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兵士とAIの異世界帰還録  作者: 古河新後
1章 仁義と破壊の魔王
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第55話 部下

 英国によって開発された最新の戦闘機『SKA-4』は基地を経由しつつ世界一周の飛行試験を行っていた。

 長時間の飛行による部品の磨耗を計測する為に戦闘用の装備を一式取り揃えている。

 無論、使用する事が出来ない様にロックがかかっており、パイロットが行使する際には本国に許可を取らなくてはならない。


「こちら、レイド0。任務10日目。今回は南極の空母(マザーベース)に着陸する」

『こちら、空母管制室。了解した、レイド0。くれぐれも機体を失くすなよ? その機体はお前が孫の代まで借金しても返せない代物だ』

「了解した、管制室。十五分後に会おう」


 ジョークを交えつつ、晴天の空を飛行する。

 『SKA-4』は昼下がりの赤道を飛行しそのまま南下。南極を移動している空母へ向かっていた。


「――なんだ?」


 南極に近づくにつれて周囲が曇り出す。

 パイロットは雲の中に入ってしまったと思い、レーダーを見る。

 最新のレーダーには衛星を通して眼下の地形も詳細に表示されていた。視界は悪いが経路は問題ない。

 しかし、次の瞬間、レーダーの地形情報はノイズと共に全て消失した。


「?! こちら、レイド0! 聞こえるか?! 空母(マザーベース)! 誰か聞こえないか?!」


 そして、雲の終わりが前方に見えそのまま突き抜けた。


「――なんだ……ここは!?」


 『SKA-4』が出たのは夜の草原上空。

 レーダーには眼下に無数の兵隊と兵器群。前方では太陽のような熱源を持つ炎の鳥と、ドラゴンが戦っていた。

 咄嗟に回避行動を取り、旋回飛行に移る。






「あれは……鳥?」


 亜空間から飛び出してきた『SKA-4』を見たアーフィアは自分が創造したモノでないと認識する。


『今度は何さ!?』


 シャロンはアマテラスを捌きつつ、『SKA-4』の出現を気にかける。


 無尽蔵の兵隊によって戦線を下げざる得ない騎馬連隊も何人かが飛行する『SKA-4』の存在に気がついた。


「団長、あれも敵ですか?!」

「解らん。シャロン様から何も言ってこない以上は……」


 敵として見るしかない。






 夜空を飛行する“鉄の鳥”は敵か味方か。

 その情報を握っていたのは、戦場から少し離れた丘上に居るファウストとアリスだけだった。


『“ユニオンフラッグ”を確認。英国軍の機体です』

「管轄は空軍か?」

『はい。最新鋭の高機動戦闘機『SKA-4』。我々が転移する約10日前より長距離飛行任務を始めています』

「パイロットに繋げるか?」

『繋げました』


 おそらく、パイロットは困惑している。ファウストは落ち着かせる意味でも冷静に言葉を選ぶ。


「聞こえるか? 『SKA-4』のパイロット」

『?! 聞こえる! こちらはレイド0! 貴公は誰だ? ここはどこだ?!』

「こちらはイギリス宇宙軍特務大尉のファウスト・F・ゴードン。落ち着いて聞いて欲しい」

『――ファウスト……まさか……隊長?』


 パイロットの言葉にファウストも直感的に察した。


「お前、マーク?」


 それは戦争の時にファウストの小隊に一時的に配属された部下だった。


『そうです! マーク・レギンです! 隊長は何でこんなところに?』

「話せば長くなるんだが、今は戦争中だ」


 戦争中。その言葉は軽々しく出てくるモノではないとマークは理解している。


「戦局を変えるための手が足りない。力を貸してくれ」

『了解。指揮下に加わります』

「頼んでおいてなんだが……お前の方は良いのか?」


 この会話は機体の機密装置(ブラックボックス)に録音されている。

 空軍の管轄であるマークと最新機の任務外行動は厳罰に処される可能性が高かった。


『今の私があるのは隊長のおかげです。それに、今は空母(マザーベース)との連絡は取れませんし』

「全く……お前は出世しねぇな」

『机仕事(デスクワーク)なんて真っ平ですよ。私はパイロットですから』

「ハハ、オッケー」


 ファウストはアリスに機体の情報を調べさせ、装備の使用制限を全て解除(アンロック)させる。


『これが試験中の極秘AIですか?』

『アリスです。よろしくお願いします、マーク』

「まだ子供だ」

『刹那的な大尉よりは倫理的です』

「生意気言ってら」


 二人のやり取りにマークが笑っているとアリスから『SKA-4』へ戦局と味方と敵の情報が詳細に表示される。

 そして、戦争を終わらせる方法とファウストが取りたい行動も――


『隊長、掴めますか?』

「問題ねぇ」


 すると、旋回し続ける『SKA-4』を不審に思ったのか、地上から滞空ミサイルにロックされる。


「タイミングは一回だけだ。二度はない」

『わかっています』


 発車されたミサイルを熱源撹乱(フレア)を巻いて『SKA-4』はかわす。

 そして、ファウストの居る丘上スレスレを飛行すると、大きく上昇して夜空へ昇り、敵の攻撃が届かない高度へ。


「マーク。命令だ」

『何でしょう?』

「オレに何があってもお前は生きて帰還しろ」

『私は約束します。隊長を生かして還すと』

「ありがとよ」


 亜空間に対し僅かに角度をつけて降下を開始する『SKA-4』。

 その下部には『人型強化装甲(アサルトフレーム)』がしがみついていた。


 ディザロを救助する為にファウストは亜空間への侵入を狙う。

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