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プロローグ 定食屋始めました
『ついこの間まではどこにでもいる普通の学生だった』
仙場 孝平(せんば こうへい) 唐突ではあるが、高校卒業を控えた俺が「異世界」に来てから数週間が経とうとしていた。
目の前にはオークやスライム、ゲームや漫画に出てくるようなモンスターが10や20では片付かない大群で押し寄せている。
「…多いな、リーヤそっちは任せても大丈夫か?」
リーヤと呼ばれた少女。彼女との出会いがこの異世界での奇妙な生活を送るきっかけでもある。
「うん!任せてよコーヘイ!」
そう言うと彼女は颯爽とモンスターの群れへ向かった。
「さてと、こっちも片付けないとな」
すでに手には得物が握られている。研がれた刃が肉を切る感触、燃え盛る炎の熱が今この時も現実であることを教えられる。
ふと周りを見渡すと何やら騒がしい。モンスターは動揺しているし、慌てた様子のリーヤが走って戻ってきた。
「コーヘイ!大変!」
「どうした?何かあったのか」
「それが…その、魔」
そこまで言いかけた時、この騒ぎの理由が分かってしまった。
ひしめき合うモンスターの群れの中に異彩を放つオーラの人物がいた。全身を漆黒の鎧で身を包み、その双眸は紅くギラギラと鈍く光っていた。
「まさかあんたまで来るとはな…魔王ラルフェスさんよ」




