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13/22

13:亀裂


Japan center of Tokyo


阿修羅(あしゅら)、緊那羅(きんなら)、摩和羅女(まわらにょ)は都心を散歩している、いや、正式には鬼を探している、しかし都心から人を真似た鬼を探すのは、砂浜からビーズを探すくらい気が遠くなる事だ、故に諦めて都心を楽しむという事になった。

阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)は以前に来た事があるので懐かしいといった感じだ、しかし摩和羅女(まわらにょ)は生まれた時から山で育ったタメにこんな所に来た事が無い。


「凄い!こんなに人がいるぞ!これから何が始まるんだ!?」

「阿修羅(あしゅら)、あんたのペットでしょ、首輪で繋いでおきなさいよ」

「はぁ、摩和羅女(まわらにょ)!迷子に…………、ってもういない」

「あの馬鹿雌!」


二人の任務は鬼探しと摩和羅女(まわらにょ)探しになった、二人は頭を抱えて摩和羅女(まわらにょ)が行きそうな所をしらみ潰しに探す事にした。










「阿修羅(あしゅら)!緊那羅(きんなら)!何か凄い……………、って二人共迷子か?世話がかかるな」


馬鹿、ココに自分の否を認めない馬鹿がいる、しかし馬鹿の良いところは超ポジティブシンキングということだ。


「くれーぷ?何か美味そうだ!」


摩和羅女(まわらにょ)はカップルが受け取ったクレープを横取りして一口で食べた。


「美味い!コレ美味いぞ!」


盗られた事に気付かない一般人は、その変化を埋めるタメに再びクレープが手渡される、しかし摩和羅女(まわらにょ)が再び横取りした。


「美味い!美味すぎる!最高だぞ」


摩和羅女(まわらにょ)は横取り作戦で食べ続けた。










阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)はイライラが治まらず途中のクレープ屋でクレープを調達していた。


「はぁ、クレープでも食べなきゃやってられないよね」

「摩和羅女(まわらにょ)の奴、何処行ったの?コレで鬼の首持ってくれば帳消しにするのに」

「摩和羅女(まわらにょ)の事だから首を持って来るというか、生きたまま連れてくるんじゃない」

「確かに」


二人は口の周りにクリームを付けながら摩和羅女(まわらにょ)の捜索をしている、周りから見れば変な二人だが見えないのを良いことにやりたい放題。


「阿修羅(あしゅら)、アイスがあるわよ」

「はぁ、食べに来たんじゃないのよ」

「いらないの?積み放題よ」

「…………………イチゴで」


緊那羅(きんなら)は普通に中に入り、コーンを勝手に取ってアイスを乗せた、阿修羅(あしゅら)にイチゴのアイスを手渡すと自分のコーンを取る。

次々と重ねていき、最終的に5段になった、阿修羅(あしゅら)は開いた口が塞がらない。


「行くわよ」

「ホーリナーって便利ね」

「孤独に生きてるんだからこれくらいの楽しみがなきゃ」


阿修羅(あしゅら)は納得してアイスをスプーンですくって口に入れた、緊那羅(きんなら)は一口で半分、二口で一つを食べ終えた。


「ホーリナーになる前からそんなだったの?」

「何で?」

「一応私達女の子じゃない、少しは考えたら?」

「良いのよ、そんなちまちま食べてても味がしないじゃない」

「彼氏とかいなかったでしょ?」

「いたわよ!ホーリナーになるまではね」


緊那羅(きんなら)が若干悲しい顔をしたので阿修羅(あしゅら)はこれ以上聞かない事にした。

阿修羅(あしゅら)はアイスを食べ終えて少し緊那羅(きんなら)のアイスを貰おうとした、しかし緊那羅(きんなら)のアイスは既にない。


「もう食べたの?」

「そうよ」

「太らないの?」

「別にあれだけハードな仕事すれば太るモノも太らないわよ」

「確かに」

「阿修羅(あしゅら)、こんな所に団子があるわよ、ちゃんと邪道のゴマ味も」

「はぁ、食べてばっかり」


摩和羅女(まわらにょ)の事も鬼の事も忘れて、二人は食べ歩きになっている。













摩和羅女(まわらにょ)はクレープ片手に阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)探し、あの後計10個のクレープを食べ終え、一つをお持ち返りしてその場を離れた。

しかしクレープを食べ終え阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)の名前を叫んでる時、一つある事に気付いた。


「もしかしてアタシが迷子なのか?アタシが阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)に置いて行かれたのか?」


摩和羅女(まわらにょ)は立ち止まりその場でうつ向いてしまった、そして抑えきれずに目から大粒の涙が頬を伝う。


「うわぁぁぁぁ!阿修羅(あしゅら)ぁぁぁ!緊那羅(きんなら)ぁぁぁ!何処に、何処にいるんだ!?」


一人で泣いている摩和羅女(まわらにょ)を慰める者は誰一人いない、摩和羅女(まわらにょ)は手で涙を拭いながら歩き続けた。













阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)は団子の山を持ちながら食べ歩き、ではなく摩和羅女(まわらにょ)探しと鬼探し。


