしい。
いつも、最近の出来事を話してくれる「娘」。
そのほとんどは、自分が属しているニューキーツ東部方面攻撃隊のこと。
おかげで、イコマは攻撃隊の成り立ちや構成員について、かなり詳しく知っている。
日々、どんな活動をし、どういうルールがあるのかさえ知っている。
「サリがやられた!」
ゴーグルに流れた緑色の文字は、ンドペキが発したものだった。
チョットマは、記憶に留めただけで、作業に没頭していた。
先ほどから、執拗に攻撃してくる自動殺傷装置系ロボが放つ電流系エネルギー弾を、ハンディシールドで受け流しながら、小さな箱を地面に据えた。
箱は超密度の金属製。
上部にふたつのスイッチが付いている。手の平に軽々と乗るシンプルなもの。
スイッチを押すと、振り返りざまにショットガンの引き金を引き、装置系ロボを粉砕すると、スコープのモードを切り替えた。
小箱からは既に大量の赤い髪が伸びている。
箱の金属そのものが、かろうじて目に見える程のごく微細な糸となって、周辺の希少金属を採取してくるのだ。
周りはありとあらゆる瓦礫で埋め尽くされている。
見慣れた光景。
というより、チョットマはこんな光景しか見たことがなかった。
どこまで行けども、コンクリートと金属と樹脂系のゴミの山。
そして砂塵舞うばかりの荒れた原野。
これが地球の光景なのだと思っている。
もっとも、チョットマの移動継続能力は高い方ではない。
ねぐらとしている街から遠出したとしても、距離にしてせいぜい三百キロメートルほど。
その向こうに何があるのか、知らなかったし、知りたいとも思わなかった。
少なくともこの瓦礫の山より、いいものが待っているとは想像もしなかったから。




