転生、そして平和な日常の幻想は崩れ去った
「どうしてこんなことに……」
可愛らしい少女がふわふわした栗色の髪が乱れるのもきにせず保健室のベッドのうえで頭を抱えながら唸っていた
「モブだと思ってたのにぃ…」
少女は目元に涙をためながら、うぅ…と嗚咽をもらす
こんな状態でも10人中20人は振り向く(二度見だ)ような可愛らしい容姿の少女に1つだけ違和感があった
少女は何故か学ランを着ていた
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あぁ…短い人生だった…
俺の目の前に電車が迫って来ている
別に線路に落ちた子供を助けた訳じゃない
勿論ホームレスも助けてない
部活で折れた足では線路からよじ登ることもできない
俺が死んだら皆悲しんでくれるのかな…そんなことを線路に落ちて打ってしまった頭でぼんやり考えていると目の前には電車の車輪
「……あの世ってあるのかなぁ」
そんな電車の騒音で聞こえなさそうな呟きを最後に俺の意識は完全にブラックアウトした
「うびゃあ!!ま、ましゃか黒い玉のあるあの部屋に!?」
ばっといきおいよく起き上がった俺の目には黒い玉ではなくビックリして目を見開いた女性がうつっていた。
「…………………あれ?」
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俺の目の前の驚きで目を見開いた女性が言葉を口から発する前に、ぱっと目に入った17歳の健全な男子高校生とは思えないプニプニしたお手てをみて瞬時に全てを理解した俺は一瞬で考えをまとめあげ、口を開いた
「おかあしゃぁぁん!!怖い夢見たよぉぉぴぇぇぇぇ!!」
俺は横になっていた子供をやさしく撫でていたらいきなり子供が意味不明な事を叫びそれにビックリして目を見開いたであろう女性に抱きついた
どっ、どうだ…最悪この人が母親じゃなくても寝ぼけていたと言えばなんとかなるだろう…ゴクリ
「……あら~ハルくん怖い夢みちゃったんだね~大丈夫よ~おかあさんがいるからね~」
よーしよし、と頭を撫でてくれている女性をみて、作戦成功っ!と頭の中で考えながら女性に抱きつく
フッフッフ携帯小説を(転生もの)を読みまくった男子高校生の妄想力をなめるんじゃない!
携帯ばかり弄ってないでもっと役にたつことしなさい!と説教してきた母親にいまならガンtじゃなくてガツンといえる、役にたった!!ってな
フッフッフさてそろそろ嘘泣きも止めるか
……あれ?何でだろ涙止まらねぇや…おかしいな…?
俺はもう理解していた
男子高校生の俺はもう死んでしまったと言うこと
前世にやり残した事が一杯あったこと
もう、直ぐに説教してきた母親にも、落ち込んでいるとき励ましてくれる優しい父親にももう会えないってこと
そんな二人に親孝行もできないってこと
「う…ぁぁ…ヒック…うわぁぁぁぁぁぁん!!」
だから、俺はやさしく撫でていてくれるこの女性に甘えて泣くことしかできなかった。
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あれから12年俺は今から二度目の高校の入学式を迎える
この12年で色々わかった事がある
まずこの世界には魔法がある、と言っても中世風ではなく、前世と同じくビルが建ち並び車が忙しそうに走り回る都会だ
魔法は大体誰でも使える、しかし使えると言っても火種を出したりコップ一杯の水を出したり、その程度だ母親が家に入ってきた虫を指パッチンで焼き殺したのには仰天した
因みにスゲー天才は太陽みたいな炎出したり、雷落としたり竜巻起こしたりレベルが違う、これまたテレビでみて仰天した
どうやら80年前現代の兵器が全く効かない化け物が世界各地に現れたときそれに合わせて世界中の人間が魔法に目覚めたららしい
そしてなんと言ってもこの世界、前世の世界にあったエロゲーと全く同じ世界だった