「ゴマって美味しいの?」

「はべふ(食べる)?」

「一つだけ」


緊那羅(きんなら)は阿修羅(あしゅら)の団子の山から一つ貰い頬張った、その瞬間手から緊那羅(きんなら)の団子が落ち、フリーズする。


「そんなに美味しい?」

「……………………」

「どうしたの?」

「飛鳥?飛鳥じゃないのか?やっぱり飛鳥だ、久しぶり!飛鳥がいなくなって心配してたんだぞ、みんな知らないって言うし、どうしたんだ?」


阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)の視線の先には男性が一人立っている、緊那羅(きんなら)の口から団子が落ち阿修羅(あしゅら)は腕輪に触れた、得物は長刀、名は夜叉丸。


「おいおい物騒だな、飛鳥、この子は誰?」

「飛鳥って、もしかして緊那羅(きんなら)の前の名前?」


緊那羅(きんなら)は無言で頷いた、そして男性が阿修羅(あしゅら)と緊那羅(きんなら)に話しかけたということは、鬼。


「飛鳥忘れたのか?俺だよ、章吾だよ」

「わ、忘れるわけないでしょ、あんたは、私の、彼氏だった」

「嘘………………」


緊那羅(きんなら)は涙を流しながらその場に崩れ落ちた、阿修羅(あしゅら)は気にせずに構える。


「貴方、鬼でしょ」

「鬼?君大丈夫?」

「私達は私達の仲間と貴方みたいな魑魅魍魎にしか分からないの」

「そんなの信じられわけないだろ」

「あくまでシラをきるのね」


阿修羅(あしゅら)は拳を握り近くにいた一番怖そうな人を殴った、しかしその人は何事も無かったかのように歩き去る。


「分かった?」


阿修羅(あしゅら)は切っ先を鬼に向けた、鬼は徐々に顔の骨格が変わり犬歯が長くなり牙と化す。


「辞めて!阿修羅(あしゅら)お願い、この人は私の好きな人なの、だから殺さないで!」

「コイツは鬼よ!緊那羅(きんなら)の彼氏はもういない、ここにいるのはダークロード、それくらい貴方なら分かるでしょ?」


緊那羅(きんなら)は阿修羅(あしゅら)と鬼の間に体を入れた、鬼は不気味に笑い緊那羅(きんなら)を盾にする、緊那羅(きんなら)の目からは大粒の涙が流れる。


「過去に未練があるのは貴方だけじゃないの!みんな過去を抱えてホーリナーになってる、貴方もそうだったんじゃないの!?」

「うるさい!うるさいうるさいうるさい!あんたに何が分かるの!?この人は鬼でも私が唯一愛した人、あんた何かに殺させない!」

「ありがとう飛鳥、俺も君の事を愛してるよ」

「章吾…………」


阿修羅(あしゅら)は鬼と緊那羅(きんなら)の光景を見て絶望に近い感情が湧いてきた、鬼は体を人間に戻り緊那羅(きんなら)を後ろから抱きしめる、緊那羅(きんなら)は後ろから回された腕に触れて笑みを溢す。


「…………緊那羅(きんなら)」

「阿修羅(あしゅら)、あんたが章吾に刃を向けるなら私はあんたを斬る」

「悪魔に墜ちるっていうの!?」

「章吾のタメなら悪魔になれる、ねぇ、章吾」

「大好きだよ、飛鳥」


緊那羅(きんなら)は鬼の方を向き、鬼に腕を回して顔を近付けた、鬼も緊那羅(きんなら)の顔に顔を近付ける、そしてそっとお互いの唇を合わせた。

しかしその瞬間緊那羅(きんなら)の腕から崩れ落ちる。


「章吾!」


鬼の頭から血がながれ即死状態、小さな穴が貫通している、緊那羅(きんなら)はそれが何かすぐに理解出来た。


「摩和羅女(まわらにょ)!!」

「大丈夫か緊那羅(きんなら)?そいつは鬼だろ?」


摩和羅女(まわらにょ)は鬼を抱き抱える緊那羅(きんなら)のもとに走って来た、しかし緊那羅(きんなら)は怒りに溺れた顔で摩和羅女(まわらにょ)を睨んだ、その顔に摩和羅女(まわらにょ)は一歩退く。


「緊那羅(きんなら)、怖いぞ」

「緊那羅(きんなら)、そいつは鬼なのよ、私達は間違ってない」


緊那羅(きんなら)は鬼を抱き上げてその場から離れる、摩和羅女(まわらにょ)が追おうとするが阿修羅(あしゅら)が引き止めた。


「何故だ!何故止める!?」

「今の緊那羅(きんなら)は冷静さを失ってる、少し頭を冷やさせてから連れ戻すわよ」


阿修羅(あしゅら)は摩和羅女(まわらにょ)の腕を掴み緊那羅(きんなら)とは別の方向歩いて行った、摩和羅女(まわらにょ)は戸惑いながらも阿修羅(あしゅら)に従う。



亀裂、それは露骨な形でホーリナーを切り裂いた。

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