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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第二十四話(安祥編その2)
156/404

156部:4番勝負

大給親乗の嫡男・真乗と、一緒に居た少年が土俵にやって来た。

「重吉殿がきっと喜んでくれますぞ!」

真乗が少年の肩を撫でながら、耳元で囁く。

「松平の名に懸けて頑張ってまいります」

虎松を睨みつけるように、正面を見据えて答える少年。

松平一門からは、能見松平の庄市郎が引っ張り出されて来た。


庄市郎の父・重利は、「桶狭間の合戦」にて戦死しているが、祖父・松平二郎右衛門重吉が健在である。

重吉は、松平一族の長老として今川義元から重きを置かれた武将で、現在では、家康により嫡男・岡崎信康の後見人を請われ、松平一族に睨みをきかせ纏めている。



遠目に庄市郎を確認した五徳姫が立ち上がる。

「兄上様!あれは能見松平の庄市郎です」

能見松平庄市郎(のち昌利:1560年生まれ)が服から腕をぬいて、両頬をパシパシ叩いて気合を入れている。

「旗頭・松平重吉の跡取りか」

「信康様と張り合うほどの怪力です」

「それは、末恐ろしいな・・」

隣で五徳姫が対戦相手の情報を教えてくれるは有り難い事だ。五徳姫が三河にて地元に馴染もうと頑張っていることが判る。

(そういえば、五徳姫は昔から隣でなにかと助言をくれたな。あの頃はそれが当たり前のように思っていた)

幼少の頃、いつも周りにいた五徳姫と冬姫の存在に気付く奇妙丸。今は小姓達傍衆に囲まれているので、なにかしら人に対して寂しい思いを忘れる奇妙丸だったが、賑やかさの中で寂しさを紛らせていたかもしれない。

昔と変わりなく一緒に居られる。やはり兄妹の絆はいつまでも残るものだ。


高橋虎松の対戦相手は四人目。

能見松平庄市郎は大柄の体躯で、いかにも強敵である事が見るからに伝わってくる。

両者が土俵中央で向かい合った。

「勝負!」

「バシッ」と鈍い音が響く。

両者、低い前傾姿勢からぶつかり合う。

庄市郎が、虎松の両脇下に掌を差し込み、強烈な押しに入る。みるみる上半身が赤くなり両者が全力を出してぶつかっている事が判るが、脇に差し込まれた庄市郎の構えによって虎松が不利な形勢だ。

虎松は上体を起こされ、土俵際へと追い詰められる。

「ああっ、虎松!」

虎松の危機に、奇妙丸達がおもわず中腰になる。

「せいやっ!!」

虎松が、庄市郎の右腰紐を掴んだ手に力を込め、身体をひねってすばやく、コマの様に回り相手の勢いを受け流した。

庄市郎はそのまま走り抜けてゆくような形で、土俵から追い出された。


「おおお!」

虎松の予想以上の素早さと身のこなしに会場の一同が驚いた。

「無念!」

悔しがる庄市郎。


「四人抜きだ!」

「虎松―!」

大いに盛り上がる虎松の居る北側土俵周辺。

虎松の快進撃に、奇妙丸たちばかりでなく、会場全員が注目を始めた。


「五人目の相手は私が!」

五人目は家康の異母弟、久松三朗四郎(のち定勝:1560年生まれ)が名乗り出た。三郎四郎は酒井与七郎の相手に名乗り出ようと狙っていたところを、先に虎松が名乗りで出たので、虎松の対戦を見ていたのだった。

そこへ信康からの催促もあったので、虎松の小相撲しょうずもう本戦出場を阻止するためにこの予選で対決することを決めた。


久松氏は知多半島の豪族で、三郎四郎は阿古居城主・久松俊勝の息子だ。

久松俊勝は、水野信元の妹の於大を正室に迎え三男三女をもうけた。三郎四郎は兄弟の末っ子だ。

母、於大は水野家の娘として、久松家に嫁ぐ前は、家康の父・松平広忠の正室だった。

信康にとって三朗四郎は叔父にあたる間柄だ。



*****


別紙に、-奇妙丸道中記- の登場人物の設定集というか事績集?を作ってみました。

そちらも併せて見て頂けると有り難いです。

それから、キャラクターのイラストなどネタ募集もしたいところです。

イメージ画も、絵の上手い方に描いていただけたらなぁ~なんて、大それたことも考えたりします。

どうぞ宜しくお願いいたします。

(謹言)

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