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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第二十七話(知立編)
185/404

185部:梶川弥三郎高盛

「朱武者」平手の登場で、秘かにショックを受けている於八。

「挨拶が遅れました、梶川弥三郎高盛です。やはり、敗北は誤報ではないのですね。織田家の被害の状況はどんなものだったのですか?」

梶川高盛も伊勢の状況が気になっていたので、今は平手の言葉で確信し、織田軍の伊勢での戦闘の状況を確認したくて質問した。


高盛と梶川衆は、三河の安祥の宴の後、先に自領へと帰還していた。

知多半島の諸将は海路情報を入手して、対岸の伊勢表では、織田家が圧倒的な兵士動員数にも関わらず、北畠氏の驚異的な粘りで苦戦し、戦況の進展が思わしくない事を知っていたのだ。


「私の叔父から送られた情報では・・」

胸元から書状を取り出し、広げて読む甚右衛門汎秀。

叔父とは、平手家の娘婿となっている、汎秀の義理の叔父・織田源五郎長益(1547年生まれ)の事だ。

長益の父である織田信秀は、長益が生まれて間もなく亡くなったので、平手家で養育され育っていた。

その為、織田家よりも平手家を実家、平手兄弟たちを家族と言えるほど大切にしている長益は、陣中においても、平手家の面々とは頻繁に書簡をやり取りしている様だ。


「大河内城夜襲に参加し、戦死された方々は朝日孫八郎、波多野弥三、近松豊前、神戸伯耆、神戸市介、山田太兵衛殿」

山田一族、太兵衛の戦死と聞いて、驚く勝盛。


「寺沢弥九郎、溝口富介、斎藤五八、古川久介、河野三吉、金松久左衛門、鈴村主馬殿ですね」

織田家の名だたる侍大将の名が呼ばれている。

(斎藤、寺沢、溝口、河野? 名の轟いた侍大将衆ではないか、これはっ、意外に甚大な被害ではないか?)

無言になる一同。


「伊勢表の続報を確認する必要がありますね。三河の情勢がまた不安定になるやもしれません」

織田軍を心配する政友。

(家康がまたよこしまな考えを持たねば良いが・・)

政友には、自分がそうであったように、織田家に反抗する者の気持ちが推測できる。


「一郎左、政友、後で相談させてくれ」

奇妙丸も政友の心配することが表情から分かった。

「ははっ」

頷く二人。

伊勢と三河を分担して、手の者を使って情報収集するということだろう。


「知立城の中を良く見ておきたいが、先を急いだほうが良いな」

のらりくらりと旅をしている場合ではないかも知れぬ。


城に引き上げる雰囲気の奇妙丸に、平手甚右衛門が自分達の立場を説明する。

「知立城には、我々は信長様から入城する許可は頂いておりませぬので場外にて私はお待ちします。梶川殿はどうなされますか?」

織田弾正忠家の秘密の城、知立城には譜代武将でも信長の赦しがなければ入城できないのだ。


「私は、絵下城跡に人数を置いて、念のため居城の守備固めに戻ります」

「うむ。大事なことだな、治安維持に努めてくれ」

「はいっ」

会釈して、引き上げる梶川高盛。

平手も梶川も、奇妙丸と同世代の若侍だ。

(信用できる二人だ)

そう直感した奇妙丸だった。


「設定集」の方に、戦国に花を添えてくれる女性陣登場人物設定も追加しました。

どうぞ宜しくお願いいたします。

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