48部:川尻兄弟
事件が解決し、下野守吉治と与四郎の仲を見届ける一行。
家督争いで弟を殺害しようとした吉治は、家を与四郎に譲り切腹するとまで言い出した。しかし、与四郎も兄を差し置いて、技量の劣る自分が家督を相続する訳にはいかないと自分が代わりに切腹すると言い出した。
そこで勘九郎が、
「川尻流同門の武士として言うが、ここで生き延びて戦場で武功を立てねば男子として悔いが残るではないか」と懇々と説得したので、兄弟は涙を流して抱き合い、二人して川尻家と川尻流の二つを子々孫々に守り伝える事を誓った。
それから、城下の川尻屋敷で兄弟の接待を受け、宴会での話の流れから勝蔵達三人が兄弟と剣術を磨き合って、川尻流を習得するという思わぬ日数を滞在をしてから次の目的地に出発することとなった。
(今回、川尻兄弟が仲直りできたのは、伴ノ衆と桜の活躍があってこそだった)
「桜、城内への潜入、大義であった」と勘九郎は桜に感謝の言葉を述べる。
「任務ですから」兄と共に認められて嬉しいがいつものように答える桜。
「桜が潜入して黒幕を見極めてくれたから、多治見一族の陰謀と判った」
「そうだ」と頷く他三名。
「いい仕事をした」と桜の頭をなでる勘九郎。
「川尻兄弟が仲直りしてなによりです」桜は皆に褒められて照れていた。
「それにしても、兄弟の仲を引き裂こうとは」多くの兄弟を持つ勝蔵にとって修理亮の陰謀は、許しがたいものであった。
「私は良い弟たちを持てて幸福なのかもしれぬ」という勝蔵に、自分もそうだと同意する勘九郎。
「信長様が兄弟がぶつかり合わぬ様に、お育て下さったのかもしれませぬ」と男平八が信長の子育ての方針を客観的に分析する。
「親子兄弟が殺しあうような戦国の世は終わらせたいものだ。日ノ本を早く戦争の無い国にしたいものよ」
勘九郎が合掌し多治見修理亮の冥福を祈る。
「若とともに天下を統一し、日ノ本を戦争のない国に変えてみせまする!」
「頼むぞ、力を貸してくれ」
「「おまかせあれ、我が君!」」三人が唱和する。桜も三人と同じ気持ちだ。
漠然とだが、皆が天下統一という一つの目標に向かっているのだと感じる。
満足気に仲間を見渡す勘九郎(奇妙丸)だった。
*****
京都一条妙覚寺。
遠江国が平定されたことを、朝廷と将軍家に報告するため極秘のうちに上洛した信長。
軒先に居る信長に、大津伝十郎が書状を捧げ持ち「本願寺顕如殿から戦勝の贈り物の目録に御座います」と報告する。
「贈り物か、表向きは本願寺との不可侵条約がなったのだ。次は、桑名を拠点とし北畠を討伐する。長島願証寺に矢銭と物資弾薬の補給を依頼せよ」
信長の命をうけ伝十郎が退出する。
次に万見仙千代が「岐阜の池田九郎丸(正九郎)よりご連絡があります」と書状を差し出す。
「ふむ。・・・であるか」書状を確認する信長。
「川尻家中の事は不問にすると伝えよ」
仙千代も礼をして退出する。
次に書状を捧げ持つ菅屋於長、
「・・・であるか」書状を読み、近江の空を見上げる信長。
同盟者であるお市の婿・浅井長政を信頼してはいるが、街道を守る南近江の防衛拠点の現状を確認し、浅井との国境を伺い岐阜に戻ることを決めた信長だった。
第8話 完
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