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定食屋はじめましたが、お客様はモンスターです  作者: 田井雫
飛べない翼竜とデカ盛り飯
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デカ盛り麻婆豆腐

普段なら目が覚める時間のはずが前日の疲労が残っているのか随分と寝坊してしまった。

「ふぁ~あ…眠ぃ…だるい」

テントから出ると既に起きていた竜と目が合った。

「よっ、もう起きたのか?」

「貴様らが遅いだけだ…それより逃げることも出来たのではないか?」

逃げる?あぁ昨日こいつが寝ている隙に逃げるという方法もあったということか。

「なるほどな、疲れてて考えつかなかった」

「…フン、まぁいい…それより飯だ」

「おぅ、今日は「麻婆豆腐」を食わせてやるよ」

どうやらこの竜は辛い食べ物が好きらしい。加えてこのメニューの主な食材は「豆腐」、安いから大量に買っても財布に優しい。

「それじゃあ買ってくるから大人しく待ってろよ」


財布を握り締めいつものスーパーへ向かった。俺個人としては木綿豆腐が好きなんだが、それだけでは数が足りないので絹豆腐もまとめて買い占めた(良い大人は真似しないでほしい)

豆腐の詰まった袋を両腕で抱え帰宅、今度は業務スーパーへ行き、同じように豆腐を買い占めた。異世界に戻ると200丁近い豆腐の山をスィアに頼んで冷やしておいてもらう。

あと必要なのは生姜にニンニク、挽肉と調味料か、これも業務スーパーならまとめて購入できるな。加工されている生姜やニンニク、冷凍された挽肉と豆板醤・甜麺醤、山椒などの調味料を購入し準備は整った。


「戻ったぞー」

朝に出掛けて戻ってきたのは昼を少し過ぎた頃だった。あとは調理を行うだけ、昨日と同じように各自が分担して作業を行う。リーヤは豆腐の開封、スィアは豆腐のカット、スミスさんは俺のサポートに回って貰った。あとは…

「…まさかまた我に手伝えと言うつもりか」

「話が早くて助かるよ、なんてったって中華は火力が大事だからな」

火では無くため息を吐く竜、どうやら色々諦めたらしい。


豆腐の開封自体は難しい事ではないが200丁を越えるとなると話は別だ、終わりの無い豆腐地獄に最後の豆腐を開ける頃にはリーヤの目から光が消えていた。

そうやって取り出された豆腐をスィアが昨日と同じように氷で適当な大きさにカットしていく。切り分けられたられた豆腐をスミスさんが運び、寸胴で沸かしてあるお湯の中にくぐらせる。

あとは俺が中華鍋で生姜とニンニクと調味料を加熱、挽肉を加え炒める。最後に豆腐を入れたら形が崩れないよう軽く鍋を振い完成。それを大きな鍋に移しての繰り返しだった。


「で、出来たぞ…腕が痛ぇ」

ひたすら鍋を振り続けた俺の腕は限界、更にはずっと火の前に立っていたために軽い脱水症状にもなっていた。

リーヤに手伝ってもらい二人掛かりで鍋を竜の口の中へ運ぶ、

「ごくん…ふむ、昨日とは違う辛さだな面白い…ほら次だ」

再び口を開ける竜、俺達はおかわりを運ぶ「わんこそば」ならぬ「わんこ麻婆豆腐」だな。


最後の鍋を運び終え、竜の咀嚼を待つ。

「ど、どうだ?腹一杯になったか?」

飲み込んだのを確認し声をかける。暫く何か考えているような竜…やがて、

「…まだだな」

「そんな…」

急に意識が遠のく、リーヤ達が何か言っているがよく聞こえない…目の前が真っ暗になり、俺は倒れるように気を失ってしまった。


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