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19部:新たなる旅立ち

大垣城下町、於台屋。

「五人ともご無事でなによりです。皆、娘が家に戻って喜んでおります」

お千代が手をとってお礼をする。

「桜ちゃん、ありがとうね」

自分にも人助けが出来るのだと、少しだけはにかむ表情だ。

(隠密として育った桜も、このような表情はできるのだな)とあまり表情を変えない桜を心配していた勘九郎たち。

「桜、その町娘姿も似合っているぞ」と声をかけてみたが、再び桜が真面目な顔に戻る。

「若様、もったいないお言葉です」

(うーん、かたいなあ)

閃いたぞ、

「そうだ桜、せっかくだから、その姿で我ら一行に加わらないか」

「そうだな、男四人というのもあれだし」と後押しする男平八。

「護衛が任務ですし、若様がそうおっしゃるなら、兄弟たちも構わないと思います」

「うん、良かった」

「勝蔵と話をするのにも疲れてきたしなあ」と俵三郎がおどける。

「なに?」と聞き捨てならない言葉を聞いた勝蔵。

「俺だって、お前よりも桜みたいな女子と話がしたいよ!」

「まぁまぁ」と男平八が二人を制す。

「じゃあ、次は北方に向かうかな」と新たな目的地を思い描く勘九郎だった。


*****


2日後、京都一条妙覚寺。

「殿様、梶原於八からの書状であります」小姓・万見仙千代が捧げる。

信長は、書状を受け取り目を通す。

「うむ、・・・・・・であるか。氏家のぅ。他にも切り崩しが進んでおるやもしれぬな」

「余の遠征が長くなる事は本意ではない、上洛軍の維持の為に堺や尼崎の都市から銭を徴収せねばな。それに、岐阜から京は遠い。奇妙が独り立ちすれば尾張・美濃は任せてしまおうと思うぞ」

「はい、奇妙様の成長が織田家にとって重要ですね」

仙千代の言葉には答えず、背を向け眉間のしわを深める信長だった。


第3話  完

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