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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第七話(池田屋敷編)
41/404

41部:出発

明朝、恵那山に向かって奇妙丸一行が旅立つ。

途中で立ち寄る予定の兼山城は於勝の父・森可成の居城なので、何か足りないものがあれば、そこで補給を行う予定である。

岐阜城本丸には生駒三吉が入り政務を代行、岐阜御殿には奇妙丸の変装をした冬姫が常駐する。傍衆の佐治・金森・千秋達が万事備えてくれるだろう。それに、搦め手では茶筅丸達が城を守っている。

http://17453.mitemin.net/i188907/

挿絵(By みてみん)


あとはこのお忍びの旅が、世間に知られないようにするだけだ。

「九郎丸殿、旅には御庭番の桜が同行します」と紹介する於八。

(妹たちと歳は変わらなくみえるけど、隠密なのか)と驚く。

「よろしくお願いします」

町娘の姿をした桜が、一礼する。

(この方があの二人のお兄さんなのですね、そういえば双子さんとどこか顔が似ている)

「では、道すがら話すことにして、行きますか」四頭の馬に荷物を載せ、五人組が旅立つ。


*****


道の途中、人混みの無くなったところで於八が九郎丸に旅の決め事を話す。

「旅の間、我らは偽名で呼び合っております」と於八が説明する。

「“若”などと呼びますと、身分がばれてしまいますので、ここからは偽名を覚え、それで会話をしていただきたい」

「なるほど。皆さんは、なんという偽名なのでしょうか?」

「私の事は勘九郎信重と呼んでくれ」と胸を張る奇妙丸。

「私は男平八郎。平八でいいぞ」と於八。

「俺は勝蔵」於勝は最近、意識して「俺」と言っている。最年少なのが嫌なのだろう。

「ちなみに、桜は、桜のままだから」と於勝が桜に代わって言う。

皆の偽名を聞いた九郎丸は、少し考えてから

「では、殿に倣って正九郎しょうくろうとします」と宣言した。

「桜には皆を“さん”付けで呼ぶように言ってあるから」と奇妙丸が補足する。

「承知しました」と正九郎(九郎丸)。

「他に御庭番の伴ノ衆が交代で護衛してくれているので、正九郎には随時紹介をする」

「承知しました、勘九郎さん」名前を呼び慣れていないため、九郎丸は少しはにかむ。

新たに旅の仲間に加わった九郎丸改め“正九郎”は、忘れぬように頭の中でぶつぶつと皆の偽名を暗唱する。

「勘九郎、平八、勝蔵、桜、正九郎・・・」

「慣れるまでは大変なこともあると思うけど、何でも俺に相談してくれ」と於勝は先輩風を吹かせた。

一行は、於勝の先輩風に笑いを噛みしめながら、一先ず最初の町を目指し歩を進める。


*****

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