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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第二十五話(安祥八幡編)
167/404

167部:丸太(マルタ)の男

投げ込まれた手ぬぐいを拾い、顔に付いた血を拭ってはいるが、胸元から血まみれになり興奮状態の信康は異様な迫力がある。

五徳姫は、仁王立ちする信康の姿を見て、自分の夫ながら信康を初めて怖いと思った瞬間だった。

思わず、兄の袖を掴んでしまう。


「私は、何の準備もしていないので今回はお断り申し上げる」

長信が困惑した表情で、信康に断りをいれる。長信の体躯からして信康が勝つことは明らかだろう。ここはなんとしても対決は避けたいと、長信は願った。

「それでは、奇妙丸殿にお願い申し上げる!」

ここまで盛り上がった相撲大会だ。そして長信が信康の申し出を断った以上、奇妙丸が落としどころをみつけるしかない。

信康は、奇妙丸が会場の空気を読んで決闘を引き受けざるを得ない状況を作りだした。

誰もが固唾を飲んで奇妙丸を見た。

「よかろう!受けてたつぞ、義弟おとうと殿!」

臆さず応える奇妙丸。破顔一笑する信康。

「流石、義兄上あにうえ!!」

信康は、しめしめといった処だろう。

ここで奇妙丸を相手に、圧倒的に勝利して、三河に名を轟かせ牛耳るつもりでもいる。

五徳姫に自分の雄姿をみせたいと思うのだった。


五徳姫が心配そうに奇妙丸の手を掴もうとする。

(心配ないぞ)と目で五徳姫に合図を送り、奇妙丸が陣幕前に進み出た。


「私が勝ったら!、此処に居る皆に頼みがあるのだ!」

奇妙丸が大音声に会場にいる人々に呼びかけた。

「なんでしょうか?」

信康は、義兄あには何を言いだすのか?と困惑した表情だ。

三河の国衆達が、奇妙丸の次の発言を聞こうと耳を傍立てる。


「お主達の領地から得られる材木を各自一本ずつでいい、熱田に、熱田神宮の宮大工・岡部又右衛門の下へ送ってほしい!」


「なんですと?!木ですか?」

長老格の大給松平親乗が、奇妙丸の予想外の発言に驚きの声をあげる。

「奇妙丸様は、材木が一番欲しいもので御座いますか?」

水野家の忠重が、奇妙丸に問いかける。

「うむ。特にケヤキの木だ。木曽の木々に負けぬほどの良質な木材を、是非とも皆から提供してほしい。館を造れるほどの木材が必要なのだ!」

「なるほど。奇妙丸様が御望みなのでしたら我ら喜んで、丸太の一本でも持参いたしますぞ」

内藤入道清長が奇妙丸に応える。

「どうだ、皆の衆?」

振り返って、三河衆の面々を見渡す。

「「おう!」」

三河の若い衆たちがこぞって賛同した。奇妙丸が何をやりたいのか興味が湧いたのだ。

「この本多広孝が、責任を持って届けましょう」

本多が三河衆を仕切ることを約束する。


奇妙丸は負けるつもりはまったくない。此処にいる面々が材木を提供してくれれば、ざっと二千本は軽く集まるだろう。と観衆が丸太に見えてきた。


「よし!やるぞー!!」

奇妙丸が袖を抜いて、上半身を衆目に晒す。

「おおっ」

若殿の、予想以上に引き締まった肉体に皆が驚きの息を飲む。奇妙丸の端正な顔立ちから、「武」よりも「文」の方が得意な方だろうと皆は勝手に想像していた。

腹筋の引き締まり方は、三河随一の侍として有名な伝説の蜂屋貞次にも遜色ない程だろう。

しかし、信康も怯まない。

「義兄上、手加減は致しませぬぞ!」

土俵上で両手を目いっぱいに拡げて威嚇の姿勢をする信康。

バシ!バシ!と両頬を叩いて気合を入れる奇妙丸。

朝から熱戦を観ていたので、自分だったらこうするのに!と、実はうずうずして観戦していたのだ。

於八に於勝、それに桜も、奇妙丸は断らないだろうと直感していたので、

思わず三人で目くばせして、「やっぱり」と納得していた。


「もちろんだ!かかってこい!」

奇妙丸が、義弟にむかって吠えた。


*****


「設定集」に三河の本多家を追加しました。


本田家が、三河にはたくさんいるので、本多家へと変わったのか?・・・。


という感じの本多です。現代、本多忠勝は超有名ですよね。


知恵袋の本多正信も大河では大活躍ですし。しかし、しかし、本多広孝の貢献度も


素晴らしいものなのです。

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