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織田信忠ー奇妙丸道中記ー Lost Generation  作者: 鳥見 勝成
第二十四話(安祥編その2)
155/404

155部:3番勝負

旅装から、艶やかな衣装に着替えた五徳姫が、奇妙丸の陣幕にやって来た。

人目を惹く織田家独特の美人顔なので、着物の多少派手な柄や色合いも良く似合う。

信長や、義父の家康がつけた女中達も、五徳姫の為に選び抜かれた者たちなので、五徳姫の周囲は華やいで見える。

今の観客の注目は、相撲よりも五徳姫の一挙手に向いている。

それに応えるように静かにお辞儀する五徳姫。

(愛想を、振りまかなくても良いのにな・・)

五徳姫を反対側の陣幕から見守る信康。


奇妙丸の床机の横に席を用意して座る五徳姫。

「あの少年は、兄上様の御家中の者ですか?」

「うん。そのようなものだな」

「では、私も応援しましょう」

「うん」

奇妙丸は握る拳に汗をかきながら、虎松頑張れと念じていて五徳姫の言葉にも上の空の様子だ。

主催者の信成が、五徳姫の隣にやって来て、何かと相撲大会の状況を説明し始めた。


第三戦目に向けて、額の汗を拭き、水を飲む虎松。

陣幕の外では、諸豪達の動きが密やかに活発になる。


・・二郎三郎信康は、側近の大賀弥四郎を呼び寄せる。

「おい、あの高橋虎松とやらに平助をぶつけろ。目障りだ」

信康に呼ばれた平助は、大窪兄弟の末弟だ。


*****


大賀弥四郎が人混みの中を走り、信康の岡崎衆の一団の中にいる小姓の平助を呼びつける。

「平助、平助、あそこの奴を素早く倒せ」

虎松を指をさす弥四郎。

「あいわかった」

仏頂面の大窪平助が虎松のいる土俵に向かう。

「次は誰だ?!」

虎松が土俵の中央で呼ばわる。

「俺が相手だ!」

対戦相手の三人目は、大窪平助(のち忠教:1560年生まれ)だ。


「勝負!」

土俵中央で、「ぱぁん!」とぶつかり合う音を立て、互いの腰紐を掴む。

虎松は身体を密着させながら、ひたすら土俵際に押す。

三戦目ながら虎松の膂力りょりょくは疲れを見せていない様子だ。

そこで平助は虎松の内股に足を入れ、右膝の裏側に絡みつく様に引っ掛けて、上からのしかかる様に体重を駆ける。

「むっ」

勝負時と察した虎松は素早く体を引いて、その勢いのまま平助の肩をはたいて平助を地べたに這わせた。

平助は自身の体重を懸けようとした勢いのまま強烈に地面に倒れたので両肘を激しく擦りむいた。


「また勝った!」

「いいぞ!虎松」

盛り上がる奇妙丸勢。


(不甲斐ない!)

信康が、たまたま横にあった桜の木を蹴り飛ばす。


「ほぅ、今負けたのは岡崎衆の様だな。我々も、ここで織田に一矢報いるか」

大給松平の親乗が、配下の者を呼び寄せた。


*****


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