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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第十二話(苗木城編)
72/404

72部:苗木を出発

いよいよ、奇妙丸も岐阜城へと引き上げる時が来た。

苗木城主・遠山直廉と、於苗御前・於竜姫親子にお礼を述べ、奇妙丸一行を厚遇してくれた苗木遠山家の家臣達にも礼を述べた。松姫護衛の出浦対馬守の姿は見えないが、遠山衆の手前もあり、遠慮したのであろうと男平八ら三人は考えていた。

苗木城城門には、松姫が奇妙丸達を見送りに来てくれていた。

「そこの貴方」松姫が勝蔵に呼びかける。

「俺ですか?」

「そう、貴方よ。この間は馬鹿呼ばわりして御免なさいね」

「いや、俺も失礼しました」と頭を下げる勝蔵。

「じゃあ、おあいこね」

クスクスと桜が笑う。最後に勝蔵にやっと謝ることができた松姫。

ポンと手を打って勘九郎(奇妙丸)が思いついた。

「松姫様への贈り物が思いつきました。私が松姫をお迎えに行くまで不自由のないように、躑躅ケ崎の館の傍に、松姫様の為の御殿を建てます」

(御殿って、甲斐まで来て建ててくれるのかしら?)と思ったが、奇妙丸の言う事を素直に信じてみようと思い直す。

「それは楽しみです、父上もきっと驚きます」

「松姫様を、雨露からも守ります」

「お手紙も下さいませ。奇妙丸様の言葉を私に届けて下さい」

「必ずや」

二人は見つめ合ったまま、しばし沈黙する。松姫は奇妙丸に見つめられると、なんだか心が温かくなるように感じられた。

「それでは松姫、名残惜しいですが、私は岐阜に戻ります。どうか、お達者で」

「奇妙丸様もお元気で」

一行は何度も振り向いて手を振った。

「松姫~~~~~!」

奇妙丸は大きく手を振る。見送る松姫は自分でも不思議に思うが、何故か涙が流れていた。

「あの姫様も、まぁ、悪いお方ではなかったな」と勝蔵が松姫を振り返り、隣の正九郎に言った。

「静かにしていれば、とても綺麗な方だ」と正九郎。

もう一度、手を振る松姫を振り返る。

(お転婆なお姫様・・・奇妙丸様は、これから大変だな)口には出さないが、そう思う四人だった。

松姫も一行の姿が見えなくなるまで、いつまでも城門で見送っていた。


*****


それから二日後の近江国、百々どどやかたにて。

小姓・万見仙千代から書状を受け取る信長。

「奇妙丸め、運がついておったな。これで、武田の動きは暫らく案じなくて良いかもしれぬ」

続いて小姓・菅屋於長が書状を捧げる。

「奇蝶も戻って来たか。儂も一度、岐阜に参ろう。桑名の信広殿にはもう少し影武者をお願いする」

「はっ ×2」仙千代と於長が唱和するように返事をする。

こうして、信長の次の進路も奇蝶の待つ岐阜城へと決まったのだった。


第12話  完

http://17453.mitemin.net/i190422/

挿絵(By みてみん)

また来週!


とりあえず、目標だった12話まで書ききる事が出来ました。応援を有り難うございます。



熊本の震災、阪神大震災の時の恐怖が蘇ります。心が痛いです。自分に何ができるか・・・・。

微力ではありますが、この小説が皆様の癒しになれば良いなと思います。

一日も早い日常の回復を願っています。

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