第四章:尋問の晩餐と愛した者の血杯
#完璧な家族の作り方 #ネット小説 #なろう #サイコスリラー #胸糞小説 #ダークファンタジー #ホラー #R15
今夜の軽井沢は、冷酷だった。雷雨が別荘の窓を叩きつけるが、食堂の内側では、それ以上に恐ろしい静寂が支配していた。
【視点:風間源一郎 — 罅割れた支配者】
世界が揺れている。彼らは誰だ? ああ、そうだ。私の子供たち。いや、違う。彼らは私の歩く臓器だ。
「結莉、私の愛しい子……」
私は掠れた声で囁く。「この家に病原菌が紛れ込んだ。兄の衛土が……不潔で鋭利な物を持ち込んだのだ。それは家族の神聖を汚す。そうだろう?」
私は結莉を引き寄せ、冷たい磁器の皿が並ぶ食卓の上に彼女を座らせた。シルクに包まれた彼女の腿を撫でながら、もう片方の手で鋼鉄のメスを握る。
「私をどれほど愛しているか証明しなさい」
私は結莉に血管鉗子と皮膚鉤を握らせた。「兄の口から嘘を摘出するんだ。もし上手くできなければ……今夜『作り直し』されるのはお前の方かもしれないよ」
さっき彼女に接吻したか思い出せない。だから私は彼女の顔を引き寄せ、荒々しく唇を奪った。手の中の鋼の臭いが彼女の感性に染み渡る。「おやりなさい。我々の愛のために」
【視点:風間結莉 — 愛に酔う処刑人】
胸が疼き、そして満たされる。お父様が私を疑っている? いいえ、これは試練。彼が、私が彼の傍らに残る唯一の資格があるかを見極めようとしているのだ。
私は、有刺鉄線でオーク材の椅子に縛り付けられた衛土を見つめる。それは父がかつての「時代」から持ち帰ったコレクションだ。
「ごめんなさい、お兄様」
私は衛土に歩み寄りながら囁く。お父様の支配的な接吻のせいで、顔は火照り、視界は熱を帯びている。「貴方がお父様を怒らせたのよ。お父様を不快にさせる者は、誰であれ許されないわ」
私は血管鉗子を手に取った。長年お父様の技術を観察して学んだ動きで、衛土の人差し指の爪の下の皮膚を強く挟み込む。
――カチッ。
肉と爪をロックする鋼鉄の音が、異様に響いた。衛土が絶叫し、体が激しく痙攣する。
「あの砥石、どこに隠したの?」
私はゆっくりと鉗子を捻り、爪を根元から引き剥がしながら問いかける。「電気焼灼器を使わせないで。お気に入りのドレスにあの臭いがつくのは嫌なの」
私はお父様を振り返り、賛辞を求めた。お父様はうつろな、だが暗い情熱を宿した瞳で私を見つめている。テーブルの下で彼の手が動いている。まるで見えない手術をしているかのように。私は万能感に満たされていた。私はお父様の右腕、彼の振るう刃そのものなのだ。
【視点:風間衛土 — 静寂の中の悲鳴】
ああああ……ッ!
言葉にできない痛みが走る。中枢神経を直接雷が打ったかのようだ。結莉……昔、俺が絵本を読んでやったあの妹が、今は薬物中毒者のような瞳で俺を見下している。
「ゆ……床下の……タイルの……」
噛み切った唇から溢れる自分の血に咽せながら、俺は白状した。
結莉が微笑む。それは慈悲ではなく、勝利者の笑みだ。彼女は近づき、嵐の音に紛れて俺にだけ聞こえるように囁いた。
「ありがとう、お兄様。これでお父様は良い子の私に褒美をくれるわ。貴方へのプレゼントは? お父様、貴方で新しい『無麻酔剥皮術』を試したいんですって」
部屋の隅で、詩織が耳を塞ぎ、体を揺らしながら独り言を言っているのが見えた。あいつはもう壊れている。そして次は俺の番だ。声の出ない人形にされる順番が。
【視点:風間詩織 — 囁く目撃者】
爪が剥がれる音は、乾いた小枝が折れる音に似ていた。
メキメキ。バキッ。
衛土お兄ちゃんの指から、赤い糸が溢れ出すのが見えた。結莉お姉ちゃんは頬に飛んだ赤い汚れを舐めとって、またお父様に接吻した。二人は、衛土お兄ちゃんを生きながら貪る二頭の怪物のよう。
壁がまた私に囁く。
『逃げて、詩織。じゃないと、次はあなたが彼らのデザートにされるわよ』
「最後までお読みいただきありがとうございます。次回の更新は明日、22:00を予定しております。また明日お会いしましょう!」




