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14:敵対


Japan park


阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょは公園にいた、ホーリナーの携帯は全員の居場所が分かるようになっている、阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょを探す時にコレを使えば良かったと後悔した。

公園にいる理由は緊那羅きんならのGPSが公園の中にあるため、もしかしたら携帯を捨てたという可能性もあるが、それも足を追う一つの手となる。


阿修羅あしゅらが携帯のGPSのポイントと目の前を見くらべる、そこには緊那羅きんならが座っている、鬼の死体を前にして。

摩和羅女まわらにょはその異様な光景に阿修羅あしゅらの後ろに隠れた、阿修羅あしゅらは険しい表情で緊那羅きんならを見る。


「来たのね」

「冷静になった?」


緊那羅きんならは腕輪に触れる、得物は納刀された刀、名は羅刹。

緊那羅きんならは羅刹を左手で握ると、振り返り構えた。


「はぁ、それが答えなの?」

「あんた達は私の仇よ」

「悪魔に墜ちるっていうの?鬼を愛した事は誰も咎めない、だから目を覚まして」

「愛した人を殺された悲しみがあんたに分かるの?」


阿修羅あしゅらは黙り込んでしまった、確かに阿修羅あしゅらに愛した人はいない、だからと言って今の緊那羅きんならのやっている事を肯定する事も出来ない。


摩和羅女まわらにょ、頼んだわよ」

「しかし阿修羅あしゅら―――」

「もう緊那羅きんなら緊那羅きんならじゃないの!分かって、摩和羅女まわらにょ


阿修羅あしゅらは涙を流しながら腕輪に触れた、得物は長刀、名は夜叉丸。

摩和羅女まわらにょは間合いを取り腕輪に触れる、得物は針、名は針鬼。

阿修羅あしゅらは切っ先を斜め下に向け、背筋を伸ばす、緊那羅きんならも構えると低く沈んだ。

先に動いたのは緊那羅きんなら緊那羅きんならは地面を蹴ると鞘走りを利用して横薙に斬る、阿修羅あしゅらは軽々と受け太刀すると緊那羅きんならは止まり、睨みあう。


「私は手加減しない、全力であんた達を殺すわよ」

「私達は貴方を全力で連れ戻す」


緊那羅きんなら阿修羅あしゅらは間合いを取ると同時に構える、阿修羅あしゅらは地面を蹴ると半身になりながら緊那羅きんならを突く、緊那羅きんならは鞘で切っ先を受け止めると抜刀して斬りかかる、阿修羅あしゅらは一歩前に出て夜叉丸をずらして柄で羅刹を受け太刀する。

阿修羅あしゅらは前蹴りし、緊那羅きんならを突き飛ばす。


「やっぱり強いわね」

「そう?私は貴方と戦えて楽しいわよ」

「戦闘神さまは怖いねぇ、戦いを楽しむなんて」

「運動を楽しんでるのよ」


緊那羅きんならは鼻で笑うと抜刀した、そして左手に鞘を握り右手で羅刹を持つ、阿修羅あしゅら緊那羅きんならの抜刀の型を見たことがない、何故なら緊那羅きんなら阿修羅あしゅらの前で本気を出した事が無いから。

納刀は相手の出方を伺った防御的な型、抜刀は両手を使えるタメ攻撃的な型。


「良いこと教えてあげる、この型はステージ5でしか使った事ないの、あんたの事認めてあげる」

「はぁ、認めなくて良いから戻って来て」

「私の首を持ち帰る事ね」


緊那羅きんならは地面蹴る、素早い動きで逆手で持った左手の鞘で殴りかかる、阿修羅あしゅらは軽々と夜叉丸で受けるが、阿修羅あしゅらの左からは羅刹が斬りかかってきた、何とか腕輪で防御するが力押しされる。


