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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第十六話(勝幡城編)
91/404

91部:お披露目

清州城、本丸御殿大広間。

清州城周辺の領主と、清州城詰め衆が召集されていた。

織田家嫡男、奇妙丸の城主就任のお披露目である。


林秀貞は清州を引き払い那古屋城への引っ越しが大変なので欠席すると連絡があり、その与力である前田家等は秀貞に遠慮して出仕していない。

その他の尾張の主な武将は伊勢方面に出陣している為、当主ではなくその配下の留守居衆達が集まる予定だ。

とはいえ、

いずれ織田家を継承する若君からの初召集なので、家の者が出来る限りの清州城に出仕し、代表が本丸大広間に詰めかけて居並んでいた。

千秋、飯尾、佐脇、長谷川、毛利、服部、山田、加藤などの世に聞こえた尾張豪族の一族たちだ。

「若様の御成りぃーーーーー!」と小姓衆代表の金森の声が広間に響く。

上座では奇妙丸、冬姫が奥の間の襖を開けて入場し、二人並んで着座した。


「一同、面をあげよ!」

執事的な立場で生駒三吉が場を仕切る。左右太刀持ちは於八に於勝が勤めている。

冬姫の侍女は池田姉妹に桜が新たに加わり、冬姫の近辺を固めている。

「織田奇妙丸様で御座いまする」

「織田冬姫様で御座いまする」

(おお!)

奇妙丸の凛々しい若殿姿と、冬姫の美しさに肝を抜かれた様に、声にならない嘆息が聞こえる。

「我ら清州衆一同、新城主に就任された織田奇妙丸様に誠心誠意御仕え致しまする」と落ち着いた声で、下座の簗田出羽守政綱が上申する。簗田家は永禄3年(1560)「桶狭間の合戦」の時に今川義元の本陣位置を的確に抑えた軍功第一の一族だ。息子の鬼九郎は、信長の馬廻衆の一人として伊勢に出陣している。

「簗田殿、有難う。この度、我が父・信長の命で、清州城に入る事になった。皆、よろしく頼む」謙虚にお辞儀する奇妙丸。若様の節度ある態度に清州詰め衆は安心し期待もする。

「皆様、兄共々宜しくお願い申し上げまする」ニッコリとほほ笑む冬姫。

(なんと御綺麗な姫だ)

再び、冬姫の可憐さに「まるで、お市様の再来ではないか」と詰め衆がどよめく。


「我ら家臣一同、奇妙丸様冬姫様を清州城にお迎えできて恐悦至極に御座いまする」と清州城の奉行衆の代表として清州譜代の老臣・坂井文助利貞が答えた。坂井家は清州の台所奉行を務める豪族だ。

「坂井殿、有難う」深々とお辞儀をして感謝の気持ちを伝える奇妙丸。

専横のひどい林家の下で耐え、今までの織田家への忠義が報われた気がする文助だった。

「久々に清州城が雅になりましたな」と若い二人の姿に新しい清州をみる簗田に坂井。

「これから尾張の事を色々と教えて欲しい」と奇妙丸が頼みにしていることを伝えると、

「若様。お任せあれ!」奇妙丸の清州後見人として、はりきる梁田政綱と坂井利貞だった。


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