何故かと言うとさっきいった話とゲームの設定が全く同じだ
さらに決定だとなったのはテレビに出ていた雷を落とす少女だ、天才魔法使いの特集に彼女は出ていたのだが俺は覚えている…彼女は攻略対象者だ強気そうな吊り目小柄なロリボディ
彼女を見た時はまるでパズルのピースがすべてはまったような思いだった
そして俺は今からそのエロゲの物語の舞台となる高校に入学しようとしている
なぜそんなところに入学を決めたかと言うとまず前世の死因の電車が完全にトラウマになり乗るのどころか見るのも音を聴くのもつらい、そしてこの高校は俺の家から徒歩5分だ、ここ以外はバスに乗って電車を乗り継ぎしていかなければならないほど遠くにしか高校が存在しない
そしてこの高校はかなり優秀な魔法使いの卒業生が輩出されていてESP(魔法の正式名称、魔法は正式には超能力で、まるでおとぎ話のようなので皆魔法と読んでいる、ちなみにさっきいった強力な魔法を使える人を魔法使いとよんでいる)の研究者になるための大学に入ることもこの高校に入れれば簡単と言われているからだ
ESPの研究者はかなり給料が良い、俺は研究者になるため必死で勉強した、通常の教科は前世と同じなのでなんとかなったのでこの世界にしかないESP学をひたすら学んだ
前世ではできなかった親孝行をするために
そしてこの高校に入学できたって訳だ
まぁその……美少女のエロい姿を見れるかもって考えたけどまぁ俺も男だからしょうがないだろう
とりあえず入学できて嬉しく緩んだ顔にビシッと渇ををいれて
制服の学ランを整えて不安とワクワクでドキドキしながら校門をくぐった
校門をこえるとブレザーを着けた男子やセーラー服を着けた女子、俺と同じように学ランをきた男子もいた
この学校は制服に種類があり自分で選べるのだ
俺は前世では中高ともにブレザーだったので学ランをえらんでみた
しかし歩いていると……ジロジロ……ジロジロ
うんめっさみられてる、自意識過剰って思った?マジで見られまくってるよこれ
男に
まぁ中学生のときと同じ理由だろう
俺は4月1日生まれで昨日で16歳だ、しかし身長は143センチ親に泣きながらお願いだから切らないでくれと懇願された肩に届きそうな栗色のふわふわした髪、いくら鍛えても全く筋肉のつかない体、前世とは似ても似つかない可愛らしい少女見たいな顔
俺も前世のときに見かけたら美少女だと勘違いする
いやたぶん男とわかっても男の娘キタコレとか思うだろうな…
そんな少女がサイズが会わなくてブカブカな学ラン来ていたら俺なら絶対に見るだろう
しかし俺は少女ではない立派なマグナムもついた男の子のモブだ!
このゲーム主人公を男か女で選べて攻略対象者は男女5人ずつ
NL GL BLなんでもいけちゃうトンデモ仕様だった
勿論俺は主人公男でNLしかしなかったがな
こんななりでも俺は攻略対象者じゃなくてモブだ、ちなみにモブの癖にゲーム人気アンケートでは10位だった、スチルの端に一度だけ出ていたらしく、あの男の制服きた美少女は誰だ!とかなりたくさんの問い合わせがあったらしい
しかしモブはモブだ、物語には全く関与はしていない
だから安心してこの高校に入学できたって訳だ
話はそれたが今から体育館で入学式が始まる入り口に貼り出してあった座る席の紙を見るために人混みをかき分け………
三島春はどこだーっと………あった1327番か、じゃあクラスは3組かぁ…まぁいいやいこう
又々人混みをかき分け体育館に置かれたパイプ椅子に腰掛ける
開始10分前なのでまだざわつきが残るが大体の人は席についている
「ねぇねぇ君」
「ん?」
となりにすわっていた金髪だがチャラくはなくなんというかクラスに何人かいる場の空気を盛り上げてくれそうな雰囲気の男に話しかけられた
「君なんで学ランなんてきてるの?まさか発注ミス?」
少し頬を赤くし、少しにやけている
案の定俺を女と間違えてきた
「なぁ……一応言っておくが俺は男だ」
