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第1話 プロローグ
「バ、バカな……予がこんな小娘ごときに……!」
漆黒の魔力を激しく吹き荒れさせ、巨躯を震わせる魔王。
その絶対的な絶望の前に、一人の少女が立っていた。人類最高戦力にして、世界を救う唯一の希望——勇者エルザ。
彼女は魔王の放つ暗黒極大魔法を平然と受け流しながら、聖剣エクスカリバーを静かに引き抜いた。
「おしゃべりは終わり。世界が迷惑してるから、大人しくして」
眩い光を放つ聖剣が一閃されると、魔王の身体は一瞬にして純白の光へと包まれ、完全に浄化されて霧散した。
魔王討伐。人類の勝利。世界に平和が訪れた。
しかしその栄光の瞬間と同時に、勇者エルザは崩壊する魔王城の土煙と共に、忽然と姿を消した。
王国が血眼になって捜索を続け、吟遊詩人たちが「神の国へと召されたのだ」と歌い上げる。
そんな喧騒をよそに、彼女はすべての過去を捨て、ただ一人の少女として静かに息を潜めていた。
そう——すべては、誰もが憧れる「フツーの女の子の幸せ」を掴むために。




