表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第二十七話(知立編)
182/404

182部:逢妻川

隊列が、川の半ばまで差し掛かったところで、背後から鬨の声があがる。

「しまった、もう来たか」

「早く渡河を!」

服部政友が、河辺に上がった先頭部隊に伝令に走る。前が詰まってしまえば、川の半ばに居る後方部隊が岸に上れない。

振り返った信昌が旗印に気付く。

「あの旗印は、矢田!」


・・・・矢田氏とは、鎌倉時代の名族で、源ノ頼朝の乳母の出身家・伊勢守護山内首藤氏の重臣だった伊勢国桑名の豪族・矢田氏が本家だ。

その矢田氏分流の矢田作十郎が、三河の境川流域を支配して居たが、(1563)年に松平家康に反抗して三河一揆の首領として立ち上がり、一年間抵抗したが敗北し一族は飛散していた。


「奇妙丸様、急ぎ城内へ!!」

信昌は馬を返して後続の250騎に加わり殿軍を引き受け、渡河し終わった750騎を知立城へ生還させるつもりだ。

しかし、信昌軍の先行していた先鋒の250騎もとって返して、主と共に矢田軍を迎え撃つつもりでいる。


「くっ、どうすればよい」

自分も引き返すべきか迷う奇妙丸。

傍で控える高橋虎松に三宅与平次も不安げな表情を浮かべる。

ハッとなった奇妙丸。

指導者の迷いは、傍に居る者を怯えさせてしまう。


「奇妙丸様は、とにかく城に入り吉報をお待ちください!」

山田勝盛は主の命を守ることが優先だ。

「城に入り、後詰を編成して信昌殿を救援しましょう!」

於八が策を進言する。

「そうだな、ならば急げ!」

奇妙丸の一団500騎は、急ぎ知立城を目指す。


信昌軍の最後尾が、矢田一揆勢との交戦状態に入り矢戦がはじまる。

盾を後尾に集め、じっと耐える織田勢。

背水の状況を脱するべく、じりじりと後退して、川を渡ろうとする。


矢田一揆は織田軍に追いつくべく、弓の射撃を止め、騎馬衆が突撃を試みる。

しかし、河原石が多い場所なので、騎馬も思うほどに速度がでない。


一揆勢が川の半ばに来たところで、引き返してきた先鋒部隊が槍を用意し構えて押し出し、矢田勢の騎馬を迎え撃つ。


更に弓隊が、居並べた盾の後ろに編成され、河原から援護射撃をする。

両陣営が川を挟んで向かい合う形になり。弓射と石投げを繰り返す。

一揆勢の鉄砲は少数なので、決め手を欠いて戦線が膠着する。

一揆勢千に対して、五百の信昌隊は渡河を阻止して良く持ちこたえている。


「どうして今頃、過去の亡霊が?」

(桑名にある矢田城で、不遇をかこっていた三河矢田勢は、北畠氏の反撃を機会に、三河境川の旧領を奪還すべく集結していたのだった)

「知らぬのか? 伊勢で織田軍が敗れたぞ」


対岸で一揆衆が勝ち誇ったように「北畠の神戦じゃー!!」とまくしたてる。

「何を馬鹿なっ」

信昌隊に動揺が走る。各地で一揆が起きれば、織田勢は劣勢となり「落ち武者狩り」状態になってしまうだろう。


「はっはっは、本当の事だ!」

一揆の頭領・矢田十郎が騎馬に乗って現れる。浪人のはずだが立派な甲冑を身にまとっている。

「知立城、奪取させてもらう」

「そうはいくか!」

信昌が采配を握り、鉄砲衆を呼び集めた。

「大変です、渡河の際に大半の銃の火縄が濡れてしまっています」

「なんだとっ!?」

悪い時に悪いことは重なる。


*****


2016年11月「ツギクルの合戦」敗退。

(のびしろですね!)

次、頑張ろー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