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16話 出会い

ふんわりとした声は柔らかさを纏っている。所謂イケボってやつだ、イケボ。


その声の主の方を見る。そこに居たのは、シャル王子と同じ、金髪に琥珀の瞳の青年。シャル王子は目がつり目でキリッとした感じなのだが、こっちの青年はどちらかと言うとタレ目で優しげな感じだ。そんな儚げな青年が心配そうに眉を下げていた。


その青年は、ソファに座っていたようで、ソファから立ち上がるようにして 椿を見ている。どうやら椿の姿を見た瞬間に立ち上がったようだ。


そして、その隣にはシャル王子も座っていた。


隣に座るシャル王子とその青年は雰囲気がそっくりだ。雰囲気の体感温度は違うけれど。シャル王子はどこか人を寄せ付けない感じだけど、この青年はどちらかというと穏やかそうだ。


青年の姿を見て、どうしていいか分からず固まってしまっている……なお、心は色々叫んで忙しい……椿の方へ、その青年は近づいてきた。なんか歩き方が優雅だ。


そっと近づいてきた、それはもう羽のような歩き方……って表現いいのか?羽には足はないが……で歩いてきた青年は、椿の前に立ち止まる。


え、扱いに困るよ、私は。


初対面だけれど、相手は私……じゃなくて私の、なんだろ、生まれ変わる前の人の知り合い?に心配されるなんて経験、ないもの。


……言ってて思った、ややこしい関係だな、これ。


なんて思っていると、腕の中のサンがうずうずしているのが視界の端に見えた。そして、その青年の方へと飛び出していく。


「……ハル王子ー!!」


あ、この人、王子なんだ。

ってことは、このシャル王子とこの青年……ハル王子、と言うらしいは、ご兄弟ってことかな?と分析する。

通りで雰囲気そっくりなわけだ。


飛び出したサンを驚きつつも受け取めるハル王子。動体視力が凄いらしい。


「サンじゃないか!久しぶりだね」


ふわりと笑顔を緩めるハル王子。

じゃれつくサン。


サンと話しているハル王子の立ち振る舞いもどこか優雅で気品を感じさせる。


なんかほんとにおとぎ話の世界みたいだなぁ。


……なんて、分析している場合でも、関心している場合でもなかった!


サンとなんだかワイワイ、キャッキャウフフしているけれど、一言よろしい?


私はどうすればいいの!?


これに尽きる。


二人の世界に入らないでくれないかな?!


シャル王子も我関せずでメイドさんに紅茶いれてもらって、優雅に飲んでるし!?


一言言うといっても声には出せないし、表情もポーカーフェイス……のつもりだから、周りには分からないはず、だが、心の中は少々荒れ気味だ。


相手は椿を……というよりはマリーさんを知っているようだが、こちらとら初対面だ。さすがに荒ぶる姿は見せられない。


「あのぅ……」


恐る恐る声をかけると、ハル王子ははっとした顔をし、サンを腕に抱きしめたまま、こちらを向いた。


「マリー!16年間どこに行っていたんだい!?私は、君が心配で……」


ハル王子は、その美麗な、形のいい眉を下げ、心配そうに言った。そして、腕の中のサンの方へも視線を向ける。


「それから、サンも……君もあの事件の後、行方不明になって……」


そう不安げに言葉を紡ぐハル王子。

シャル王子の態度と比べるとだいぶ差があるような気がする。シャル王子は、穏和な人らしい。


「……ハル王子……」


そんなハル王子に、真剣な声音でサンが話しかけた。今までに聞いたことの無いほど真摯な声。


「……なんだい?…」


それに呼応するようにハル王子の声音も真剣なものになった。そんな時、


バタンッ!!


と丁度椿の後ろにある扉が開く。


「マリーお姉様が見つかったってほんとですこと?!」


響いたのは凛とした、だが、まだ幼げの残る声。


なんかこういう、いきなり声をかけられて、話が止まったりする展開、多いな、なんて思いながら、の方を見ると、本日3度目の金髪、琥珀色の瞳に出会った。


現れたのは、透き通るように白い肌に、ふわりと伸びた、傷みなんて知らないであろう金色の髪をハーフアップにし、淡い水色のドレスを着た少女。


鼻筋が通っており、目も大きく、その周りを長いまつ毛が縁どっている。


そして、走ってきたのか頬にはほんのり薔薇色が挿し、なお一層その子の美しさを助長している。


見た目でいうと、中学生くらいだと思う。


少女の登場に呆気に取られている椿に、少女は、しまった!という顔をした。


「ミシェル……マリーのこと、心配していたもんな…」


ハル王子がそう、その少女に向かって言った。すると、少女、改めミシェルさんは居心地悪そうに目をくるりと泳がせた。


「……わ、わたくしは、べ、別にマリーお姉様が見つかったって聞いて安心なんかしてませんし、ましてや、喜んだりなんかしてないですから!」


ミシェルさんはプイッとそっぽを向き、そう言う。明らかに動揺しているのは見なかったことにしよう。


「ミシェルは素直じゃないなぁ。本当はとても嬉しくて、いてもたっても居られなくて走ってきた癖に」


ハル王子は苦笑しつつそう言った。


「……そ、そ、そんなことなくってよ?……」


なるほど、ミシェルさんは、所謂ツンデレ気質なわけね、と椿はひとり納得する。


でも、私はマリーさんじゃないから……。


心配されるのは私じゃないから……。


きっと、ミシェルさんが来る前、サンは椿のことを話そうとしたのだろう。ならば、今から言ってもいいはずだ。


「……すみません、お話があります」


椿はぐっと前を向き、そう真剣な声音で言った。すると、サンが、椿を見て、コクンと頷いてから、


「人払いを!」


サンの通る声が部屋に響いた。

登場人物が増えました!

とはいえ、まだ物語の中ではハッキリとした説明がないので、わかりづらいかと思います……。

次回か次次回くらいで、ハッキリすると思います。

そして、ハッキリしたら、このあとがきの所に少しではありますが、まとめようと思います。

よろしくお願いします。

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