「グッ!」


緊那羅きんならは前蹴りで阿修羅あしゅらを突き飛ばすと、鞘で阿修羅あしゅらの頭を殴った。


「クハッ!」

「殺気がない、それじゃあステージ4も殺せないわよ」

緊那羅きんならは、霊じゃ、ない、私達の、仲間」


阿修羅あしゅらの頭からは血が流れる、殴られたせいで右目が見えにくくなった。

阿修羅あしゅらは服の腕を切り、頭に巻いて応急処置をした。


「この期に及んでまだ仲間なんて温い事言ってるの?私の殺気が分からない訳じゃないでしょ?」


阿修羅あしゅらが気付かない訳が無かった、緊那羅きんならの今までに感じた事の無い殺気。

緊那羅きんなら阿修羅あしゅらを睨み、構えようとした時、いきなりバックステップをした、そして地面に針が突き刺さる、緊那羅きんならが針の飛んで来た方向を見ると摩和羅女まわらにょがいる。


「あんたはそうやって章吾を殺した、味方にすると心強いけど敵にすると卑怯の一言ね」

「頼む!目を覚ましてくれ、緊那羅きんなら!」

「正気よ、コレが私の選んだ道、ただそれだけよ」

緊那羅きんなら、変わってしまったんだな」

「そうかもね」


緊那羅きんならは今度こそ構える、阿修羅あしゅらは右手一本で夜叉丸を持ち腕は力無く垂れた、そして体がフラフラと揺れ始める。


「諦めたの?構えなさいよ」

「貴方だけが力を抜いてたと思わない事ね」

「もしかしてそれが本気って事!?笑わせないで、そんな力の入らない無い構えで何が本気よ!」

「そう、それなら行かしてもらうわよ」


阿修羅あしゅらは前に倒れるように地面を蹴る、夜叉丸を引きずりながら緊那羅きんならの懐に潜り込む、阿修羅あしゅらは右腕一本で全身を使いしなやかに切り上げる、緊那羅きんならは軽々と鞘で防ぐと夜叉丸は弾かれた。


「こんな力の無い斬撃始めて!馬鹿にしないで!」


阿修羅あしゅらは口角を上げると、弾かれた反動で左手に持ち変える。

緊那羅きんならは変速的な動きに戸惑うも、阿修羅あしゅらのしなやかな横薙の攻撃を羅刹で防いだ。

再び弾かれると左腕を大きく開いて遠心力を殺さずに、左足で回し蹴りを放つ、緊那羅きんならは鞘で防ぐが鞘ごと頭を蹴られた。


「クアッ!」


切れてはいないが腫れている、緊那羅きんならは間合いをとった、阿修羅あしゅらの変速的な攻撃について行けてない。

緊那羅きんならの型は防御と攻撃を一貫した型、しかし阿修羅あしゅらの型は防御を捨て変速的な型で相手のペースを乱す型、それにまんまと緊那羅きんならはハマってしまった。


「やりづらいわね」

「どう?本能で動いてる霊にはやりづらいけど、頭がある人間相手には抜群でしょ。

それに人間は少しのキズでも動きはにぶる、力は無くても骨にまで達すれば動きに支障がでる、強いでしょ?」

「厄介ね、でもそんなにベラベラ喋って良いの?敵に塩を送るようなモノよ」

「貴方の型は見きった、私の型の種明かししなきゃフェアじゃないでしょ?」


阿修羅あしゅらは不適な笑みを浮かべる、緊那羅きんならはその笑みに背筋が凍る思いをした。


「さすが戦闘神、戦いを楽しんでるのね」

「はぁ、違うって言ってるじゃない、別に貴方を斬らないで済めばそれで良いのよ、でもこんなに頭を使って体を動かしたのは始めて、楽しい」

「それが戦闘を楽しんでるって言うのよ、戦闘神様」


阿修羅あしゅらはそうかもねと一言いって再び揺れ始めた、緊那羅きんなら阿修羅あしゅらに先手を取られるまえに地面を蹴った。

阿修羅あしゅらは右手に持っている夜叉丸を逆手に持ち変え、緊那羅きんならの羅刹の攻撃を、体を後に向けながら腕から肩にかけて夜叉丸を沿わして防ぐ、そしてそのまま回し蹴りを放った、しかし緊那羅きんならは羅刹を納刀して防いだ。