「え゛……ま、まっさかー!」
男だと伝えると最初は仰天したような顔をしたのだが冗談だと思ったようだ、笑っている
「む…信じてないな、見ろ生徒手帳だ」
と言うと訳で生徒手帳をみせる性別の欄を見ると笑顔のままかたまって口が引きつっていた
「ほ、ほんとだったとは…」
「むぅ…失礼なやつだ」
そう言うと
「………ぐっ…男なのにかわいすぎる…俺はホモじゃない…違う…」
名前も聞いてない彼は顔を赤くしながらブツブツとなにか呟いている
ちなみに全部聞こえているが聞こえなかったことにした俺の精神衛生上の問題で
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入学式が終わり教室への移動中
「くぁー!やっぱりどの学校も校長先生の話は長いなー三田村くん」
隣の席についていた彼、三田村くんに話しかける
「んーそうだねでも俺の中学の校長先生よりなんか深い話してた気がするやっぱりエリート学校は凄いな」
「全くだな、でも俺聞いてなかったから関係ないや」
「ははっ聞いてなかったのかよどこが全くだな、なんだよ」
苦笑しながら三田村くんが言う
おっと教室についたようだ
「すぐに友達ができてよかったよ中学生の時の同級生全員他のクラスだし」
ホッとしなから言うと
「ほんとだよ席も最初は出席者番号順だから近くだよ、よかった俺遠くから来てるから中学生の時の同級生がいないんだよ」
と、三田村くん
よかった!こんな他愛ない会話のできる友達ができて、これからの生活が楽しみだ…!
自分の席に座ると担任の先生が自己紹介を始める
「西岡明だ、よろしく担当教科はESP学、これでもそこそこ魔法は使える、ESPについてなら気軽に聞いてくれ次の時間の一年生全員の集まる、ESPの講習は俺が担当だから楽しみにしとけよー」
黄緑の髪と言う前世ではあり得ない色の髪をした先生だったがこの世界では普通だ、人当たりの良さそうな先生だったのでよかった、前世の鬼のような担任を思い出す、優しそうな先生でよかったー
んで、あっという間にESPの講習、今先生が軽く他のクラスに自己紹介をしたあとに指先から炎を出しながらESPについて説明している
精神力とか、イメージとかテンプレなうえにかなり長くなるので割愛
そして
いまゲームの主人公ズが皆の前に先生に呼ばれてでている
まさか男主人公と女主人公が両方いるとは思わなかった
ゲームでは目が隠れていたが美男美女だ、別にゲームに平凡設定無かったしな
話は又々それたがいま二人は先生の何かをイメージして指先から出してみろ、とESPの実技は実は高校からなのだが無茶ぶりをしている
二人とも指をピーンと立てて集中している
先生が頃合いをみて二人を止めようと歩き出したその時
二人の指から同時にピンク色の球体が出てきた、そしてまたまた二人同時にチラリ、と俺を見た
何故か悪寒を感じ俺は座っていた椅子から立ち上がりダッシュで講習室から出ようとしたが主人公ズ達の指から同時にピンク色の球体が俺めがけて一直線に飛んできて振り返った瞬間に額に直撃した
そして俺の意識はブラックアウト
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「はっ!ま、まさか黒い玉のあるあの部屋に!?ってデジャブだこれ!」
ばっといきおいよく起き上がり回りを見回すと恐らく保健室
そして元々高い地声がさらに高くなっているような違和感
まさか!まさか!と思い股間に手を当て全てを理解した
「モブにこんなことにあるわけないじゃないかぁぁぁぁ!」
俺の小さいながら元気なマイマグナムはグッバイベイビー…
……………!
おもい……出した………!
入学したあとと言う最悪なタイミングであることを思い出した
このキャラはモブだったしかし人気が高く、リメイク番で新しい攻略キャラになったのだ
TS枠で……………
そして話は冒頭に戻る