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124部:一閃

挿絵(By みてみん)

http://17453.mitemin.net/i202895/

千秋の家来衆に、熱田町衆、奇妙丸達が袴の裾を持って全速力で駆ける。

中央にある社務所前で、草薙剣を収めた土用殿を襲撃した盗賊と遭遇した。

「ここは熱田の神域と知っての不届きか!」

真っ先に駆けつけた於勝が、十連針兼定を抜いて立ちふさがる。

奇妙丸が抜刀する。

「この相州貞宗で成敗してくれるわ!」

侍衆が一斉に抜刀したのを見て、黒装束に身を固めた盗賊たちが首領の下に集まる。

首領は横幅が広く、見るからに鍛えていることが分かる手強そうな男だ。

「ご神宝は頂いた!あとは退散するのみだ、散れ!」

そう言って、大きな体格の割に素早く宙に舞い、宮壁に跳び移る。

野盗の頭領の指示のもとに、盗賊達が東西南の三方に分かれて逃げ始めた。

「追え!追えぇ!」

「逃がすか!」

盗賊たちは熱田の壁を軽々と飛び越えてゆく。

「あの技?!」と一郎左、

「兄上、やはり」と桜が伴ノ一郎左に聞く。

「甲賀衆だな」

桜と一郎の二人の会話を聞きつけた奇妙丸。

「やはり、甲賀か?」

「若様、あちらには冬姫達が!」と於勝。

「まずい!」西門には、荷を解いて遅れて集まった冬姫率いる女中衆が居るはずだ。

遭遇する危険を察して、奇妙丸に森於勝が必死に追いつこうと走る。


*****


冬姫達も既に異変には気がついていた。

何か有るかもしれないと隊列を固めていたところに、見慣れない黒装束の集団がこちらに向かって走って来る。

「怪しい奴、逃しませぬよ!」冬姫が道の真ん中に立ちふさがる。

池田お久が手を振り上げた。

「撃て!」

号令と共に熱田神宮に火縄銃の銃声が鳴り響く。

お久のもとに冬姫女中衆で結成された女鉄砲隊が、日頃の訓練通りの実力を発揮する。

一斉掃射によりバタバタと黒川衆が倒れる。


「薙刀隊前へ!」

お久とは双子姉妹のお仙の号令で、冬姫女中衆で結成された女薙刀隊が勇敢に立ち向かってゆく。

一人ひとりが薙刀の間合いで広がった為、外宮の広い通りで大規模な乱戦となった。

その間隙をぬって中央突破を図る盗賊がひとり。

「そっちに向かったぞ!」

奇妙丸が冬姫の危機を感じ叫んだ。

「冬姫様!」桜も全力で走る。

「冬!」更に強く奇妙丸が叫ぶ!


「えいやっ!」

ドサッ!

冬姫の薙刀一閃。

冬姫に襲い掛かった黒装束の男の右手が落ち、男は数歩ふらつき崩れ落ちた。

倒れた男には、桜と一郎左衛門の投げた手裏剣と、奇妙丸の短刀が突き立っている。

そして、侍衆の後列で呂左衛門ロルテスの構えた短銃が、銃口から煙を出していた。


「私も織田の娘です!」

勢いよく薙刀の石突きを地面につき立て、戦う事を宣言する冬姫。

「おおおおおお!」

冬姫の快気炎に、織田家の侍達の士気が上がり、冬姫に負けじと熱田の侍衆も全力で盗賊を追いかけまわす。

追い詰められた西門の盗賊衆達は、冬姫隊の活躍によりほぼ全滅したのだった。


*****


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