初配信の裏で… ②
『視聴者の皆さんこんにちは。皆喜ライブ所属の第5期生天怖心です。今日は僕の初配信を見に来てくれてありがとう、こんなにもたくさんの人が来てくれるなんて嬉しいな//』
私たちの目の前あるスクリーンに写された子は、実物ではないただのアバターなのにどこか怯えてそうな雰囲気をそこで見ていたスタッフは全員感じることができた。
「なんか、この子。少し怯えてます?」
「そうだよね、なんか怯えてるように感じる」
ここにいるスタッフは少なくとも一人は初配信を控えたライバーを担当したことがある人達だ、だからこそだろうかなんとなく今私たちの目の前にいるこの子が怯えているというのを感じることができるのだ
「なんで、この子は怯えてるんでしょうね」
「さぁ私たちは実際に会ったことがないから分からないね」
「けど配信自体には問題なさそうだからよかったよ」
視聴を続けていくにつき彼―天怖心についてここにいるスタッフはなんとなくわかってきた。
「何ていえばいいんでしょうね、普通ですねこの子」
「それは私も思った、普通過ぎるのよねこの子。視聴者に見せるような大きな特徴がないような気がする」
この事務所には大きな特徴を思ったライバーがたくさんいる。取締役が少しおかしいからしょうがないのだがそんな事務所の中でこの子が採用されたのを不思議に思ってしまうのは仕方ないだろう
「大きな特徴がないからこの子を伸びさせるのには苦労しそうね」
「同意見です。誰がこの子のマネージャーかは知りませんが苦労しそうですね…」
『じゃあふつうはありえないと思うけど僕のマネージャーの発表をしていくよ』
この言葉がスクリーン上から発されたときこの場にいる人たちは思ったことが一つあった
【マネージャ発表…?】
全員が不思議に感じながらも特に言葉数が増えるわけでもなく逆に室内は静まり返った
『それじゃ発表していくよ。僕のマネージャーはジャラジャラジャラジャラジャラジャラばん!皆喜LiVe代表取締役岩世春樹さんです!ぱちぱちパチパチパチ』
「「は?」」
先ほどよりも室内はより一層静寂が訪れた
この子は何を言っているのだろうと理解ができていない、普段だったら瞬時に理解してくれる脳もそれを拒否してくるかのように誰も言葉を発さず唯一私たちの後ろに立っていた取締役だけが「おっと、これは…」と気まずそうな反応をしており
「代表!どういうことですかこれは!」
その一言で室内には騒々しさが広がった
「ライバー一人に代表取締役がマネージャーにつくなんてありえませんよ!」「いったい何を考えてるんですか!」「少しおかしいとは思ってたけどまさかここまでおかしいとは!」「もうどうなってるんだこの会社は!」「私たちまで巻き込まないで!私たちはおかしくない!おかしいのは代表よ!」「否定しない!」
次々と代表に向けて様々な言葉が飛んでくる
「ねぇ、みんなちょっと言葉強くない?」
「「「そんなことない!」」」
「はい・・・」
代表が黙っちゃった、理由の説明が欲しいのに誰もそれを問わないなんてそれほど衝撃が大きかったのだろう
しばらくこの室内ではありえないほど騒々しさが続いた
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「あ~少し落ち着いたから改めて説明させてもらうね。もう君たちが騒いでるせいで配信は終わっちゃったし」
「「「すみません」」」
「まぁ先ほど言っていた通り私は天怖心君のマネージャーを務めることになった」
改めて代表から伝えられたが本来だったらありえないことを平然を言っている代表はやっぱりおかしいのだろうと思ってしまう
「それで皆が思っているのはなぜ私自身が一ライバーのマネージャをすることになったのかという点についてだろうが、簡単に言うと彼は少し特殊なんだ」
「特殊とは・・・?」
「彼はね女性恐怖症を患っているんだよ、しかも重度のね」
「女性恐怖症をですか、それならなぜこの事務所に。ただせさえこの事務所は他の事務所に比べて女性割合が多いのに…」
そうなのだ、内の事務所は他の事務所に比べて女性割合が高くネット内ではユニコーンと呼ばれる人たちが多くおり男性ライバーを下手に増やしてしまうとたたかれてしまうのだ、この界隈はよくわからない
「実はねそこが面白いんだけど彼女性恐怖症を治療するためにVtuberになることに決めたんだってwいや~わけわからないよねほんと」
「は…?」
この人は今何を言った、病気の治療のためにVtuberになる?そんなのきいたことがない
「まぁまだまだみんな理解しきれてないと思うけどみんなにお願いをすることがあるとすれば彼とはできるだけ接触しないで、接触するなら私を通してほしいな」
「同期コラボとかもやらないのですか?」
「う~ん。彼次第なんだよね正直なところ。けど無理はさせられない、彼の担当医師とも話したけど結構すごいらしいからさ症状がね…」
つまり代表は彼に関しては自分が対応をするから私たちから何かやりたいことがあれば自分に通せ、無駄に関わるなと
この場にいる社員は普段とは違う代表の雰囲気に圧倒させた




