恋を失った少女と、恋を知ったあやかし

　その日、少女は失恋した。
　脇目もふらず、とっておきの晴れ着が乱れるのも構わず、追われてもいないのに逃げていく。

　どこへ？
　どこへでも。

　そして少女は、あやかしに「恋心」を奪われた。
「わたしはもう、『恋』をしなくていいの？」

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