表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/12

プロローグ



 

気が付いた瞬間、視界が白く塗りつぶされた。


――熱い。


 いや、そんな生易しいものじゃない。肌を焼くような熱風が、肺の奥まで満たしていく灼熱だ。


 逃げ惑う足音と、程なくして聞こえてきた人々の悲鳴。もはや何を言っているのか聞き取れないほどの絶叫だった。



 何かが崩れる音がして、ここが建物の中だと朧げに理解する。熱でぐにゃりと歪む視界の端に、火災の赤とは違う、不自然なまでに白い閃光が走った。

 そして、爆発音。


 それは遠くで一度発生したかと思うと、立て続けに何かに誘爆しながら、凄まじい勢いでこちらへ迫ってきた。


 立たなくては。逃げなくては。


 本能的な恐怖に突き動かされたとき、右手に重みを感じた。それは誰かの、細い手首だった。

 誰だ?


 その顔を見ようとした刹那、すぐ背後で耳をつんざくような轟音が轟く。閃光が、またしても目の前を白く霞ませた。


「はや……、逃げ……ろ!」

 喉が焼けて声が出ない。


 それでも、この手だけは離しちゃいけないと本能が、いや、それ以上の深い場所にある何かが叫んでいる。


 涙さえ蒸発するような絶望の中で、俺は目の前に倒れている黒い影に覆い被さり、必死にそいつを庇い続けた。


――助けたい。助けなくちゃ。


――だって、だってお前は……っ!

 

 頭上で巨大な爆発が起きた。次の瞬間、後頭部に硬い衝撃を受け、視界が真っ暗になる。


 意識が、ぷっつりと断ち切られた。


※※


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