「同じ攻撃は何度も通じないわよ」

「そう」


阿修羅あしゅらはそのまま鞘を左足で蹴り、右足を軸にして回転する、体制を崩した緊那羅きんならに背を向けた時、夜叉丸を左手に持ち変え逆手で握る。

左足を大きく振って遠心力を付けて斬りかかる、しかし緊那羅きんならは抜刀して羅刹で防いだ。

緊那羅きんならは左手の鞘で殴りかかろうとする、阿修羅あしゅらは左足を地面に付けて右足で緊那羅きんならの手を蹴った。


「やるわね」

「ありがとう」


阿修羅あしゅらは間合いを取り、緊那羅きんならは腕輪に触れて鞘を戻す。


摩和羅女まわらにょ、手出ししないでね」

「だけど阿修羅あしゅら!」

「合図したらお願い」

阿修羅あしゅら………」

「あんたも戦いに溺れたのね」


阿修羅あしゅらは笑顔を作ると涙を流した、その光景に摩和羅女まわらにょ緊那羅きんならまでも戸惑った。


「こんな苦しい思い、摩和羅女まわらにょにはさせられない」

阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょは頼んだわよ」

阿修羅あしゅら緊那羅きんなら!」


二人は同時に地面を蹴った、先に仕掛けたのは阿修羅あしゅら、先に体を動かし右手は動かさずに回転を始める、緊那羅きんならは羅刹で斬ろうとするが、右腕が凄まじい勢いで振られる、緊那羅きんならは鞘で防ぐが阿修羅あしゅらのしなやかな腕の勢いは止まらない、緊那羅きんならは羅刹も使い阿修羅あしゅらの攻撃を受け流す。

阿修羅あしゅらは勢い余って緊那羅きんならに背中を向けた、緊那羅きんならが斬ろうとした瞬間、阿修羅あしゅらは半身になりながら緊那羅きんならの喉元めがけて突きを放つ、緊那羅きんならは間一髪の所で夜叉丸の切っ先を羅刹の鞘に納める。


「へぇ」

「がら空きよ」

「どうかしら?」


阿修羅あしゅらは夜叉丸から手を離し、左足で今までより速い回し蹴りを放つ、緊那羅きんならは夜叉丸を抜き、羅刹を納刀させて阿修羅あしゅらの足を防いだ。


「馬鹿の一つ覚え?」

「それは貴方」


阿修羅あしゅらは足を曲げて、羅刹と腕で出来た空間に足を入れる、腕輪に手を触れ夜叉丸を地面に突き刺し、足を上げたまま踏ん張ると、羅刹を蹴り飛ばす。


「なっ!?」


緊那羅きんならが腕輪に触れるより速く緊那羅きんならの左腕を掴む、そしてそのまま緊那羅きんならの背後に回り込むと緊那羅きんならの左腕の関節を外した。


「グワァァァァァァ!」


そして右腕を取り背後で関節を固めると左腕を緊那羅きんならの首に回し動きを封じる、緊那羅きんならは痛みで汗が流れ胴着がびしょびしょになっている。


「私の、負けね、殺し、て」

摩和羅女まわらにょ!」


摩和羅女まわらにょからの返事は無い、しかし針を投げる準備は出来ている。


阿修羅あしゅら、殺して、くれて、ありが、とう」

摩和羅女まわらにょ!早くして!…………緊那羅きんならが可哀想」

「でも!阿修羅あしゅらの腕が!」

「場所は分かるでしょ!?大丈夫、緊那羅きんならの苦しみに比べたら穴の一つや二つ」

「ゴメン!阿修羅あしゅら!」


緊那羅きんならは最後に微笑み、涙を流した。

針鬼は阿修羅あしゅらの腕を貫き、緊那羅きんならの首を貫いた、緊那羅きんならの全身の力は無くなり、阿修羅あしゅらの腕の中で人形のように倒れた。


摩和羅女まわらにょ、どう?」


摩和羅女まわらにょは傷口や脈、そして瞳孔などを見て阿修羅あしゅらの目を見る。


「大丈夫、仮死状態だ」

「ありがとう」

阿修羅あしゅらの腕は大丈夫か?」

「神経もあるし動く、ちゃんと痛いから大丈夫よ」


阿修羅あしゅら緊那羅きんならを抱きかかえて立ち上がった、阿修羅あしゅらの腕の中で力無く腕を垂らす緊那羅きんなら、その表情は喜びに満ちている。

その笑顔は愛する人がいない苦しみから解放された笑みか、仲間を傷付けずに済む安堵の笑みかは、まだ分からない。

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