12:神社
Japan shrine
阿修羅、緊那羅、摩和羅女の鬼は神社にいるらしい、大きい日本でも有名な神社である、ココから鬼を探し出すのは至難の技、それに加え一般人が多い、圧倒的不利である。
神が神社で戦う等笑える話である、ホームだがアウェイのような不思議な気分だった。
「はぁ、何処にいるの?」
「第一鬼ってどんななの?」
「多分角が生えてるんだ!牙とかも鋭くて」
「だったら今頃大々的ニュースになってるんじゃない?」
3人に再び沈黙が流れる、テーマパークばりの大きさに加え容姿の分からない敵、完全に敵の手の平で踊っている状態だ。
「どうしました?」
「「!!」」
「ここの坊主か!良かった、実は――――」
阿修羅は摩和羅女の口を押さえて間合いと取る、緊那羅は間合いを取るのと同時に腕輪に触れた、得物は納刀された刀、名は羅刹。
「どうした阿修羅!?坊主は親切に声をかけてくれたんだぞ!」
「それがおかしいのよ」
「飛んで火にいる夏の虫」
「お嬢さん方、どうされました?」
阿修羅は腕輪に触れた、得物は長刀、名は夜叉丸。
理解出来ていない摩和羅女と坊主、そして騒ぎを見て近寄って来た下っぱ坊主達。
「阿修羅、コレは大乱闘だな」
「丁度良いわよ、最近運動不足でね」
「お嬢さん、そんな物騒なモノは―――!」
阿修羅は坊主の烏帽子のようなモノを夜叉丸で飛ばした、坊主の頭には角、そうココにいる坊主全員が鬼、相手が飛んで火にいる夏の虫ならこちらも然り。
「角だ!阿修羅、角があるぞ!」
「鬼ってのも知能が低いのね、私達は同じホーリナーと貴方達みたいなダークロードにしか見えないの」
「チッ」
坊主達は徐々に体つきが良くなってくる、そして顔はまさに鬼、鬼は人の中に隠れて過ごしているらしい。
「阿修羅、ココって神社よね」
「そうよ」
「鬼に崇められる神ってのも滑稽よね、もしかして阿修羅だったりして」
「鬼神って言いたいの?」
二人はクスクスと含み笑いをする、阿修羅とは鬼神と呼ばれた神でもある、だとしたらココにいる阿修羅は鬼の神。
摩和羅女はやっと自体が理解出来て腕輪に触れる、得物は針、名は針鬼。
「じゃあ摩和羅女、援護を頼んだよ」
「阿修羅に近寄る敵はアタシが全て殺す!」
「私は一人で戦うわよ」
「緊那羅もだ!」
二人は口角を上げると左右に散る、阿修羅は敵の真ん中に飛び込み一回転する、その瞬間阿修羅の間合いにいた鬼は両断される、鬼が恐る程の存在、それが鬼神。
「はぁ、私は貴方達の神よ、神に拳を向ける何て勇気があるわね」
鬼達は無視して阿修羅に向かって走って来る、人間よりも身体能力が高いが恐るるに足らず。
「聞く耳持たず、か」
阿修羅の広い間合いに鬼は近付く事すら出来ない。
阿修羅は目の前の敵にを突くと、抜くのと同時に反転してサイドの鬼と後方の鬼を両断する。
阿修羅に若干出来た隙を鬼は見逃さなかった、鬼はあっという間に阿修羅の懐に潜り込むと拳を握る、しかし頭を針に射抜かれて倒れた、急所を一発だ。
「阿修羅、思いっきりやって大丈夫だぞ!」
「ありがとう」
摩和羅女はそのまま緊那羅の方に針を投げる、そして二人が安全に戦っている時は遠くの鬼を射抜く、針は一度に何本も出せるので常に指の間に三本挟んでいる。
摩和羅女は遠くを気にしすぎて自分の近くを忘れていた、間合いに入ってきた鬼に気付くと、指の間に針を挟み、それを押さえるように針を握る。
「お前くらいなら近距離も大丈夫だぞ!」
摩和羅女は鬼の拳を避けて頭に針を直接突き刺した。
摩和羅女は周りを囲まれると、鬼を踏み台にして飛び上がり、上空で頭を下に向ける。
「ファイヤーワークス【花火】!」
摩和羅女の体から大量の針が放出される、それは摩和羅女の周りにいた鬼を全て串刺しにする。
しかし鬼の一体が残っているのに気が付かず、着地すると鬼の拳が振り上げられている。
「ベロシティ【光速】!」
一閃が鬼の後ろを通り鬼は両断される、そしてそれをやってのけたのは。
「摩和羅女、注意を怠るな」
「貴方もね」
緊那羅の後ろにいた鬼を阿修羅が斬った、緊那羅は笑いながら知ってると一言。
「後は親玉だけね」
「はぁ、運動にもならない」
「油断大敵だ」
最後に残したのは巨体の鬼、得物を持っていない代わりに鋭い爪がある。
鬼は一瞬で消えると阿修羅達の隣まで来ていた、しかし阿修羅は鬼の喉元に切っ先を当てている。
「速いけど見える」
「チッ」
阿修羅達は何とか捉えられた、しかし鬼が異常に速い事には変わりない。
阿修羅と緊那羅が構えると、摩和羅女が鬼に針を投げた、鬼は軽々と避けるがそこには阿修羅が先回りしている、阿修羅の突きを爪でいなすと阿修羅は体制を崩した、鬼はは爪を振り下ろす、爪は阿修羅の腕をかすめたが大した事は無い。
その隙に後ろに回りこんでいた緊那羅は斬ろうとするが、一瞬で鬼がいなくなる。
「キャア!」
阿修羅と緊那羅が目をやると摩和羅女が背中から血を流して倒れている、鬼の爪には摩和羅女の団服の千切れた跡が。
「摩和羅女!」
「行くな阿修羅!」
「何で!?」
「今行ったらアイツに殺られるわよ」
阿修羅は唇を噛み締め構えた、先に地面を蹴ったのは緊那羅、その後を追って阿修羅が走る。緊那羅は間合いに入ると抜刀様に攻撃する、しかし軽々と避けられた、阿修羅は鬼が避けた所に横薙に斬るが爪で受け止められる、間合いを取ろうとした瞬間肩口を切られた。
緊那羅は納刀せずに振り向き様に斬りかかる、鬼は避けると緊那羅の腕を掴んで持ち上げた。
バキバキバキバキ!
