第16話:閉店セールの時間だ。蒼き拳が偽りの聖域を砕く!
ガギィィィン!!!
俺の蒼き拳が、JUSCOを閉じ込めていた強化ガラスのカプセルを容赦なくブチ抜いた。
カイゼル・シェルの最高技術で作られた絶対隔壁だったはずだが、俺の蒼鉛装甲の前には、JUSCOの試食コーナーのラップ程度の強度しか持ち合わせていない。
「ゼロ……っ!」
カプセルから崩れ落ちるJUSCOの身体を、俺は左腕のマニピュレーターで優しく受け止める。二頭身の頃とは違い、今の俺の腕は、彼女の華奢な体躯をすっぽりと包み込めるほどに強固で、そして大きい。
「よく耐えたな、JUSCO。少し眠っていろ」
「うん……。ゼロが来てくれたから、もう怖くないよ……」
俺の胸のハッチの奥に格納されている【半額シール】の破片が、彼女の生体コードと共鳴して微かに熱を帯びる。その温もりを確認し、俺は完全にJUSCOを安全圏(内部コクピット)へと保護した。
『お、おのれ……! 総帥の権限を、そんなジャンクのたまごに渡してなるものか! 全軍に通達! 研究タワーごと、その蒼い機体を圧殺せよ!』
腰を抜かした主任研究員が、狂ったように緊急排除ボタンを連打する。
直後、タワーの天井がスライドし、上層世界が誇る最高峰の近衛MS『カイゼル・ナイト』の精鋭五機が、重厚な複合装甲を響かせて降下してきた。彼らが構えるプラズマランスが、部屋の空気を焦がしながら一斉に俺のコアを狙う。
「ふむ。総帥の権利を買い叩こうとした分際で、今度は力づくで歴史を改ざんするつもりか。どこまでも浅薄なパーツどもの集まりだな」
俺は一歩も引かず、蒼き右腕を静かに突き出した。
体内の魔力炉が限界を超えてハイトーンの駆動音を奏でる。蒼い装甲の隙間から、眩いばかりの光の粒子が噴き出した。
「貴様ら上層世界の偽りの栄華も、ここまでだ。我が主人のJUSCO(資産)を傷つけた罪、その鉄の身体を以て支払ってもらおう」
近衛MSたちが放つプラズマの光を、俺の蒼き輝きが完全に圧倒していく。
さあ、カイゼル・シェル。お客様感謝デーは終わりだ。ここからは、お前たちを地球上から完全に一掃する、最上級の閉店セール(破壊)を始めてやろう。




