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序章
宝石のような美しさを持つ蝶は、見るものを魅了する。蝶の血を引く一族は、人を引きつける優美さと高貴さをまとっている。契りを結んだ純血の男女から生まれた女は一族の継承者となり、男は継承者を守る役目を担う。
同種に蛾の血を引く一族がある。しかし、蝶と蛾一族には大きな違いがある。蝶一族は優美さと気品で異性を魅了するが、蛾一族はフェロモンで異性を操ろうとする。ただし、蛾一族が決して醜いわけではない。美しい人間がいるように、蛾一族にも美しさは存在する。蝶と蛾一族の区別は非常に難しい。そして、蛾一族に継承者は存在しない。
真実は定かではないが、蝶の血は栄光と幸福がもたらされると囁かれている。そのため、蛾の男は栄光と幸福の恩恵を受けるために蝶の女を狙い、蛾の女は蝶の美しさを子孫に伝えようとして蝶の男に付きまとう。
これも、噂の域をでないが、栄光と幸福は血の濃さに比例していると言われている。そのため、蝶は純血を守ろうとし、蛾は混血を望む。相容れぬものであり、蝶一族は血の存在を隠し、蛾一族は血を偽る。血筋はますます不明瞭となり、自身の血筋を知る者は僅かとなってしまった。




