第7話 ヨハン永遠の別れ
「…知らない天井だ…」
目を覚ましたヨハンの目に飛び込んできたのは見知らぬ天井であった。
「おっ目が覚めたか!」
横から声がして顔を向けると見知った顔がそこに在った。
嬉しそうにこちらを見ている彼は同じプロメタの町出身で俺よりも1年早く兵士になったブランさんだった。
「ブランさん…」
「聞いたよ、プロメタの町が落ちたと知ったんだな」
「…夢じゃ無かったんですね」
俺の言葉に頷くブランさんは手を伸ばしてきた。
「立てるか、今ならまだ間に合うから最後の挨拶に行くか?」
「最後の挨拶?」
「フローラにだよ」
その言葉にヨハンは涙を浮かべそうになるが歯を喰い縛って頷き返す。
そこは死体安置所であった。
回収できた遺体がアンデットにならないように集められ聖火で浄化されるのを待っているのだ。
そして、その中にフローラは居た。
胸に残る傷以外は綺麗なもので今にも目を覚まして起きそうな彼女の横に座り込みヨハンは手を握る。
「一生守るって誓いを伝える前にこんな別れになるなんて…だけどいつか俺もそっちに行くから待っててくれ…」
涙は流さない、後悔はしない、ヨハンは自らに覚悟を決めた。
フローラ以外を愛さずその人生を魔人族への復讐に費やすと。
暫く時間が経ってブランさんが声をかけてきた。
「ヨハン、実は魔人族に対抗する最後の切り札があるんだが…やってみないか?」
ヨハンは決意を決めた瞳でブランを見て答える。
「やりますよ、この命は魔人族を殺すために使うと決めました」
ヨハンの言葉にブランは頷き返し二人は場所を移すのであった。