「グワァァァァァァ!!」
緊那羅の腕の骨が砕ける音、阿修羅は肩の痛みを堪えて斬ろうとするが、軽々とと弾き飛ばされてしまった。
緊那羅は離されるのと同時に脇腹から肩にかけて爪で切られた。
「緊那羅!」
「…………………」
阿修羅の表情が怒りに歪む、先程弾かれた時に肋骨を折りフラフラの状態で、右足を引き左足を前に出し、切っ先を左後ろに向ける。
「ベロシティ【光速】!…………っ!」
一瞬光速に達するタメに体が軋む、そして鬼の手前で減速してしまった、鬼は阿修羅の両手をまとめて掴み、持ち上げる、鬼は人差し指を突き出すといたぶるように腹に突き刺す。
「グハッ!」
とめどなく流れる血と吐血、鬼は爪を引き抜くと次は肩に突き刺す。
「ッ!」
阿修羅の意識は飛びかけていた、そして最後に指を向けた先は額、人差し指をが髪に当たると髪の毛が2、3本舞う、そして阿修羅が目を閉じ死を覚悟した瞬間、鬼の悲鳴と共に阿修羅は地面に落ちた。
阿修羅が見ると腕には針が刺さっている。
「阿修羅、もう腕は、使えない、頑張れ」
「摩和羅女…………」
鬼の両腕はブランと垂れている、阿修羅は腕輪に触れて夜叉丸を握る、そして立ち上がり夜叉丸を鬼の額に突き刺した。
鬼と同時に阿修羅も倒れる、そこに並ぶは大量の鬼の死体と3人のホーリナー。
Japan certain place
真っ白な部屋に真っ白なベッド、そして真っ白な包帯で包まれた3人のホーリナー、最初に目を覚ましたのは阿修羅、痛むハズの体で軽々と起き上がると周りを見渡す。
そして焦り隣にいる二人を起こした、二人も痛むハズの体で軽々と起きる。
「阿修羅、おはよう」
「はぁ、呑気ね」
「ココは何処だ?」
「私も今起きたから分からない、でも傷の処置がされてるから敵に拉致された訳じゃないと思う」
そんな話をしていると扉が開き人が入って来た、銀色の髪の毛にメガネ、そして真っ白なコートにカミゥムマーンの刺繍。
「「「ボス!?」」」
「おっはよ〜、元気になった?」
「その前に何でボスがこんな所にいるの?」
「阿修羅、その前にココは何処なの?」
「ココは協力者の家だよ、君達は神社で倒れてるところを協力者に拾われたんだ、幸いにもココの協力者が医者で助かったよ」
金色孔雀は椅子に座りながら楽しそうに話す、確かに金色孔雀の言う通り不幸中の幸いだ。
「それで何でボスがいるの?」
「そうよ、あんたも私達ばっかり使ってないで任務しなさいよ」
「だって心配だから医療班と一緒に来ちゃったんだもん!俺の可愛い女の子が死にかけたとなったら食事も喉が通らないよ」
3人は呆れて言葉を失った、こんだけホーリナーが死にものぐるいで戦っているのに支部長はこんなにおちゃらけている。
「はぁ、馬鹿な上司を持つと苦労するわね」
「大丈夫か阿修羅?」
「大丈夫よ、それより早く任務に行かないと」
「そうね」
3人はベッドから下り、団服を取った時にある事に気付いた、自分達は上半身は包帯と下半身は下着一枚ということに。
「大胆だね」
「はぁ、最悪」
「死ね!この女ったらしが!」
緊那羅が金色孔雀を思いっきり殴った、金色孔雀は吹っ飛び、泡を吹いている。
3人は団服に着替えて病室をあとにした、重傷患者一人を残して。
最近書き貯めてる小説が減ってきました、色々と用事がありすぎて暇がありません、有言実行するために頑張ります。
評価やコメント、アドバイスなど貰えると有難いです。